表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
人の章
65/496

公衆浴場・1

 冒険者ギルドから大通りに出ると、サリーに手を引かれながら彼女は街中を歩いていたわ。

 ギルドの部屋の窓からは何度も見ていた光景だったけど、いざ歩くとなると彼女はかなり緊張してガチガチだったわ。

 そんな彼女の様子に気が付いているのか分からないけど、楽しそうにサリーは公衆浴場に向けて歩いていたの。

 え、彼女の様子に気が付いてたかって? んー……あれは絶対に気づいてて、その困った表情を見ていたいという感じだったわねきっと……。

 あの子、気づいていないけどSっ気がかなり強いのよね……っと、脱線してたわね。続きを話そうか……。


 しばらく移動すると、大きな建物に辿り着いてね。彼女はその建物の大きさに驚いてマジマジと見てたけど、サリーが手を引いて中へと入っていって驚いたわ。

 これだけ大きな施設なのだから入場料とかで1500Gぐらい取られるんじゃないかってね。

 でも、彼女たちの大きさだと1人に付き300Gで大丈夫だったの。


「ここには体型の大きな種族の獣人も来ますから、施設が大きいんですよ」

「そ、そうだったのですか……」

「はい、では入りましょうか師匠」

「え――、あの……ちょっと飛び込むための決意的なものを……」

「待ちません♪ と言うわけで、行きましょうか師匠」


 にっこりと微笑むサリーに引っ張られながら、彼女は情けない声を上げて脱衣所まで連れて行かれたわ。

 そんな2人を周囲は可笑しく見ていたり、不思議に見ていたり、様々な感情を込めた視線を送っていたわ。

 脱衣所の中は大中小の編み籠が置かれていて、よく見るとそれらの籠の中に着ていた服などを入れて棚の中に入れているのに気が付いたわ。

 棚のほうも大きさがマチマチだからか、きっと種族別というか体格別で分けられているんでしょうね。

 それを指し示すように着ていた服を脱ぐニャー族の少女や、巨大なパオ族の老婆の姿が見えたの。


「さ、それじゃあ脱ぎましょうか、師匠」

「え!? そ、その……脱ぐのは……」

「脱がないと入れないじゃないですか。ワガママ言うならワタシが脱がしますよ?」

「――っ!? じ、自分で脱ぎます……!」


 手をワキワキさせながら近づくサリーに身の危険を感じた彼女はそう言ったんだけど、いざ脱ごうとすると恥かしいものがあったわ。

 そんな彼女の思いを知らずに、サリーは平然と着ていた服を脱いで籠の中へと畳みながら入れて行くんだけど……周囲に晒されたモノは締め付けるものが無くなったからプルプルと揺れていたわ。

 揺れるサリーの2つの果実に彼女は戦慄を覚えながら、頬を赤く染めつつ……上着に手を掛けたの。

 しかも普通の人間は珍しいからか、チラチラと視線が時折彼女に向けられるものだから、彼女は益々顔を赤くしたわ。

 そんな躊躇し続ける彼女にちょっとだけ業を煮やしたのか、サリーが何時の間にか後ろへと寄って来ていたの。


「し~しょう! そんなに恥ずかしがっていたら、浴場で目を回しますよ~!」

「ひゃ!? サ、サリーさまっ、まだ覚悟が――ッ!!」

「そんなこと言い続けてたら何時まで経っても入らなさそうなので強制執行しますっ♪」

「や、あの……ま、待っ――ひゃ!? サ、サリーさま、脱がすのはその――やめ――ひゃあぁぁぁ」

「暴れたら脱げないじゃないですか、ジッとしててくださいよ師匠……っと、綺麗な肌していますね~」


 ごそごそとサリーに脱がされながら彼女は情けない声を上げ続け、一糸纏わぬ姿となったころにはフラフラしながらサリーに連れて行かれたわ。そのときに、胸が背中に当たって柔らかかったけど……それを気にする余裕はなかったの。

 浴場への扉が開かれると、中の篭った熱気が湯気となって脱衣所に上がってきたから、すぐに扉を閉めてからサリーは彼女に浴場を見渡せるように前に立たせたわ。

 半ば放心していた彼女だったけど、前に立たされたことに気づいてすぐにビクビクと怯え始めたんだけど……浴場をチラリと見ると驚いたようにもう一度見直したわ。


 彼女が驚くのも無理はないわ。

 だってね、その浴場は本当に広くてお城にしかないのではないかと思うくらいの広さの湯船があったんですもの。

 その広い湯船には体格の大きい獣人の女性が何名も入ってて、その女性達の体格で広い湯船が普通に見えてしまうぐらいだったんだけど、近づくと広いのが本当に分かったわ。


「うわぁ……お、おおきいです……」

「そりゃあそうですよ。この街は冒険者ギルドがあるので、いろんな種族の獣人がやってきますから」

「そ、そうですね……でもここに入ったら、足が付かなさそうですね……」

「はい。ですから、ワタシたちはこっちのほうです」


 そう言って、サリーが彼女の手を取って案内した湯船は彼女たちが入るのに適した深さの湯船だったわ。

 木枠の桶で湯船の湯を掬うと、サリーはまず自分の頭から掛けて……次に彼女の頭にお湯を掛けたの。

 濡れた髪から頭を振って水気を飛ばすと、顔を手拭いで拭ってからサリーが湯船に入るのを見て、彼女も恐る恐るだけど湯船に足を入れたわ。

 湯の中に入れた足からじんわりとした温かさが伝わり、警戒を緩めたのか彼女はゆっくりともう片方の足も湯の中に入れ……そこからゆっくりとこじんまりとしたお尻を浮かして、湯船の中に身体を沈めたわ。

サリー、Sに目覚める。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ