王様と謁見しよう
城の中はどんな感じかって?
んー、そうね。一言で言うと煌びやか、って感じよね。
通路の真ん中には赤い絨毯が敷かれて、壁には燭台が付けられて、仕事をするメイドたちが通路の隅を駆け回っているのよ。
……あー、うん、ごめん。表現しようにもちょっと言い方が伝わりにくいわね。
まあ、彼女は衛兵に案内されながら、王様のほうへと向かって歩いていったわ……ちなみに周囲の視線が痛かったけど、それもそうよね。
だって彼女の服装は……ボロボロの冒険者装備+ボロ布という城にはすごく不釣合いな格好だったもの。
「あの、この格好で謁見っていろいろ不味くないですか?」
「大丈夫じゃないかな? 一番遠くから来たゆうしゃは葉っぱ一枚だけだったし」
「はあ、そうで――え、ゆうしゃって他にも居るの?!」
「そうだよ? 基本的には大きな街にはひとりは居て、彼らはステータスが見れるようになったら王様のところに行って挨拶を行うという決まりがあるんだ」
「そ、そうなんですか……」
「まー、来る途中で魔物溜に飛び込んだゆうしゃなんて言うのは初めてだけどね! はははっ」
「デスヨネー……」
笑う衛兵のあとに続いて彼女は幅の広い階段を上り、2階へと上がった。
途中、仲間を3名ほど連れて歩くイケメン感丸出しな青年とすれ違ったが、向こうは横目で彼女を見るだけだった。
ちなみに衛兵曰くあのイケメンもゆうしゃだと言う。
イケメンってなんだって? あー……男の敵だね。ああ言う人間ほど中身は物凄いクズなんだよ。
それで、角を曲がってしばらく歩くと一際大きな扉の前に辿り着いたんだ。ちなみに強そうな衛兵が2人ほど立っていたからどう考えても王様が居る謁見の間とかだろうね。
「それじゃあ、案内はここまでだ。あとは頑張れよ!」
「あー、ありがとうございました。……というか、この服装で本当に大丈夫なのかな」
「「ホンニャラッカのゆうしゃ、アリス殿っ。王が待っておられます!」」
「は、はいーっ!」
去って行く衛兵に礼を言って、もう一度彼女は自分の服装が失礼では無いかと考え……というか、ボロボロはやばいよね。
そう思った結果、謁見するのに躊躇したようだけど、屈強な衛兵2人が同時に大きな声で彼女が現れたことを知らせたんだよ。
ぶっちゃけ、逃げ道塞がれたね。心から思いながら、彼女は開かれた扉を潜るしか出来ないと考えて、扉を潜ったんだ。
扉の先にあった謁見の間は、広くて近衛兵が横に10人ずつ左右に並んでいたんだ。
そしてその先にある数段ほどの段差の先には豪華な椅子が2脚置かれていて、そこに冠を頭に付けた威圧感のある男の人が座っていたんだ。
まあ、どう考えてもあれが王様なんだろうね。
「ホンニャラッカのアリスか。よく来たな」
「あ、はっ、はい。頑張って魔王を倒しますっ」
「ああ、あまり期待はしておらぬよ。お主は女だし、箱入り娘だったのだろう?」
「そ……そうですか」
彼女はとりあえずその場で言うべきかなという台詞を口にしたんだけど、王様から帰ってきた言葉はまったく期待していないという返答だった。
どうやら、ゆうしゃとして生まれたから援助はしてくれるけど強さで格付けが決まってるといったようなものだったのよ。
で、ホンニャラッカという街は商業都市だったから、最低ランクだとしても援助は平民よりも少し多いってくらいだったらしいわ。
だから例え彼女が国から最低ランクの中での最弱としてされていても、ある程度の収入があったのよ。
いやぁ、ゆうしゃだからひとりしかいないって思ったら複数居て、しかも彼女の位置付けはかなりの底辺だったって言うのを知ったとき、彼女はがっくりとしたわね。
「それに聞いた話だと、何でも出来ると思いこんで魔物溜に飛び込んだから、こんなにもボロボロになってしまっているのだろう?」
「「ぷ……っ」」
「命があっただけマシと思って、ホンニャラッカ周辺でたまに出るスライムでも倒しておれ」
「そ、そうですか……失礼、しました」
「だが、ここまで来た駄賃としてボロボロの衣服を換える代金ぐらいは出してやろう」
近衛兵たちの嘲笑を聞きながら、彼女はプルプルと怒りを堪えていたのよ。正直、その場で暴れ狂ってやろうかってね。
そして、帰ろうとしてたんだけど王様にも少しだけ慈悲があったのか、旅人の服を買うぐらいのGを用意してくれたのよ。
で、駄賃を受け取って、彼女は城から追い出されるように出されたの。