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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
人の章
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ギルドに行こう

 冒険者に連れられてやってきた冒険者ギルドの中は、酒場みたいな内装だったわ。

 で、見るからに強そうな装備を着込んだ強面の中年や、いかにも魔法使いですといった服装に身を包んだ女性。

 新人感丸出しな人もいたり、うん……何が言いたいかって言うと、ボロ布纏った人は居ないってことよ。

 そんな感じに入口辺りで人間観察的なことをしてた彼女だけど、窓口みたいな場所の前で冒険者が手を振ってくるように促しているのが見えて近づいたわ。


「おやっさん、こいつこいつ。ゆうしゃだってことらしいけど、国からは期待されていないっぽいんだよ」

「あー、ここ最近めっきり無くなったからそういうのは無いと思ってたけど久しぶりにこういうのが来たのか」

「えっと、なんか物凄く貶されてるように思うんだけど?」

「ああ、気のせいだ。で、ゆうしゃだから普通よりは強いはずだから、登録してやれば良いんじゃねーかなって思ってさ。あと、冒険者の服の換えも欲しいみたいだし」

「そうか……まあ、その前に着替えが先だな。けど見たところ、文無しにしか見えないんだが……」

「ああ、魔物溜に飛び込んでこうなったんだ。一応そこから生き延びたんだからってのも連れて来た理由」


 冒険者が受付の男性と話をしているが、やはりまたも出た魔物溜に驚いたのか目を見開いて彼女を見たが、納得したように頷いていた。

 どれだけ驚異的なんだろうか、魔物溜……。

 そう思っていると、男性受付が奥に居る女性受付に声をかけて、出てきた女性受付に連れられて彼女は奥にある一室で差し出された冒険者の服に着替え始めたのよ。

 数時間の短い付き合いだったけど、ありがとうさようなら今着てた冒険者の服。こんにちわ新しい冒険者の服。

 ようやくボロ布からおさらば出来た彼女は再び受付のほうへと戻ったが、ここで新たな問題に直面した。


「それじゃあ、先に冒険者の服代として100Gを貰おうか」

「はい、それじゃあいち、にー……はち、きゅう……あ、あれ?」

「……90Gしかないな? 残り10Gは無いのか?」


 もう全身から冷や汗が零れたね、思い返してみると彼女が城から駄賃として渡された金額は100G。

 正直、ひのきのぼうと300Gのほうがマシである。

 でもって、100Gから10Gが無いのはついさっき肉串を2本買ったからだ。

 つまり10G分はお腹の中ということだったわけよ!

 それに気がついた冒険者と受付2人は残念な顔で彼女を見たわけよ。

 でも、天は彼女を見放さなかったわ。


「はあ~……、なんか凄い娘連れて来たな」

「ああ、ゆうしゃって時点で規格外だったけど、世間知らずも規格外だったとはな……」

「なんか酷いことを言われてるんですけどーっ!?」

「まあいいや、とりあえずさっきこいつが魔物溜に飛び込んだって言ってたから、モンスターの1匹ぐらいは倒してたと思うから、こいつを使わせてやるか。本当はギルドに登録してからじゃないと無理なんだぞ」

「えっと、これは?」


 彼女の目の前に良くわからない道具が置かれていた。形は何か吐き出す的な感じで、手のひらを乗せるように作られているようだった。

 首を傾げる彼女に対して、受付がその道具の説明をしてくれたわ。

 何でも道具に手を翳して、その人が倒したモンスターを読み取って報酬としてお金とか道具を吐き出してくれる道具らしい。

 オリジナルはだれが作った物かは分からないみたいだったけど、お金が無いのは本当にマズい。

 なので、彼女は何も考えずに道具に手を乗せたわ。


 道具に手を翳すと、情報を読み取り始めているのか道具が動き出し……どう見てもスキャナーっぽい動きをしてたのよね。

 すきゃなーってなにかって? んー、読み取る道具ってところね。あ、また自分が知らないからって適当に言ってるって顔してるわね。

 で、手を置いているんだけど、まったく止まる様子がなかったのよ。

 故障でもしているんじゃないかって、冒険者と男性受付が目を細めさせながらジッと道具を見ていたんだけど……ようやく道具が止まったのよ。紙を吐き出し始めたわ。

 出され続ける紙を取って、彼女はそこに書かれた文字を見たんだけど、初めに赤文字で『計測不能』と書かれてて、その下にはよく分からない名前がずらっと表示されていたのよ。

 スライムは分かるんだけど、ウルフは狼、アシナガモンキー? 足の長い猿なんて居るのかと。そんな良く分からない物を見続けているとようやく彼女はピンと来たのよ。


「え、えーっと、これは……モンスターの名前?」

「こいつぁいった――っ!? おい、ちょっとこっちに来い。お前らもだ」

「ああ、わ、わかった」

「は、はい」

「え? ちょっ!? えぇ?!」


 神妙な顔をしていた男性受付だったが、出てきた紙をある程度見ると表情を険しくさせて、彼女の手首を引っ掴むと冒険者と女性受付を呼び出して、ギルドの奥の部屋へと駆け込んでいった。

 そのとき、彼女は何かしたのかと気が気でならなかったりしたよ。

平日は1本出せるよう頑張ります。

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