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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
人の章
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番外編:アリス・5

 窓を見ると再び時間が飛んだのか、窓の外のアタシが凄く嫌そうに目の前の獣人と話をしていました。

 かなり嫌っているのが分かるほどのこの部屋の中にまで、嫌悪の感情が滲み出ていました。

 正直、居心地が悪くなるのを感じつつ、嫌うべきじゃないのではと思いつつ窓の外を見ていると、獣人の人が喋り出しました。

 その獣人……確か、チュー族……でしたよね? その人が何を言ってるのかはアタシには良く分かりません。ですが、理解が出来なくても、何というか……こう、鳥肌が立つといえば良いのでしょうか? 何ていうか……ねっとりとした何か妙な感覚で見られているような気がして、嫌な気分でした。


「な、何だか……あの人苦手かも知れません…………」


 人は見かけによらないと何処かで聞いたような気がしますが、何かあの人はその度合いを遥かに飛び越えてしまっているような感じがします。

 そして、勇猛果敢な性格をしていると思う窓の外のアタシもこの人を相手するのは無理と判断しているのか、逃げるように家から飛び出して行きました。

 ちなみにその最後に、よく分からない……多分、下着だと思う物を見て叫んでいましたが、良く分かりませんでした。あと、あの紐が2つ付いたのは何だったんでしょうか?


 疑問に思っていると、また窓の景色が変わりました。

 次に映し出されたのは……その前の最後に見た下着に近いデザインをした……というか、動き易いタイプの下着ですね。

 住んでいたホンニャラッカのデパートでも偶にこういう下着が売られているのを見たのを少しだけ覚えています。

 あとは、もっとでかくて野暮ったい感じのデザインのパンツが主流なんですよね……って、どうしてパンツの話をしていたんでしょうかアタシは。

 それでそのデザインの下着が可愛らしい縞々の柄をしていて、枕元に置かれていました。


「ちょっと、可愛いかも知れません……って、え??」


 可愛いなと思ってたアタシでしたが、窓の外のアタシは気に食わなかったのかそのパンツを一瞬で灰に変えていました。

 可愛かったのになぁ……でも、此処では必要無いか……。

 残念と思いつつも、諦めの溜息を吐いてアタシは窓の外を見ていました。

 すると再び光景が変わり、窓の外のアタシはついさっき出ていたチュー族の人と対峙していました。

 え、何この不穏な空気?? そう思っていると、窓の外のアタシはその人に向けて全力で殴りかかってきました。


「~~~~~~ッッ!! ……え?」


 きっと酷いことになると思って、目を瞑るアタシでしたが……恐る恐る眼を開けると、窓の外のアタシの身体をチュー族の人がぺたぺたと触っているのが見えました。

 それを見たとき、アタシの口からは声にならない悲鳴が上がり、身の毛のよだつ恐怖を感じました。

 自分の身体じゃないけど、自分の身体だから触られていることに嫌悪していました。しかも、窓の外だけでなく……ここに居るアタシの身体も触られているような気がして、イヤな気分でした。

 ですが、それだけでは終わらなかったのです……!

 いろいろ触られて怒った窓の外のアタシは剣を取り出して、殺す気で襲い掛かりました。ここは止めるべきところなのでしょうが、この人には少しでも痛い目を見てもらわないと気がすまないと思い、アタシは窓の外のアタシを応援します。

 頑張れ、窓の外のアタシ!!


 ですがチュー族の人は紙一重で、窓の外のアタシの剣を避けているではありませんか。それに驚きつつ見ていると、その人は窓の外のアタシのスカートを捲り上げました!?

 自然と真っ赤になるアタシの顔ですが、さらに恐るべきことが窓の外では起きていました。

 捲り上げられたスカートが元の位置に戻るとともに、ひらりと何かがスカートの中から落ちてきたではありませんか。

 同時にアタシのお尻も何だかスースーとした感覚を味わいました。え、どういうこと??

 何が起きたか分からないながらも、アタシと窓の外のアタシは同じ行動を行います。恐る恐る服越しにお尻を触るという行動を……。


「え? え……? えぇ??」


 たとえ寝巻き姿だったとしても穿いていたはずのアタシのパンツが在りませんでした。

 多分ですが……窓の外のアタシのが無くなったからアタシのも無くなったのかも知れません。

 そう思っていると、チュー族の人は窓の外のアタシに向けて何かを囁きましたが、アタシの耳には届かない声でした。

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