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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
創製の章
481/496

話し合い【中編】(四人組)

前半、アリス。

後半、お嬢様視点です。

『こちら、ハートクイーン。ますたーの知り合いに搾り立てのライトアップジュースを飲ませましたオーバー?』

『こちら、クローバーキング。獣人の街で動けないほど瘴気が身体に溜まった人たちに、同じくライトアップジュースを飲ませました。オーバーって意味がわかっていないけどオーバー?』

『こちら、ダイアジャック。我も待っている間に飲み物をと言いながら、ライトアップジュースを三将軍に差し出して飲ませました。おーばー』


 ……オーバーって意味が分かっていなくてもオーバーって言うのはどうかと思いますよ?

 とりあえず、言わないほうが良いと思います。


『『『了解しました、ますたー』』』


 頭の中に響く声にアタシは返事をしつつ、何時の間にか創られたこのライトアップジュースが入った瓶を見ます。

 ……普通にジュースの瓶ですが、中の液体は輝きを放っており……正直な言い方をするとあまり飲みたいとは思えない見た目をしていました。

 まあ、別の言い方をするなら神々しいとも言いますか……。

 これは何時の間にか《異界》内で創られており、どうやらワンダーランドが創った……と考えるのが妥当だと思います、そして原材料はしばらく前に創った輝くアップの実のようですね。

 いえ、ちょっと違うように思えるので……まさか《異界》内で品種改良がされている……? ま、まさかね?

 そう思っていると、ライトアップジュースをこっそりと飲ませている3体から、飲ませた結果が届けられました。


『こちら、ハートクイーン。ますたーの知り合いのお嬢様とメイドさんの2人は体内の穢れが除去された模様。額の石が綺麗に透き通っています』

『こちら、クローバーキング。こちらは少し飲んだらすぐに吐き出しかけていたので、悪いと思いましたが無理矢理飲ませましたところ、苦しそうにしていましたが少しだけ浄化されたのを確認しました』

『こちら、ダイアジャック。初めは躊躇していましたが、一口飲んだら美味しかったらしくガブガブと飲んでいます。酒があったらと言っているので、近いうちに発酵させてみることを提案します。あと、やっぱりビーフ&ポーク将軍は前線に居たからか瘴気が溜まっていたようです』


 なるほど、了解しました。

 ハートクイーンは、変装をして前線に出ていた兵士たちにアップを剥いた物を差し出してあげてください。多分、水分が足りないでしょうから、受け取ると思います。

 ちなみに体内の瘴気を浄化させる目的ですよ?


『畏まりました。ハートクイーン、行ってまいります!』


 頑張ってくださいね。

 次に、クローバーキング。獣人の街には現在浄化の結界を発動させましたから、それに相乗出来ると思いますが飲ませるのが無理だった場合は……浸すとか考えてみては如何でしょうか?


『なるほど、水責め……ですが。さすがますたー、恐ろしい人です』

『違いますからねっ! 中が無理なら外からって言ってるだけですからねっ!!』

『了解しました。クローバーキング、ありとあらゆる方法を試させていただきます』


 程ほどにお願いします。

 最後にダイアジャック。そちらの現状を教えてください。


『はい、こちらは現在ますたーの知り合い2名を待っている最中でしたが、将軍たちは2人が倒れていたことは知らなかったらしく驚いて立ち上がり、彼女たちの部屋に向かおうとしていました。ですがそれよりも先に2人が部屋にやって来たことに驚いています。

 そして、今は我に向けて頭を下げています』


 ……あー、多分……見えていますよね?

 ダイアジャック、彼女は何て言っていますか?


『はい? えっと、無事で安心したことと、助けてくれたことへの感謝です』


 ……なるほど。ダイアジャック、少し貴女の目と耳と口を借りますね?


『畏まりました。どうぞ、我の身体をお使いください、ますたー』


 ダイアジャックの声を聞いて、アタシはゆっくりと目を閉じ……そしてゆっくりと目を開きました。

 すると、そこには……アタシ、いえ、ダイアジャックへと頭を下げるシストさんの姿が見えました。


 ◆


「あ、あー……あー……。テステス、マイクのテスト中ー」

『『『は?』』』


 わたくしは部屋に入り、テーブルの上座に座る獣人の少女を見ると……すぐに頭を下げました。

 意識が朦朧としていましたが、わたくしを助けてくれたのはきっとこの子だと思ったからです。

 ……が、ゆっくりと顔を上げ少女の瞳を見た瞬間、わたくしの直感が囁きました。

 その直感に逆らうこと無く、わたくしは少女へと言いました。


「貴女は……、無事……だったのですね」


 そう少女へと言った瞬間、少女は目をゆっくりと閉じ……再び開かれたときには、紅い瞳が碧眼へと変わっていました。

 そして、今の訳の分からない言葉です。

 少女の発した言葉に全員が変な声を漏らしました。……勿論、わたくしもです。

 ……が、ポーク将軍たち以外に部屋に居た4人の獣人? ……いえ、獣人、じゃありませんね?

 勘、だと思うのですがそれが激しいまでに感じられ、わたくしは目の前に居る4人が獣人で無いと言うことを確信出来ました。

 まあ、その4人の獣人モドキの方たちは、少女を見ていましたが……確証は無いけれどといった様子で、声を挙げました。


「……アリス、か?」

「はい、ロン。アタシです、アリスです」

「そ、そんなことも出来るのね……」

「この子の持ち主ですから」


 4人のうちの年長だと思われる男女が少女に声を掛けましたが、その名前を聞いてシトリンもポーク将軍たちも驚いた様子を見せます。


「……アリス、だと? 本当なのかそれは?」

「しばらくぶりです、チキン将軍。大変だったみたいですね。ポーク将軍とビーフ将軍も、危ないところでしたね」

「本人、だと言うのか……?」

「正直……我には、信じらレン」

「信じる、信じない以前にこれは事実なのですから、諦めてください。っと、フェニのお母さん、ですよね?」


 微妙そうな顔をする将軍たちに少女の身体を借りたと思うソバさんは、そう言うとホウオーさんを見ました。

 声を掛けられたホウオーさんは、困ったように「あら~?」と口にしています。


「そうだけど~、貴女は何処のどなた様かしら~?」

「本来ならばちゃんと顔を出して挨拶をしたいところですが……先に謝らせていただきます。アタシは、人間の国のゆうしゃアリスと申します。

 先代四天王であるクロウたちを倒した者であり、同時に今ここにいるフェニたちを助け……獣人のような姿へと変えさせていただいた者でもあります」

「……あら~…………、貴女、面白いことを言うわね~?」


 にこやかにホウオーさんは微笑んでいますが、目が全然笑っていないようにわたくしは思えました。

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