今度こそ、お城に行こう
その後、彼女は冒険者に連れられて街道に戻って、再び王都に向かって歩き出したんだ。
ちなみに服装はボロボロなっていたため、冒険者が野宿に使っているボロ布を彼女に差し出してくれたのでそれを羽織っていた。
現在どんな状態になっているのかとふと思った彼女は、ステータスを見ようと思い――ステータスと呟いた。
すると、目の前にステータスが表示されて、彼女はそれをマジマジと見始めた。
ちなみに自分のステータスを見ることが出来るのは自分らしく、他の人から見ることは出来ないらしいんだよね。冒険者が言っていた受け売りだけど。
それで表示されたステータスはこんな感じだった。
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装備
あたま:なし
みぎて:なし
ひだりて:なし
からだ:ぼろぼろの冒険者の服(女性用)
あし:ぼろぼろの皮のブーツ
装飾品:ボロ布
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なんともみすぼらしい格好になってしまっていた。
とりあえず、モンスターに攻撃を受けたから体力が減ってたりしないかと不安になった彼女は、それらを見ようとした。
けれど、それを見る前に彼女の肩を叩いて冒険者が向こうを指差したんだ。
「おい、あれが王都だぞ、良かったなお嬢様」
「え、ええ……ちなみにお嬢様じゃないんだけど」
「こまけぇこたぁ気にすんな! っと、なんか何時もよりも検問が長いな……って、あんなのが起きたんだから当たり前か」
「そうですね」
まあ、ある日突然、山がひとつ抉れたのだからいろいろと街に入るのが厳重になるに違いないと納得しつつ、関係が無い風にしながら彼女は入場のための順番を待っていた。
とりあえず、それから2時間ほど経過してようやく、彼女たちの順番が回ってきたから検問を行う門番へと近づいたけれど、また新しい問題に直面したのよ。
それは何かって? 簡単に言うと、身分証ね。自分が何処そこの誰さんだっていう証明をするための物よ。
「はい次、身分証をお願いします」
「おねがいしまっす。ほら、お前も出した出した」
「……え、えーっと、身分証って持ってないんだけど」
「「えっ」」
「お、お前どんだけお嬢様なんだよ……!」
「貴様、少し怪しいな。ちょっと来てもらおうか、おい!」
「え、だって持ってないし、知らな――って、えー!?」
ますます珍獣を見る目の冒険者に首を傾げる彼女だったけど、不審人物として見た門番は詰め所の奥に詰めていた仲間の衛兵に声をかけて驚く彼女の肩を掴むと詰め所の奥へと引っ張っていった。
ドナドナの気分を味わいながら、彼女は手を振る冒険者を見ていたわ。
それから彼女はいろいろと事情聴取を受けることになったわ。事情聴取って何か?
んー、何処そこの誰かとか何しにここに来たかって言う話ね。
ちなみにその聴取のときに、彼女が住んでいる商業都市の名前が『ホンニャラッカ』と呼ばれることを知ったわ。
「じゃあ、貴様……きみはホンニャラッカのゆうしゃというのか?」
「はい、よく分からないけどそうみたいです」
「でもなんでそんなにボロボロとした服装なんだ?」
「えーっと、初めて街から出て魔物溜に入って――」
「魔物溜ぅっ!? きみ良く生きてここまで来れたねっ!」
「運が良かっただけですよ」
「まあ、今日城に来る予定のゆうしゃが居ないか問い合わせてみるよ。ちょっとよろしく」
少しだけ気さくな男の衛兵にいくつか受け答えをして、仲間の衛兵が城に問い合わせて来てくれて、少しして彼女は城へ入る許可を貰ったのよ。
ちなみに話を聞いていた衛兵からは驚かれたり、同情されたりしたけど……どうやらこの世界では魔物溜はかなり危険なものみたいなのよね。
え? また彼女が迷子にならなかったかって? ……だ、大丈夫よっ。今回は前の間違いを考慮して衛兵の人に城まで案内してもらったから!
それで、城下町を歩いてしばらくして、城が見えたんだけど……初めてこの世界の城を見た彼女は壮観な光景に驚いたのよ。
だってそうでしょ? 彼だったときの世界でも城はあったけど、日本の城は行こうと思えば行けるけど、外国の城なんてテレビとかでしか見たことがないんだもの。
日本とかテレビって何かって? んー、国の名前と別の風景を映す魔法の道具ね。
え、テレビが欲しい? いや、無理でしょ。作ろうと思って作れるものじゃないんだし。
まあ、田舎者か箱入り娘と思われたのか衛兵には笑われて、彼女は少し恥かしく感じつつも天辺が尖がった塔が4つほどある城へと入っていったわ。
ちなみに装備はボロ布よ。