表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
時狂いの章
429/496

絶望を打ち砕く者・3

 雄叫びとともにアークの身体からは瘴気が放たれ、奴の周囲は黒い瘴気に覆われて地面が腐り始めるのを見ました。

 ……うわぁ、あれほどの瘴気ってアタシは初めて見ますよ? ……いや、まあ、やばいくらいの瘴気は経験上ではエレクと対峙したぐらいですから、数は少ないですね。

 そう思っていると、アークは意識的なのか無意識的なのかは分かりませんが、瘴気を蛇か鞭そんな風にしながら上空に居るアタシに向けて放ってきました。


「って、危ないっ!!」


 迫り来る瘴気を素早く避けましたが、どうも自在に動くらしく……避けたアタシを追尾するかの如く追いかけ始めました。

 絶対にコレって、盾で防御しようとしても横から襲ってくるとかそんな感じですよねっ!?

 仕方ない、だったら……襲ってくるのを迎撃しましょうか!


「ワンダーランドッ!」


 アタシの掛け声に反応するように、ワンダーランドは形状を変化させます。

 そこへアタシは『聖』の属性を……というか、浄化の力と神気を込めた魔力を注ぎ込みます。

 すると、無数の剣へと変化していたワンダーランドは更に光を放ち始め……新たに変化を行い始めました。

 そして光が収まったとき、そこには……。


「え? えー……っと、アタシ、やっちゃいました?」

『ご命令を、ますたー』


 戸惑うアタシの周りに、兎の獣人らしき少女が数名ほど宙に浮かんでおり、彼女たちは恭しくアタシへと頭を下げていました。

 しかも、彼女たちの格好は真っ赤な鎧に身を包み、朱金色に輝く剣を握り締めています。

 どう見ても、明赤夢に近い鎧とワンダーランドの形態のひとつである剣ですよね。

 コレって多分、創造……ですよね? ア、アタシ、生命生み出したのですか……?

 そう思っていたら、防御も何もしていないと言うことを思い出し、やばいっ! と思ったのですが……アタシを護るように少女たちが前へと出ました。


『ますたーは、我々が護る!』


 まるで騎士みたいに口を揃えて少女たちは言うと、握り締めていた剣を構えると迫り来る瘴気へと斬りかかって来ました!

 って、それ無理じゃないですかっ!? いくら蛇とか鞭みたいに動いて襲って来ていますけれど、それは実体の無い瘴気、この子たちには危険過ぎる相手なのでは!?

 そう思っていると……。


『はああああああああああああっっ!!』

「は――ええぇっ!?」


 気合を乗せるように少女たちは叫ぶと、剣を振り下ろしました。

 すると、剣は光を放ちながら、瘴気を切り裂いて行き――切り裂かれた瘴気は悶え苦しむように霧散して行きます。

 え、どういうことですか? ……いえ、改めて考えてみましょう。多分あの少女たち……とりあえずバニーナイツ隊とでも名付けることにしますが……、彼女たちは一応ワンダーランドの形態のひとつ。とでも思えば良いんでしょうね。

 でも、あそこまで感情があるものですか? そう思っていると、剣を振るい瘴気を切り裂くバニーナイツ隊の詳細データがアタシの目の前に表示されました。

 えぇっと、何々……。


 ―――――――――


 名称:バニーナイツ


 説明:

  ワンダーランドが新たに手に入れた形態のひとつ。

  1体1体が意思を持ち、その創られた身体には膨大な『聖』の魔力と神気を蓄える。

  更に赤き鎧に身を包み、朱金に輝く剣を振るうことで、敬愛する主を護る。

  コードネームとして、トランプの柄と番号で区別される。


 特性:対瘴気武装、浄化、神の僕


 主:創造神アリス


 ―――――――――


 ……わ、わあ…………。

 つっこみどころがまんさいだー……。

 って、創造神っ!? 創造神って何ですかっ!?

 アタシ、人間ッポイけれど人間じゃないって言うのは予想していましたよ?! けれど、神になるだなんて思っていませんってば!!


『ぐあああああああっ!!』

「っ!? お――おぉっ!?」


 アタシが混乱していると、突然下のほうで雄たけびが聞こえたので驚きつつそこを見ると、バニーナイツたちがアタシを襲うために蠢いた瘴気を全て切り払い終えており、その切り口から本体であるアークに向けて浄化の光が向かって行ったらしく……眩い光に焼かれていました。

 浄化の光に包まれるアークは苦しいらしく、大きくもがいており……身体からはジュウジュウと浄化される瘴気が見えましたがあまり効いているように思えません。

 かなり強い浄化の光に見えるのですが……それでも、あまり効果が見えない。ということですか……。


「だったら、もっと強い浄化……いえ、神気の光をぶち込んだらどうなりますかね……」


 そうアタシが呟くと、バニーナイツの1体が近づき……身体を発光させ、ひとつの武器へと変化しました。

 ……って、コレってー……よくSF作品で有名なロボットが持っているので有名な銃っぽいアレですか?

 ああうん、分かります。分かりますよ?

 つまりコレを使って撃てってことですよね? ……まあ、ずっと前にも銃っぽい武装で必殺技をかましていましたし……特に問題は無いんですよ?


「ま、なるようになると考えましょう。ってことで頼みますね。ワンダーランド!」


 アタシはワンダーランドに呼びかけると、銃口を光に悶え苦しむアークへと向けました。

 すると、バレルが伸び始め……グリップ部分がもうひとつ現れたので、それを掴むと待っていたと言わんばかりにバレルはより伸びて、ロングライフルとでも呼ぶべき形へと変化し……指先に感じる引金を引きます。

 直後、銃口の先端に魔力と神気が溜まるのを感じ、アタシはそこへと更に力を込めました。

 すると、光がより強さを増し……、強い力を感じ始め……アタシは銃を持つ両手に力を込めます。


「いけっ! 神の怒り――<ゴッドブレイク>!!」


 掛け声とともに、アタシが居る上空から地上へと高出力の『聖』の魔法と混ざり合った神気が撃ち込まれました。

 その一撃は凄まじく、放たれた一撃は島を……空間を大きく揺らしました。


 …………や、やりすぎちゃった……?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ