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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
創製の章
473/496

一方そのころ……(居残り組)

前半、ヒカリ視点。

後半、シター視点です。

「……よし! 魔方陣の形成完了! ……次に、地脈に接続を開始っと……!」


「……なんだか良く分からないこと言ってるけど……凄いことしてるってのはわかるよ……」

「ええ、本当に凄いことをしてるわ……見ていて、実力差がありすぎるってのが分かるくらいにね……」

「凄く神聖な感じがするのに……話の内容からして、遠くの場所で行っているんですよね……」


 世界樹を前に、アリスが身体を輝かせながら何かをやっており、それをボクたちは離れたところから見ていた。

 ……というか、一体全体どうしてこうなったんだっけ?

 そう思いながら、ボクは目覚めてからのことを思い出し始めた……。



 朝起きると、何故かサリーや……フェニやトールの姿が無く、小屋から出るとフォードにロンとタイガの姿も無かった。

 疑問に思っているボクたちだったが、アリスが彼らを別の用事に出させたという話を聞き……驚いた。

 ……驚いた理由、というのはサリーとフォードを獣人の国へと送り、ロンたちを魔族の国に送りつけたと言うのだ。

 それは急すぎるのではないだろうか。とか思っていたボクだったが、同じように目を覚まして話を聞いていたルーナ姉とシターも驚きを隠せないでいるようだった。

 けれど、驚きの理由はボクの驚きとは少し違ったようだった。

 《転移》自体使える者は少ないというのにそれを複数回使って送り届けるというのも人ではありえないと言うことだ。

 ……でも、アリスは神さまでしょと言ったら、思い出したように手をポンと叩いて、そうだったと思い出していた。


「けど、未だ信じられないわね……、転生ゆうしゃだったはずなのに、気が付けば神さまだなんて……」

「そうですけど……、人間の神さまと同じ威圧感をシターは感じます……」

「わたしもよ……。本当、ゆうしゃって何でもありなのかしら……」

「けど、それを言ったら……ルーナ姉とシターもじゃん……」


 2人は忘れているかも知れないけれど、2人の中には人間の神に仕える神使が眠っていて、その力を使うことで2人は強くなれるのだ。

 ……一応、ボクの中にも神使は居るけれど、あの戦いの後から応えてくれる様子が見えない……。

 いったいどうしたんだろうなあ……。

 とか思っていると、突然アリスから彼女の声とは別の声が聞こえた。この声は……フェニの声だ。


「……す、凄く怒っていますね……」

「ええ、まるで、話を聞いていないみたいな感じに怒っているわね」

「……あー……話の内容がこっちにも聞こえたんたけど、ルーナ姉の予想通りみたい」

「「ああ……」」


 ボクが聞こえたことを言うと、ボクもだけど2人も怒るのは納得……といった風に頷いていた。

 そう思っていると、ケータイのようなもので会話しているのかわからないけど、別の着信があったらしくフェニとの会話が打ち切られ……サリーたちへと変わったようだった。

 ……やっぱり彼女たちも何も聞かされていなかったようだった。

 それをルーナ姉とシターにも教えると……。


「鬼畜ね……」

「酷いですね……」

「だね……」


 そんな風に覚めた瞳でボクたちはアリスを見ていた。

 それからしばらくして、再び武器を創り始めているのか……物凄く光り輝いているのが見えた。

 ……正直、綺麗だと思うけど、ボク以外の2人にはそれ以上のものを感じているようだった。

 そしてしばらくして、お茶を濁すようにしてアリスはサリーとの通信を切った……逃げたね。


「逃げたわねー……」

「逃げましたね……」

「そうだね……」

「さ、さー! 残りの武器を創ろうかなーー!!」


 ……凄くワザとっぽい表現をしつつ、アリスはそう言うと再び武器を創り始めたけれど……順番的にボクらの物だろうか?

 そう思っていると、自信満々にえーっと……ああ、アルトさんだアルトさん。彼女が小屋の扉を開けて顔を出してきた。


「おはよー……! とりあえず、ヒカリさんの分を仮縫いで創ってみたから着てみてくれるかなー?!」

「うわ、何だか凄いテンションを感じるんだけど? そして、凄く嫌な予感も感じるんだけどっ!?」

「気にしないで気にしないで、カモーン……ッ!!」

「えっ!? ちょ――、ルーナ姉、シター、助け――」

「ヒカリちゃん……、頑張ってね……」

「ヒカリ様、頑張ってください……」


 嫌な予感をして離れようとしたボクを素早く掴むとアルトさんは、ボクを小屋へと引き摺り始めた。

 対するボクは頼りになるルーナ姉とシターへと助けを求めたんだけど……2人はそっと目を背けるだけだった。

 た、助けてーー!!


 ……バタンと扉が閉められ、ボクは盗賊っぽい服装からクノイチっぽい服装に着せ替えをさせられました……まる。


 ◆


「うぅ……見える、見えちゃう……下着が見えちゃうよぉ~……」

「うーん、もう少し丈を長くする? それとも、何か下に穿かせるって方法がいいかなー……」


 ぐったりと項垂れるヒカリ様と、すぐ側でツヤツヤとした表情を浮かべるアルト様……何というか凄い光景です。

 ちなみに……アルト様によって創られたヒカリ様の服はどんな物なのかは小屋の中を見ていないので分かりませんが……、下着が丸見えになる服装だなんて……は、破廉恥ではないでしょうか?

 そう思っていると、シターの目はアルト様の目と合い……ニコリと言うかニヤリと微笑まれました。

 ……な、なんでしょうか? 凄く、嫌な予感がします……。


「……どんな服装になるかは分からないけど……、覚悟、しておきましょうシターちゃん……」

「ルーナ様……。はい……」


 諦めきったような瞳をシターへと向けるルーナ様へと、シターも諦めたように頷きますが……出来ればいやらしい服装ではないことを祈ります。

 そう思っていると、不意にアリス様の様子がおかしいことに気づきました……。


「アリス、様……? 泣いています?」

「どうしたのかしらね?」


 疑問に思いつつ、シターたちは近づいてどうしたのかを聞いてみることにしました。

 ヒカリ様は……まだ遠い目をしているようです。


「えと、アリス……様? どうかなされたのですか?」

「二人とも……、確か、ハスキー様と知り合い……でしたよね?」

「ハスキー様ですか? はい、獣人の国でライト様と一緒にお世話になりましたが、どうかしたのですか?」

「死んだんですって……」


 一瞬、周囲の時間が停止したように静まり返り……シターとルーナ様は今の言葉を噛み砕くようにしながらもう一度問い掛けてみました。


「「え……?」」

「……ハスキー様が、死んでいました」


 そう言って、アリス様はサリー様たちと同行しているという存在から聞いた情報を、シターたちへと話してくれました。

 その話を聞いて、シターとルーナ様……そして、ようやく立ち直ったヒカリ様は静かに冥福を祈りました……。

 ……そして、それから少しして獣人の国へと何かをしようとしているのかアリス様は膨大な魔力と、見たことも無い魔力とは違う何か別の力を使っていました。

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