第1章 メルダン王国の衰退 第15話
長らくおまたせしております。
急な退職と産休者の発生で業務内容がガラリと変わり、決算の時期なども相まって会社に泊まることもあるくらいには多忙で、執筆時間など無く、ストックを全て使い果たしてしまいました。
更新が停止して大変申し訳ありません。
シルフィとルゥの罰を勧告して、各テントに帰らせた後、ユリウスは"ジュウ"を観察していた。
せっかく彼女達が命がけで持ち帰ってきてくれた攻略の糸口。
予想されるであろう異世界からの反撃には少しでも対策をとっておきたい。
引き金を引くと射出される機構であることは本で知っていたので、引き金に触れないように注意しながら外観を見る。
(小指くらいの穴が開いているから、ここから射出されるのだろう。)
万が一の為にユリウスは銃口を地面に向けた。
(このレバーはなんだ?)
グリップ部分の片面についているレバーに興味を惹かれ、恐る恐る動かしてみると、
いきなりグリップの中から部品がずり落ちてきた。
慌ててキャッチして、ホット一息ついた後、落ちてきた部品を見る。
恐らく真鍮製の筒と丸みを帯びた銅色の金属が一体となった物が詰められていた。
これが"ジュウダン"と言われる矢の役割をするもので間違いないだろう。
この銅色の金属はパトラとミリィの体内から出てきたものと同一。
真鍮製の筒が確証は無いが火薬が入っていて、火薬を詰める作業を省略できるようにしているのだろう。
人を行動不能にするには十分な性能を維持した上で、大砲を小さくして、更に便利にしたもの。
これが銃口の筒に入って、何らかの形で火薬に着火させて、銅色の金属を撃ち出す仕組みのようだ。
銃弾が詰められたそれを机に一旦置いて、本体の観察を再開した。
(ん?動くぞ?)
いわゆる"スライド"と呼ばれる部分が動くことに気付いた。ゆっくりと交代させると、スライドに空いている小窓から"ジュウダン"が現れた。
掻き出そうと思い、数分試行錯誤してみると、スライドを引ききるとグリップの中からコロット出てきた。
出てきた"ジュウダン"を無くさないように他の"ジュウダン"に習って詰め直す。少し力を入れて押し込んだらすんなりと入った。
矢を番えていない弓を引いても問題ないのと同じように、"ジュウダン"の入っていない銃も引き金を引いて問題ないだろう。
銃口を地面に向け、引き金に指をかけ、ぐっと力を入れてみる。
カチンと乾いた金属音がした。
よくわからないが、おそらくは火薬に火を付ける動作だろうと考察し、実際に撃ってみたい衝動に駆られるが、今は夜。
このタイミングで大きな音をさせると騒ぎになりかねないので、
一眠りしてから実験することにした。
"ジュウダン"の入った部品と本体を枕元に置き、眠りに付いた。
翌朝
何事もなく普段通りに日の出とともに起床し、枕元の"ジュウ"を持って天幕を出る。
物資を入れた馬車にあったヘルムを引っ張り出して台に載せ、それを狙って実際に撃ってみることとなった。
本体のグリップの中に"ジュウダン"が詰められた部品を装着し、このままでは撃てないのは明白なので、スライドを引き、"ジュウダン"が装填されていくの小窓から観察しながら戻した。
両手でグリップを握り直し、ヘルムに向けると、"ジュウ"の上部に凹凸の照準があることに気付き、それをヘルムに重ねる。
そしてゆっくりと引き金を引いた。
タン!
向こう世界の移転魔法陣の手前で撃ち込こんできた"ジュウ"より小さめだが、それでも丘に響き渡る射出音がした。
ヘルムは弾き飛ばされて台から転げ落ちた。
昨晩やった通り、"ジュウ"の本体から"ジュウダン"抜き取った後、ヘルムの状況を確認する。
ヘルムを拾い上げる見てみると、当然厚めの金属製であったのにも関わらず、こじ開けられた様な穴が空いていた。ヘルムの前面は貫通していたが、後面は抉れた傷は付いているものの貫通はしていなかった。
(この威力では防具は無意味だな。)
唯一救いといえるのはこの武器の"直進性"にあるだろう。狙いやすいという利点はあるが、貫通しないものの後ろには攻撃が通らない。魔法は熟練するとカーブや放物線を描き、この欠点を利用しなければ、長い"ジュウ"の連射力に簡単に壊滅されるだろう。
「ユリウス様! 今のは!?」




