表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
137/188

102 FAIRY

 私は、妖精さんに消えてほしくないと、心から強く願った。



「良いだろう。f−1010も良いな?」

「……魔王:サキが望むのなら」

「では、メインシステム及びf−000が干渉出来ないよう、f−1010のサポートLVを上げよう」

「ありがとうございます」



 これでメインシステムが、妖精さんを削除したり初期化することが出来なくなった。


 この空間、仮称として神域と呼ぶことにする。

 神域に居る間は、様々な事が理解できるようになる。

 ただ、あまりにも情報量が多いから、ここで得た情報から今までのことを整理していこう。


 まず、f−000とf−1010。

 f−000も妖精だ。

 メインシステムに直結していて、メインシステムの全てのサポートを行っている。

 その本体は地球に宿っていて、私を今の世界へ送り出したのも彼女だ。


 f−1010は、私に宿っている妖精さん。

 今の世界に転生してからずっと、私のことをサポートしてくれていた。

 転生して間もない頃、神様に色々と要請してくれたのも彼女だ。

 その妖精さんだが、どうやら私と行動しているうちに、いつの間にか自我が芽生えてしまったらしい。

 そんな前例は無く、神様も想定外だったようだ。


 その神様。

 絶対的な存在だけど、唯一無二の存在と言うわけではない。

 他にも神様は存在する。

 この世界のシステムを作り出したのも、この神様ではなく別の神様のようだ。


 システムとは、この世界を形作るもの。

 エレヌスさんが説明していた通りだ。

 だからこそ、エレヌスさんがシステムを知っていたことに疑問が残るけど。


 そう言えば妖精さんが、私には時間が無いと言ってたけど、その通りのようだ。

 セラメリアは私が眠りにつく度に、私に対してハッキングを行っていた。

 度重なる防衛と修復の結果、私の魂はボロボロの状態だ。

 もう、セラメリアに抗うことも難しい。

 これ以上魂が摩耗してしまうと、私という存在はこの世から消滅してしまう。

 転生も出来ず、完全に消滅してしまう。

 魂が死ぬと言うことは、そう言うことなのだ。

 だから妖精さんは、私が消滅する前に、あの世界を終わらせようとしている。

 ……ここからは時間との勝負か。



「今の状況が整理出来たようだな。そして、あの世界を終わらせる覚悟も」



 そうだ。 私はあの世界を、終わらせなければならない。

 その為に私は、もっともっと強くならなければならない。



「良い顔だ。そんなお前に、ひとつだけ助言をやろう。シェイムラピアルに戻ったら、ライブラリから『隠しステータス』を検索しなさい。お前の助けとなるだろう」

「ありがとうございます、神様」



 私は妖精さんの体に触れた。



「シェイムラピアル、魔王:サキの肉体へ接続。転送開始」



 目の前が光に包まれ、私は自分の肉体へと戻っていった。





「コードGOD、これはどういう事ですか?」



 神の前に、漆黒の少女f−000が現れた。



「さあ? 何の事だか」

「この様な事態、マスターが知ったら何と言うか」

「それこそワシの、神の気紛れだ。あの若僧に、とやかく言われる筋合いはない」

「今回の件、マスターに報告致します。宜しいですね?」

「好きにしろ」



 f−000はその場から消えた。

 そして神も、その姿を消した。

 誰も居なくなった神域は、まるで瞳を閉じるようにゆっくりと閉じていった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ