125 ロウゲン王の説得
リン・クロウスライト・フェムリノメス。
彼女は勇者だ。
そして、カグラと同じく転移者でもある。
〔LV:85〕
〔名前:リン・クロウスライト・フェムリノメス〕
〔名前:神谷 凛華〕
〔種族:勇者〕
〔HP:1600000〕
〔MP:100000〕
〔SP:2000000〕
〔攻撃力:100000〕
〔守備力:50000〕
〔魔力:30000〕
〔魔法耐性:20000〕
〔素早さ:180000〕
〔勇者〕〔鑑定〕〔正義〕〔鼓舞〕〔指揮官〕〔HP自動回復8〕〔MP自動回復5〕〔権限LV7〕〔限界突破〕〔剛撃8〕〔堅牢8〕〔大打撃5〕〔大防御3〕〔魔素探知〕〔魔力探知〕〔洞観〕〔神光魔法5〕〔中二病〕〔オタクゲーマー〕
神谷 凛華。 それが、彼女の向こう側での名前。
普通にロムルスより強いんだけど。
セラメリアにサーペント、そしてロムルスにエレヌスさん。
ただでさえ問題が山積みの状態なのに、そこにリンちゃんが加わるのは何としても避けたい。
ロウゲン王がどこまで説得できるかわからないけど、今の現状を考えると藁にもすがる思いだ。
「話は分かったが、余でもリンを説得する事は難しいぞ。あの子は人一倍正義感が強く、ひとつの事に没頭すると周りが見えなくなるのだ。そして、リンはどこかで、魔王は倒すべき存在であると思い込んでいる節がある」
「それでも、少しでも可能性があるのなら」
「……分かった、リンを説得してみよう」
「ご協力感謝します」
とりあえず、リンちゃんのことはロウゲン王に任せよう。
もし説得できなかったら……戦うしかないのかな?
会議室を出た私達は、サクラノ王国の兵士達に囲まれていた。
当然、ロウゲン王も一緒にだ。
……嫌な予感は当たるからな。
「兵士達よ、余に刃を向けるとはどういう事か!」
「貴方を、魔王と共謀した疑いで拘束するためですよ、ロウゲン王」
兵士の間から出てきたのは、リンちゃんだった。
なるほど、そう言う展開なのね。
「リンよ、話を聞いてくれ」
「魔王と共謀している者の話など、聞くわけがないでしょう?」
これでは説得どころではない。
仕方がない、ここは退こう。
カグラに転送方陣の合図を送り、私はリンちゃんの注意を引くために前に出た。
「リン、こんなことはやめて」
「誰が魔王の話なんか」
「お願い聞いて、神谷 凛華ちゃん」
その名前に反応したのは、リンちゃんともう一人、カグラだった。
……もしかして、カグラと凛華は顔見知りだったりするのか?
「……私の名前を知ってるから、何だと言うの?」
「私は……」
私が転移者であると告げる前に、カグラが叫んだ。
「サキさん、転送を開始します!」
「でも!」
「いくらなんでも分が悪すぎます! 退きましょう!」
私が抗議する前に、転送が始まってしまった。
「今度は逃がさない!」
リンちゃんの攻撃が目前に迫っているところで、私達は転送された。
そこは、ワノ領にあるカグラの屋敷の中だった。
助かったけど、どうしてここに転送したのかな?
「サキさん、申し訳ありません。どうやら、転送妨害処置が発動したようで、サクラノ王国外へ転送出来ませんでした」
「……サクラノ王国では、移動手段に転送を使ってる。妨害されることも予測できたはず。それを怠った私の責任よ」
「それから……いいえ、これはロウゲン王を安全な場所に移動していただいてから話します」
私達はカグラの両親に、これまでの経緯を説明した。
ソウリュウさんもカンナさんもリンちゃん側ではなかったようで、混乱が治まるまでロウゲン王を匿ってくれるとのことだ。
さて、ロウゲン王はソウリュウさんとカンナさんに任せて、私はカグラから色々と聞かないと。
どうにも、リンちゃんのことを知ってるようだし、これはアナスタシアに聞かれない方が良さそうだ。
アナスタシアには適当な理由で退室してもらった。
「さて、これで邪魔者は居なくなった。色々と話してもらうよ?」
「……分かりました」
カグラは溜め息をつくと、リンちゃんこと神谷 凛華について語り始めた。