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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
創製の章
475/496

消耗戦(四人組)

カラアゲ将軍視点です。



「あら~、どうしましょうか~……?」


 間延びした声を背後から聞きながら、我輩は引いていた弓から矢を放つと……背後を見た。

 そこには、困った様子で頬に手を当てつつ下を見るホウオー殿が居た。


「ホ、ホウオー殿……。いかがなされた?」


 ゆうしゃアリスが魔王様の城へと無理矢理連れて行かれてから数日が経過したある日、フラッと現れたのがこの御仁なのだが……聞けば、我輩たちが仕えていたティーガ様と同じ四天王であったクロウ様の肉親であるらしく、我輩もポークもビーフも放っておくというのは些か忍びないと感じ、食客として持て成すことにしたのだった。

 それから数日後、突然空に何らかの魔法か何かで投影がされ……そこには、我輩たちにとっての憎むべき相手の1人であるマーリアが映っていた。

 しかも、腹立たしい上に訳が分からないとしか言いようが無いのだが……、奴らは突然邪族と名乗りを入れた。

 そして奴らは事もあろうに他種族からの引抜を提案したのだ。当然魔族にもその誘いは来ていたのだが……最悪なことに、我輩たちは知らなかったらしい。

 その誘いはずっと前から行われていて、大人数の魔族が邪族へと変わっていたということを……。

 ……しかも、どうやら邪族と言うよりも、四天王たちにとっては古い考えで居る我輩たちが邪魔だったらしく、邪族へと変貌した者たちを……我輩たちが離れないで居たポーク将軍の街へと向かわせたのだ。

 自らも邪族へと変わりたいと望む者が街の近くに落下した扉を潜るのと交代するように、黒い仮面を付けた邪族が現れた。

 ……当然、我輩たちや残ってくれていた兵たちも街を壊せてたまるものかという意思の下で、閉じた門を背中に邪族の尖兵たちと戦いを開始した。


 だが、邪族たちは痛みも疲れも感じていないのか、続々と襲い掛かり……、逆に我輩たちは戦力を消耗していくだけだった。

 現状でも、疲れが溜まり動けなくなった兵士たちは後ろへと下げられ、前衛ではポークとビーフの2人を中心に戦っていた。

 ……後は救いといえば救いは、食客として持て成したホウオー殿は攻撃魔法が使えないい代わりに……《炎磔(えんたく)》という独自の魔法が使え、その効果は消えない炎の槍で敵を地上に長い時間磔にするというものであった。

 それで一応は何とかなったのだが、新たな問題は次から次へと発生するようだった。


「くっ!? カラアゲ将軍! 魔法使いの魔力、回復追いつきません!」

「続いて、弓兵部隊! 矢がもう無くなりました!!」

「次の問題はそれか……! ま、まさかホウオー殿も、魔力が尽きたというのか?」


 困った様子で間延びした声を上げた彼女へと少しハラハラしながら問い掛けると、彼女は首を横に振った。

 だが……彼女は、下を指差した。……そこでは。


「……張り付けられた部分を、引き千切っているのか?」

「そうなんですよね~……。これじゃあ、《炎磔》を使っても意味が無いと思うんですよ~」


 地面に磔にされていた邪族の尖兵は、自らの首を千切り落としたり、仲間に手伝って貰いながら磔にされた部分を引き千切っていた。

 ……普通ならばそれで死ぬと思うのも含まれているのだが、尖兵どもは千切れた部分を普通に再生させて何事も無かったかのように再び戦列に戻って行ったのだ。

 これは……魔力の無駄遣いとも思ってしまうのも無理は無いだろう。


「っ!! まさか……、ポーク、ビーフ、貴公らは無事かっ!?」

「大丈夫だ! だが、これは何時まで続くのだろうなっ!?」

「こちらも平気ダ! 多少は疲れてイルが、まだ行ケル!!」


 磔にしても再生して動き出したのだから、ビーフとポークが戦っている尖兵どももと思いながら声を掛けたが……予想通り、奴らは斧で斬られようと殴り潰されようと、再生して動き出しているのが見えた。

 ……距離的に、2人は気づいていないのが幸いと思うべきだろうか……? まあ、気づいていないだろう。

 ……だが、このままではこちらが倒れてしまう。どうにか、何か打破出来ることが起きないだろうか?

 援軍? ……いや、その望みは捨てたほうが良いだろう。

 浮かびかけた考えを我輩は振り払いつつ、ふと……あの獣人の姿をしたゆうしゃを思い出した。

 もし、もし貴公が居たならば、何とかなったであろうな……。いや、無い物ねだりというのは我輩がするべきことではないな……。


「助かる見込みは低いだろうが……、そうなったとしても我輩たちは最後まで力を出し切ってみせようではないか!

 ビーフ、ポーク!! 貴公らも歯を食い縛り、死力を尽くせ!!」

「「応っ!!」」


 生きたいであろう兵たちには悪いが……、我輩たちに付き合ってもらうぞ……!

 心でそう思いながら、我輩は兵たちに命令を下そうとした――瞬間、邪族の尖兵どもの後方で咆哮が聞こえた。


「なっ、何事だっ!?」

「わ、分かりません! ……い、いや、獣人。獣人が2人、邪族どもを屠っていますっ!!」

「なんだとっ!?」


 視力が良い者が確認したのだが、その者自身信じられないとばかりに我輩たちに伝えてきた。

 1人はニャン族であろう耳と尻尾を生やした獣人で、殴る蹴るの格闘戦を繰り広げており……。

 もう1人は、種族は分からないが鱗を生やした尻尾を震わせながら、槍を手に目にも見えない速度で突き上げているという話だった。


「…………あら~? 今の魔力って……」


 ホウオー殿が何かに気づいたように呟いた直後、2人の獣人が攻撃を加えているという後方で、白く燃える火球が放たれ……邪族たちがいる中心へと撃ち込まれた。

 これは……いったい何が起きているというのだ?

 突如変化したこの状況に、我輩たちは目を点にしていた。

うーん、アカン。ちょっと書きにくいかな?

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