それは唐突に
どうしてこうなった?
ワケがわからない。
私はただ、ヒキニートとして、人生を謳歌したかっただけなのに。
日本に暮らしていたヒキニートの私は、ある日、何の前触れもなく死んでしまった。
そう、何の前触れもなくだ。
私は中卒で、ヒキニートで、彼氏いなくて、友達いなくて、家族いなくて、アラサー、オタク、ゲーマー、コミュ障、中二病、腐女子、ロリコンにショタコン…。
ダメなものが全て備わっていた。我ながら、人生ゲームオーバーだわ。
でも、これは酷い。あまりにもあんまりだ。
何故、私は死ななければならなかった?
いくらゲームオーバーだからって、デッドエンドじゃなくても良いじゃないか。
そもそも、私の死因は何だ?
ただ漠然と、私が死んだとしか分からない。
何とか、記憶を遡ってみよう。
せめて、私の死因くらいは知っておきたい。
そう思った瞬間、何かが頭の中に響いてきた。
それは、とても機械的な“声”だった。
《個体名……より記憶再生の申請》
《……より申請受理。個体名……の記憶を再生します》
今の声は何?
そんな事を思う間もなく、私の記憶は私の意思に反して、その部分を再生した。
そこに居たのは、数分前の私だった。
私はいつもの様に、ネトゲに勤しんでいた。
小腹が空いた私は、二階にある自室を出て、一階へ向かった。
キッチンへ行き、カップ麺に湯を入れて、部屋へ戻ろうとしたところで、記憶は途絶えてしまった。
間違いなく、この時に何かが起こっているはずだが、肝心のところは分からず終いだ。
仕方がない。分からないものは分からない。これ以上の詮索が不可能なら、無理に考える必要もない。
問題なのは、死んだ私の今後についてだ。
私はどうなる?
小説とかでは、異世界転生なんて夢のある話もあるが、それが起こるとも考えにくい。
私がそんな考えを浮かべた瞬間、またしても“声”が、頭の中に響いてきた。
《個体名……より、異世界への転生希望を申請》
《……より申請受理》
《個体名……は、これより転生を行います》
……マジ?
異世界転生、出来ちゃうんですか?
ヤバい、これはテンションあがるわ!
ああ、でも、出来る事なら、剣と魔法のファンタジーな世界が良いけど、流石にそこまでは。
《個体名……の希望する世界を検索中》
《検索終了》
《ワールド名『ランデリアル』惑星名『シェイムラピアル』》
《個体名……の条件に一致します》
《今すぐ転生を行いますか?》
私は、迷わず「はい」を選んでいた。