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108 エレヌス

 私はもう一度、エレヌスさんとの距離を詰めた。

 自棄になったわけではなく、エレヌスさんの強さの秘密を知るためだ。

 どうも、あの攻撃は気にかかる。

 と言うのも、私は吹き飛ばされただけで、痛みはなかったからだ。

 私を上回る攻撃力なら、私にもかなりのダメージがあったはず。

 それなのに、ダメージは微々たるものだった。

 色々と確認したいのだが、クローンがそれをさせようとしない。



「シッパイサク、コロス」

「あんたはそれしか喋れないの? もっと色々なことを学ばないと」

「シッパイサク、コロス」



 私はクローンの攻撃を弾き、もう一度体を斬り裂いた。

 そして、一気にエレヌスさんとの距離を詰め、爪を振り下ろした。



「学ぶのはお前の方じゃ、失敗作よ」



 やはり私の攻撃は、エレヌスさんの杖で受け止められた。

 しかし、これはチャンスだ。

 私は魔眼の、魔力可視化を発動させた。

 ……なるほど、そう言うことか。



「エレヌスさん。あんたのカラクリ、見破ったよ」



 私の攻撃は弾かれ、その隙を突かれた。

 私の体が後方へ吹き飛ぶが、やはりダメージはない。



「カグラ!」

「はい!」



 私は空中で体勢を立て直しながら、カグラに合図を送った。



「極凍魔法、氷山!」



 エレヌスさんの頭上に、巨大な氷の塊が出現した。

 その上へ乗った私は、氷の山を思いっきりぶん殴った。

 氷の山は砕け散り、大小様々な氷塊が、エレヌスさんに降り注ぐ。



「獄炎魔法、インフェルノ」



 砕けた氷塊は獄炎にあてられ、あっけなく蒸発してしまった。

 でも、それで良い。

 私は、インフェルノが消える前に、エレヌスさん目掛けて急降下を開始している。

 エレヌスさんに近づくにつれ、インフェルノが容赦なく私のHPを削っている。

 それでも止まることなく、私はエレヌスさんに近づいていく。

 そして、インフェルノが消滅したタイミングと、私が爪を振り下ろすタイミングが同時だった。

 当然、エレヌスさんは杖で防ごうとする。

 しかし、私の攻撃を受け止めることができず、私はエレヌスさんの杖ごと、体を斬り裂いた。



「なに?」

「よし、これで杖は使い物にならない」

「まさか、本当に見破ったと言うのか、儂の杖を」

「カグラ!」



 私はその場から飛び退き、カグラに合図を送る。

 カグラが構築していたのは、火、水、風の複合魔法。

 それらが三方向から、エレヌスさんに襲いかかる。



「サキさん、今です!」

「カグラ、あんたはやっぱり最高だよ」



 私は魔神爪サイカに、限界まで魔力を充填した。



「私とカグラの合体技。魔法爪撃、廼散幻(だいさんげん)!」



「失敗作とは言え、やはり魔王か。……今回は退いてやろう。しかし、次はないぞ?」



 私とカグラは研究所に居た。

 辺りを見渡すが、エレヌスさんもクローンも、姿を消していた。

 そして、培養カプセルに居たクローン達も、封印されていたセラメリアも。



「……してやられたか」

「ですが、私達の勝ちです。前向きにいきましょう」



 確かに、カグラの言うとおりだ。

 いつも通りで良いんだ。

 また、次の手を考えれば。

 とりあえず、この施設は跡形もなく破壊しておかないと。

 残しておいても、良いことないからね。



「サキさん、ひとつだけ聞いても良いですか?」

「なに?」

「サキさんの技名は何故、麻雀の名前ばかりなのですか?」

「格好いいじゃない」

「……それだけですか?」

「それだけだよ」



 カグラはどうにも腑に落ちないようだけど、実際に格好いいから問題ないよね。

 さて、破壊する前に、何かめぼしい情報はないかな?

 ここはエレヌスさんの研究所だし、何かしらの情報はあっても良さそうなもの。

 ……しかし、それらしい書類や資料は見つからなかった。



「カグラ、何かあった?」

「特にこれといって……」

「やっぱり持ち出されたかな?」



 情報が得られるかと思ったけど、さすがにそう上手くはいかないか。

 仕方がない、魔王城に戻ろう。

 研究所を破壊した私達は、魔王城へと戻った。


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