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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
創製の章
478/496

親子の対面(四人組)

遅れました。

トール視点です。

「あ、あっちぃ……! 離れてたってのに、地面が熱すぎるだろっ!?」

「うっさい! そんなこと言うなら、天炎球が落ちた地面に顔を押し付けるわよっ!?」

「そ、それはヤバイと思うっ!! 何だかわからないけど、絶対に危険だって思うからなっ!!」


 あの後……、フェニおねーちゃんの、魔法が消えてから魔法が燃えていた場所から外周にぐるっと、周って街まで……移動したんだけど、すごく……熱くて、足が焼けどするんじゃないかって……思ったの。

 わた、しも……熱かったけど、靴があるから……問題、なかったの。便利、だよね……靴って。

 本当は、わたしの……シェルを使って、足場にしたら良かったかも、知れないけど……上手に、出来なかったの。

 そう思っていると、フェニおねーちゃんは……タイガを、投げようとしてたけど……ダイク、さんが止めた。


「えっと、フェニ殿……それはやめておいたほうが良いと思うぞ? 何せ、貴女の放った魔法の爆心地は融解しているし、普通に近づいただけでも喉の奥が焼け付くことだろう」

「……良くわからないけど、危険ってこと?」

「うむ、そう思ってもらえれば良い」


 そう言って、ダイクさん……はフェニおねーちゃんと、タイガのケンカを……止めた。けど、摂氏が如何とか……せんどが如何とか言ってて、良く分からなかった……。

 そう思っていると、ドタドタッて……石畳を叩く足音が聞こえた、の……。


「無事か、ポーク、ビーフッ!?」

「おお、チキンッ! 大丈夫だ!!」

「我も無事ダ。そちチラほうは?」

「我輩たちも特に問題は無いが……しいて言うならば、魔力が尽きて休んでいる者が多いぐらいだ……が、この者たちは誰だ?」


 いぶかしむように、チキン将軍って呼ばれた……人はわたし、たちをジロジロと見てきた。

 ちょっと、怖い……けど、その瞳の奥には……ポーク、将軍と……ビーフ、将軍を心配するのが見えた……。

 怖そう……。けど……凄く優しそうな人、かも……?

 そんな風に、思っていると……また、新しい人が……現れた。

 ……あれ? でも、この人……フェニおねーちゃんに、似てる?


「あらあら~? 魔力がフェニちゃんのものだったから見に来たけど~……、フェニちゃんすっごく可愛くなっちゃってるわね~?」

「や……っぱり……」


 のんびりした口調で、その人は……フェニおねーちゃんを見ながらそう言った。

 その声を聞いていたフェニおねーちゃんだったけど……、プルプルと震えるのが見えたの……。

 そう、言えば……ついさっき、おかあさまって……言ってた、よね?

 それじゃあ……、この人は、フェニおねーちゃんの……おかー、さん?


「何でこんな所に居るのよ、お母様っ!?」

「あらあら~、やっぱりフェニちゃんだったわ~♪ ようやく会えて、お母様うれし~♪」


 カンカンに怒ってる、フェニ……おねーちゃんとは裏腹に、おかー……さんのほうは、嬉しそうに笑って、いた。

 そして、そのやり取りの……裏では、ビーフ将軍が、チキン将軍に……タイガのことを、教えてたみたい。

 だって……驚いた顔をしてから、すぐにタイガに頭を……下げてたから。


「……これは、事情説明が大変だろうな」


 って、ロンおにいちゃんは呟いてたけど……、本当に、そう……思う。

 そう思っていると、ポーク将軍……が、話し合いを出来る、場所を用意したみたいで……わたしたちに、声を掛けてきた。


「皆様ガタ、場所の準備ガ整いマシタので、そこで話ヲしましょう。サア、タイガ様……」

「お、おお、悪いな……って、そんなに畏まらなくてもいーんだけどなあ……」


 ……き、きっと、敬語なのは、タイガが居るから……だよね?

 しかも、タイガはタイガで……困ってるみたい。

 けど、わたしたちも付いて行って……部屋まで向かうことに、したの。……その間も、フェニおねーちゃんは……おかーさんを、ギロッて見てたの。

 その視線が、怖くて……フェニおねーちゃんの、服をギュッと……掴んだの。


「えっ!? ト、トール……?」

「フェニ、おねーちゃんは……おかーさんのこと、きらい……なの?」


 わたしの視線で、フェニおねーちゃんは……どんな顔をしてるのかって、気づいたみたいで……気まずそうにしてた。

 逆に、おかーさんのほうは……なんだかわたしを、ジーって見てたの。


「うっ……、そ……そんなわけは、ないんだけど……」

「フェニちゃん、この子可愛いわね~♪ 持ち帰りしたいくらいよ~♪」

「ひゃう……っ!?」


 頬をぽりぽり掻いてる……フェニおねーちゃんを、見てたら、急に背後から掴まれて……背中にフワッと柔らかい感触と優しい香りがしたの。

 多分、おかーさんが……抱き上げたのかも知れない。

 いい匂い……って思ってたら。


「ちょっ!? お、お母様っ!? 何、トールを抱き上げてるのよっ!? トールを抱き上げても良いのは、ウチだけなのよっ!?」

「ふぇ――、えぇっ?」


 そんなの、聞いてないよ……? 突然のフェニおねーちゃんの言葉に、驚いてると……。

 おかーさんのほうは、フェニおねーちゃんを……からかいたいのか、わからないけど……わたしをもっとギューッとしてきた。

 ふかふかで、柔らかい感触に……わたしもうとうとしたくなるけど、寝ちゃいけない……って思うの。

 そう思ってると、フェニおねーちゃん……。ますます怒ったみたいで、顔を……真っ赤にし始めた。

 これは……ダメだって、思うの。誰かに、止めてほしい……って声を出そうとするけど、おかーさんの羽毛で……うまく声が、出せない。


「あ、あら~……か、からかいすぎたかしら~……?」

「お母様、そろそろ……家督をウチに譲って、お母様は草葉の陰で消し炭になっているって言うのはどうかしら?」

「それって普通に、殺すって言ってるわよね~?!」

「それぐらいのことを、お母様はしたんだから……別に良いよね?」


 凄く怒った、フェニおねーちゃんが……杖を構えながら、おかーさんに近づいてくるんだけど……これって、本当に危ないって思うの。

 けど他の人たちは、近づけないみたい。タイガは……先に行っちゃってるし、どうしよう……?

 わたしが……慌てていると、不意に……フェニおねーちゃんの頭が、スパンって叩かれた。


「ふげっ!? ちょ――な、何よっ!?」

「嫌な予感をして戻ってきてみれば……フェニ、折角親に会えて嬉しいからと言って、過激な行動をするんじゃない」

「ロ、ロン……!! べ、別に嬉しいってわけじゃなくて……」


 ロン、おにいちゃんの言葉で、フェニおねーちゃんが……顔を真っ赤にしていたけど、お陰で……正気に戻ったみたい。

 一度おかーさんのほうを見て……。


「お母様、兎に角今はトールを解放してください。そして、いったいどうして此処に居るかの説明をお願いします」

「わ、分かったわ~♪ でも、ポーク将軍が用意した部屋まで、このトールちゃんを抱き締めさせて~?」


 そう言って、わたしはおかーさんに……抱き締められたまま、わたしたちは……ポーク将軍が用意した部屋まで向かうことになったの……。

……うーん、色々なことに集中しているからか霧散霧消な状態?

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