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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
創製の章
444/496

彼らの目的確認

「……それで、これからどうしますか?」


 拠点へと戻ったアタシは開口一番そう言って周りを見ます。

 そこには、何時もの面子であるサリー、フォード、ティア、フィーン、ロン、タイガ、フェニ、トール、ヒカリさん、ルーナさん、シターさんが椅子に座っており、更にこの国のギルドマスターであるシャーグさんとタツオさんが居ました。

 アタシの言葉を聞いた彼らはそれぞれが思ったことを語り始めました。


「ワタシは、獣人の国がどうなっているのかが……気になります。あそこは未だに他国との交渉が出来ない状況で……きっと言い知れない不安や恐怖、後は憤りを感じていることですし、そんな中であの誘いです。

 もしかしたら、断らない人が多いと思います」

「オレもその意見には賛成です。それに……、ハスキーさんたちはどうしているのかが気になります」


 と、サリーとフォードが……。


「あたしも、森の国はどうなっているのかが気になる……けれど、あたしはもう戻らないと決めた身だ。

 だが……やはり、気になるものは気になるのだ」

「フィーンも気になるよー! フェーンたちは大丈夫だって思うけど、やっぱり不安なものは不安だもんー」


 ティアとフィーンが……。


「自分たちも、魔族の国がどうなっているのかが気になっている」

「だな、将軍たちも無事だって思いたいが……やっぱり、アリスのおもいでを見たら結構不安になったしよ」

「それに……、ウチら自分たちのことで手一杯だったけれど、お母様たちの心配をしないと」

「う、ん……。おとー……さんと、おかー……さん。元気に、して……るかな……?」


 そうロン、タイガ、フェニ、トールが言う。


「……ボクたちは、まだ……頭の中がこんがらがってるよ……」

「ええ、ライくんが……信じられないし」

「そう、ですね……。お願いです、シターたちに考える猶予をください……」


 顔を蒼ざめさせたままのヒカリさん、ルーナさん、シターさんが小さく呟きます。


「んじゃあ、とりあえず話を纏めてみるぜ。

 まずはサリーとフォードは獣人の国が気になる。

 次に、ティアとフィーンは森の国が。

 その次にロンたち4人は魔族の国が。

 で、嬢ちゃんたちは頭の中の整理……ってことでいいのか?」


 最後にシャーグさんによって、彼らが求めていることを簡単に纏められました。

 ……うん、4行で纏められましたね!

 心からそう思っていると一斉に頷きました。

 それを見届けてから、シャーグさんはアタシを見ました。


「アリス、おめぇは如何したいんだ?」

「アタシですか? そうですね……皆さんの要望には応えたい。というところですね」

「つまり、一つ一つの国を見て周る……と言うことで良いのか? だが、森の国や魔族の国は分かる。……が、獣人の国はどうするんだ?

 あの国は元人間の国に道を塞がれていて、魔族の国側からは断崖絶壁。そんな中でどうやって?」

「そうですね……。とりあえず、外で飲食物を販売している転生ゆうしゃの方々と相談して、ある物を創ってみようと思います。

 まあ、その前に色々と準備をしておきたいですけれどね……」


 そう言いながら、アタシは翼人の島でワンダーランドが回収していた物を取り出します。

 それは、サリーたちにアタシが創り、用意した武器でしたが……そのほとんどは砕け、折れていました。

 それを見た彼らの表情は悲痛な表情となっており、中でもサリーの表情は今にも泣き出してしまうのではないかという風になりながら……アタシを見ました。


「し……師匠……その、すみません……! 師匠が、師匠が折角創ってくれた物を壊してしまって……」

「えーっと、気にしないでくださいサリー。昔から『形ある物は必ず壊れる』って言葉があるわけですから。それに、あのときのアークの異常性は危険すぎました。ですから、よく持ってくれたと褒めてあげてください」

「師匠……。わかり、ました……」


 シュンっとしながらも、サリーはアタシの言葉に頷いてくれたので、これでよしと思っておくことにしておきましょう。

 そう思いつつ、他の面々を見回してから……武器を見ます。

 うーん……これは、特訓の成果なのかは分かりませんが……何名かは武器を修理ではなく改修にしたほうが良いみたい……ですね。

 心の中でそう思いつつ、アタシはあることを考え始めます。


「…………マイマイ、まだいると良いのですが……」

『『え?』』

「あ、あの、師匠? 何か今とてつもなく聞き捨てなら無い言葉が聞こえたような気が……」

「気のせいですよ? っと、サリー、ちょっとアタシは出かけてきますが気にしないでください。

 晩御飯前には戻ってきますからっ♪」

「とびっきり可愛らしく微笑んでいますけれど、絶対ロクでもないことを考えていますよねっ!? 師匠!? ししょーーうっ!!」


 サリーの言葉を馬の耳に念仏よろしくをしてから、アタシは《転移》を使いある場所へと向かいました。

 そこでちょっと害虫駆除(・・・・)をして、材料(・・)を集めてからアタシは再び拠点へと戻ってきました。

 ……ちなみに時間にして、約3時間ほどです。

 そして、戻ってきたアタシを見て……周りは戦々恐々としていました。……多分、サリーから何処に行ってきたかを聞いたのでしょう。


「し、師匠……? まさか、もう……戻ってきたのですか?」

「はい、盛り沢山に採掘してきましたから、皆さんの武具の材料はバッチリですからねっ!」

「「ソ、ソウデスカ……」」


 アタシの異常性を理解しているのに、サリーは遠い目をして返事をしますが……まあ、良いでしょう。

 あ、けれど……武器はアタシが《創製》すればなんとでもなりますが……、防具のほうは厳しいですよね。

 そう思いながらアタシはティアとフィーンを見ます。……やっぱり、彼女の力を借りたほうが良いですよねー。

 頭の中に芋ジャージを思い浮かべながら、アタシは如何切り出すべきかと悩み始めます。

 ……が、独特の香りが厨房のほうから漂ってきたことで、思考は停止しました。


「こ、この匂いは……、醤油? それに……味噌?」


 アタシ自身は嗅ぎ慣れていない。けれど、思い出の中では嗅ぎ慣れた匂いにアタシの鼻は無意識にひくつきます。

 その直後、厨房からタツオさんの声が聞こえました。


「おう、おめぇら! 晩御飯が出来たぜっ!! さっさと並べて食べなっ!!」


 その言葉に頷いて、アタシたちはおかずが乗られた皿を取りに向かいました。

次回、久しぶりに食べます。

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