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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
創製の章
483/496

話し合いの結果(四人組)

ロン視点です。

 一気に見に行ったら良い。

 そう、アリスは言っているが……、もちろん言われた自分たちは微妙そうな顔をしていた。

 ……そんな顔をするのは当たり前だろう。一度に移動出来るかと聞かれたら出来るわけが無いし、移動したらしたで道中で邪族に襲われないと言う可能性は無いのだ。

 それに、主戦力となる将軍たちが出かけたときに再び街を邪族が襲ってきたら一溜まりもないだろう。

 それが分かっている将軍たちは、そう言ったアリスを見た。


「アリス、貴公も分かっているだろう? 今この国は大変な状況にあると言うことを」

「そんな中で、ウシたちが揃って街の外に出て他の街に向かうこととなったら、きっと住民は不安がるだろう」

「故に、我ラハここから離れるワケにはいかぬのだ……」


 辛そうに将軍たちはアリスに向かってそう言うのだが……、アリスのほうは。


「そう、ですね……。そういう問題があるんでしたよね……。仕方ありません、でしたら街ごと転移とか浮遊とかさせたかったのですが、ここはロンたちとダイクに行かせることにします」

「「「「……アリス、今何て言った?」」」」


 何というか、サラリとアリスはとんでもないことを言わなかったか?

 街ごと転移と聞こえたのだが……?

 聞こえた言葉は自分の空耳かと思いつつ、タイガとトールを見ると聞こえた言葉に首を捻っており……、フェニを見るとアリスの言葉は聞こえたらしいが現実を受け入れられないのかぶつぶつと呟いていた。


「ま、まちごとてんい……? ふゆう……? ひとりでできるものじゃないってば……なに、ほんとうなんなの……?」

「あら~? 中々凄いわね~、アリスちゃんってば~♪」


 フェニの母親は、そんなフェニの様子を微笑ましく見つつも、アリスを褒めているようだった。

 そして、将軍たちは……冗談で言っているのだろうが、本気にしか聞こえないアリスの言葉に頭を痛めているようだった。

 ……いや、冗談っぽく言っているが、やろうと思えばコイツは出来るはずだ……。

 そう思いながら、自分はアリスを見るのだが……ダイクだからなのか、本人は本気なのか如何なのかが良く分からない。


「……ロン殿、フェニ殿、トール殿、ダイク殿……そして、タイガ様……。無理を承知で言いますが、我輩の軍が駐留する街を見てきてもらえないでしょうか……?」

「ウシの砦も……出来ればで良いのですが……」


 ……どうやら、聞かなかったことにしたようだ。

 そして、自分たちに頭を下げつつチキン、ビーフ両将軍が自分たちへと頭を下げてきた。

 その行動に、自分……いや、自分たちは驚き動揺する。


「お、おっちゃんたち、頭を上げてくれよ……」

「あの……あ、たま、上げて……くだ、さい」


 頭を下げられていないトールとタイガは慌てながら2人へと声を掛けるが、その様子を見る限り……口ではこの街から離れることは出来ないと言っているが、そこに置いてきた仲間や部下たちを心配しているのだろう。

 自分たちも同じ立場であったら、心配するに違いない。そう思いながら、自分はフェニを見る。

 すると彼女も同じ考えをしていたらしく……、自分の視線に気づき首を縦に振った。


「将軍、ウチらで良ければ、街を見てきます。ですから、顔を上げてください」

「微力ながら、自分たちが力になりましょう」

「……貴公ら……、頼める……だろうか?」


 チキン将軍の言葉を聞き、自分たちは顔を見合わせ……頷いた。


「任せろ、おっちゃんたち! オレたちがしっかりバッチリ見てきてやるからよっ!!」

「タイガ、調子に乗りすぎ!!」


 白い歯を見せるように元気良く返事を返したタイガだったが、何時もの調子になっていたためにフェニに頭を叩かれていた。

 とりあえず、これで良いだろう。


 ◆


 一夜明けた翌日、自分たちは街の入口である門の前に立っていた。

 その傍らには将軍たちが用意した馬車が置かれていたのだが……馬は居なかった。

 そんな、車のみ置かれた状態の馬車を前に将軍たちが微妙そうな表情をしていた。


「一応、用意してくれと言われたから用意したが……、本当に馬は必要ないのか?」

「……自分も、詳しくは分からないが……アリス、いや既にダイクに戻っていたか。彼女が必要ないと言っている」


 心配そうに問い掛けてきたビーフ将軍へと、自分は事前に聞いたことを答える。

 ……正直、不安しか残らないのだが、大丈夫なのだろうか?

 そう思っていると、逸早く馬車の中へと入っている人物がワクワクといった様子で自分たちに声を掛けてきた。


「いったいどんな感じに移動するのかしらね~? 本当、楽しみだわ~♪」

「――って、何でお母様も付いてくるのよっ!?」

「あら~? だって、お母様もそろそろ家のほうが気になるから、道中寄るかも知れないし付いていったら良いかな~って思ったわけよ~♪」

「寄らないから! 寄るつもりも無いから!!」


 ……どういう訳か、フェニの母親であるホウオーさんが付いてくることとなったのだった。

 しかも、自分たちと同じようにアリスに見た目を獣人のようにしてもらった状態で……だ。

 見た目はフェニそっくりな感じなのだが、彼女よりも歳を取っているからか成長しており……何というか、母性という物を感じられる見た目であった。

 ちなみにそうした理由が……「フェニちゃんみたいになってみたかったから~♪」だそうだ。……フェニが怒るのも無理は無いだろう。

 そう思っていると、何処に行っていたのかダイクが漸く現れた。


「お待たせしました皆さん、ポーク将軍。気休めですが、ますたーが周辺に結界を張りましたので、その中でなら邪族も普通に倒せるはずです」

「ソウ、か……。助かる」

「いえ、気にしないでください。知り合った人に死なれるのはますたーも心苦しいみたいですから、無理だけはしないようにしてください」

「わかった。気をつけよう……それと、物資の補給……感謝する」

「気にしないように、……では我らは移動をするとしようか」


 ダイクが一通り話を終えると、自分たちの前へと進む……が、いったいどうやって移動をするつもりなのだろうか?

 そう思っていると――、ダイクが軽く宙を回るとその身体を人型からずんぐりムックリの……ワンダーランドと呼ばれていた白い毛並みで紅い目を持つ生物の姿となった。ただし……それよりも遥かに巨大な姿で。

 その様子に呆気に取られながら見ていた自分たちだったが――。


『ブウッ!!』

「乗れ……ということか?」


 自分がそうダイクに尋ねると、コクリと頷いた。

 その様子に、自分たちは驚きつつも顔を見合わせ……、馬車へと乗り込んだ。

 自分たちが全員入ったのを見届けると、ダイクは本来馬が牽くための箇所に自らの身体を取り付けると……将軍たちに軽く頭を下げてから、一気に走り出した。

 それを見ながら、自分たちは移動を開始するのだった。

……あかん、結構本格的に思い浮かばない(汗

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