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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
創製の章
492/496

バトンタッチ(居残り組)

視点はヒカリです。

遅れました。

「来ますよ、皆さん。気をつけてください」


 アリスの声が聞こえた瞬間、瘴気が形を取った気味の悪い肉塊がボクらへと襲い掛かってきた!

 それに対してアリスは……手を出さないッ!?

 それに驚きながら、ボクはアリスに問い掛けた。


「ちょっ!? アリス、何で戦わないのっ!?」

「すみません、事前に言うべきでしたが……ここは一度アナタがた3人で戦ってみて欲しいんですよね」


 アリスがそう言うと、ボクらは当たり前に固まった。

 そして……。


「「「は、はいっ!?」」」

「つまりですね……。ああ、ちょっと邪魔です!」


 驚く声がボクら3人の口から洩れた。

 けれど、接近してくる触手が面倒だったのか一度だけ薙ぎ払うと、改めてアリスがボクらの顔を見てきた。

 対する肉塊は薙ぎ払われた触手が消滅したのを理解すると、アリスを警戒したのか様子を見始めた。

 それを確認するまでも無くアリスはボクらを見ると、中断していた会話を再開した。


「つまりですね、アタシの力は強大であんな雑魚なんて一撃で倒せると思いますよ?

 けれど、アナタがたは如何なんですか? アレを倒せないと、ゆうしゃライトを助けることなんて夢のまた夢なんじゃないですか?」

「……そ、それは、そう……だけど……」

「一応危険なことになったら、スペースが助けるのでそれまでは3人で何とか出来るか頑張ってください」

「ますたー、監視役はお任せを」


 何時の間にか……いや、静かに待機していたであろうウサミミの少女。確かアリスの武器の形態のひとつだったよね?

 それがアリスに頭を下げてから、ボクらを見た。

 その視線から逃れる……わけではないが、ボクらは互いを見た。

 ……ルーナ姉は、ボクらが如何言うかを待っているようだった。

 シターのほうは、突然のことで驚いているのか微妙に顔を蒼ざめさせていた。

 そして、ボクは……。


「そう……だよね」

「え? ヒカリ、さま?」

「ルーナ姉、シター、ボクらはライトを助けたい。そうだよね?」


 ボクの言葉に、2人は頷く。


「だったら、きっとあんなのとも何度も戦うこととなるはずなんだ。……まあ、あの四天王みたいなのは居ないと思うけど」

「そうね。あんな敵が何百とかいたら、普通に地獄だわ……」

「そう、ですね……。あのときはアリス様が居てくれたから何とかなりましたが……」

「けど……それじゃあ、良くないって思うんだよ。アリスの言葉で気づきたくなかったことに気づいたんだけどさ……ボクたちが一番戦えていないのじゃないかって……」


 世界樹の下で、アリスがサリーやロンたちと会話をしているところを見ると、両方とも戦いを繰り広げていたに違いない。

 そして、今現在小屋に篭っているティアとフィンも……戦いを頑張っていたらしい。

 なのに……今のボクらはなんだろう? ライトが醜くなったことに、人間を止めてしまっていたことにショックを受けて落ち込んでいるだけじゃないか。

 それじゃあダメだ。ダメなんだ。


「ライトを助けるためにボクたちがしなければならないこと、それは強くなることだよ。

 そうじゃないと、ボクらはライトを助けることなんて出来るわけが無いんだ!」

「ヒカリちゃん……、あなたそんなことを考えていたのね……」

「ヒカリ様……」


 ルーナ姉とシターが互いに顔を見合わせ、頷いた。

 そして、ボクを見ると……。


「やりましょう、ヒカリちゃん。わたしたちであの瘴気の化け物を倒しましょう」

「シターたちはもっともっと強くならないといけないんですから……頑張ります!」

「二人とも……。うん、頑張ろう!」

「「「大好きなライト(ライくん)(ライト様)を助けるために!!」」」


 気合を込めて叫んだ瞬間、シターとルーナ姉の2人の身体からは神使の力が解放されたのか輝きを放ち始めた。

 ……一方、ボクのほうは神使は応えてくれず……変化は起きなかった。


「話が纏まったみたいですね。それじゃあ、受け取ってください」


 そう言うと、アリスはボクたちに3つの珠を差し出した。

 ボクらはそれを受け取ると、その瞬間――珠が光を放ち、形を変化し始めた。

 ルーナ姉は月を模したであろう地球儀ほどの白銀に輝く球体が付いた細い杖へと……。

 シターは5つの輝く星のような飾りが付いた、メイスへと……飛ばないよね?

 そして、ボクの珠は……2本のナイフへと変化した。ただし、輝きが弱いように感じられた。

 ……見た目は神使の力を使ったときに現れる武器の形と似ているのだけれど、放たれる力は段違いだった。

 それを手にしたルーナ姉は目を見開きながら、武器を眺めていた。


「凄い……、これなら……いけるかも」

「これは……凄い力を感じます……」

「そ、うだね……」


 2人の声を聞きながら、ボクはナイフを見た。……一瞬、ボクの中に居る神使が涙を流しているのが見えたが、気のせいだろうか?

 そう思っていると、肉塊はアリスが攻撃をしてこないと言うのを判断したのか、再び触手を伸ばして襲い掛かってきた。

 それを見ながら、ボクらは戦いを開始した。


……首痛いし、寝冷えしたのかなぁ?

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