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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
時狂いの章
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襲撃

というわけで、動き始めます。


※視点は別世界の大人アリスです。

「……そういえば、今日で2週間よね」

「な、にぃ?」

「サリーたちが神さまの異空間に送られてからの日数よ」

「な、るぅ」


 首を傾げながら、頭の狐耳をピコピコ動かす獣人のアタシが納得しているのか首を振った。

 ……うん、この子もアタシらしいから自画自賛するようだけど…………、すごく可愛いって思うわ。

 特に耳をピコピコさせるところとか。

 そう思っていると、地下のほうから人間の神が上がって来るのが見えた。

 そんな人間の神へと獣人のアタシ……もう狐アリスにしておくわ。がペコンと頭を下げた。


「かれぇ?」

「お疲れ様です。……どうでした、この世界のアタシは」

「お疲れ様。とりあえず、まだ少し時間は掛かりそうだけど……順調にアリスになってきているわ」

「そうですか。ところで……サリーたちが特訓に行って2週間ですが、そろそろ邪神の軍勢が何かをしてきたりとかしないでしょうか?」


 アタシがそう訊ねると、ビクッと人間の神は震え……ギギギッとアタシのほうを見た。

 その顔は何てことを言うんだって感じに信じられないといった印象を抱かせる表情だった。


「え……? あ、あのね、アリスさん? こういうことを言っちゃうとそれこそ本当に起き――」


 ――パキッ!


 人間の神が何かを言い終わる前に、島全体に響き渡るように何かが割れる音が響き渡った。

 これは……、島のなにかが割れた音?

 いったい何の音かと首を傾げた瞬間――、島全体に警報が鳴り響いた。


「ほらやっぱりぃぃぃぃぃぃぃぃ!! こう言うことを言っちゃうと敵とか現れたりするのよッ!?」

「え、そ……そうなのですか?」

「そうなのよ! それが世界の常識なのっ!!」


 ……えー……? そんな世界の常識なんて要りません。

 そう思っていると、リビングが変形を始めた。――って、なにこれっ!?

 ……えっと、確かこの家というか島って……翼人、というか転生ゆうしゃの逃げ場所だったんだよね?

 ってことは、この変形が使われる可能性はないけれど、趣味と持っているスキルを総動員して造ったという翼人の島防衛システムのひとつ?


「って、ゆ――揺れてるっ!?」

「ちちゅー?」

「えっと、つまり……地中に潜り始めてる?」

「そー」


 獣人だからなのか狐系の特徴なのか狐アリスは周囲の変化を感知し易いらしく、現在の状況を告げた。

 と言うか、地中に埋まるのねこの家……ってことは他の家も地中に潜ってる?

 そう思っていると、変形を始めたリビングに幾つもあるテレビ画面が表示された。

 おもいでテレビかと思ったけれど……、どうやらこれは地上の様子を見ることが出来る物らしい。

 ……じゃあ、お言葉に甘えて見てみるとしますか。

 そう思いながら、アタシはテレビ画面を見始めた。


 ◆


 映し出された画面には、島中に響き渡った音の原因であるのか、空間が割れていた。

 少しするとその割られた空間から、これを行ったであろう犯人が姿を現した。


「クヒャヒャッ!! ここかぁ? ここにあのクソガキがいるってのかぁ?!」


 吐き気を催すような高笑いを放ちながら、犯人……魔族の四天王アークが周囲に目を向けた。

 しかしアークが目を向けた辺りにはただ鬱蒼と茂る森しか無く……人の気配は感じられなかった。

 それを見ながら、アークは女狐(キュウビ)に偽情報を掴まされたかと考え、苛立ちを覚えた。

 だが、その考えとは裏腹に地面から盛り上がるようにして何かが出てくるのに気がついた。


「なんだぁ、これは? …………ゴーレムか? ゴーレム……だよなぁ?」


 出てきたそれの正体に気づき、アークは呟いたが……そのデザインに彼は自分が口にしたそれの正体を疑ってしまった。

 何故なら、地面から現れたゴーレムは金属で造られているであろうゴーレムなのだが……通常のゴーレムと同じ大きさであるにも関わらず、デザインが今まで見たことが無いものであったからだ。

 まあ……具体的に言うと、紫色で尖った角を持ったデザインのよくよく暴走し易い決戦兵器なデザインだったり、それと同じ作品でパイロットが動かす前に敵になっちゃって暴走し易いそれにグチャッとされちゃった黒い決戦兵器のデザインだったり。

 国民的ロボットアニメの作品のひとつにある青い運命なデザインだったり、超人が幻想抱いてるアニメに出てくるケンタウロスっぽいデザインのものだったりと様々なデザインをしていた。

 …………このゴーレム作った奴普通にオタク戦士だろっ!!

 何この与えてはいけない種類の人間に技術を与えてしまった結果は!!

 まあ、そんなことを思ったとしても、アークにはそのゴーレムのデザインの元ネタなんて知るはずもないし、話しても理解するはずも無い。


「けっ! まあいい。こいつらを片付けてからオレ様は、あのクソガキを見つければ良いってもんだ。お前ら、やれっ!!」

『『『あ”~~~~…………』』』


 アークが命令をした瞬間、割られた空間からフラフラとした人間らしき者たちが姿を現した。

 ……見た目は人間であるはずだ。だが、身体のところどころは黒く変色しており、黒い珠が顔に付着するかのように張り付いていた。

 しかも、まともな精神を残していないらしく……涎を垂れ流しつつ、フラフラとしながら近づいてくるのが見えた。まるで、ゾンビの大群のようであった。

 そしてそんなゾンビ染みた動きをする人間らしき者たちへとゴーレムたちは歩みよると、蹂躙を開始した。

 3体5体、10体と段々と倒す数が増えていくと共に、割られた空間からは人間のような姿以外のモンスターが現れてきた。

 そのモンスターたちも同じようにところどころが黒く変色しており、グジュリと地面に変色した身体の一部を撒き散らしながら近づいて来ていた。

 それを見ながら、アークは笑みを浮かべる。


「さあ、絶望って物を教えてやるよ……。クヒヒヒヒヒヒヒヒッ!!」


 悦に満ちた笑いを浮かべながら、アークはモンスターたちの後方で陣取るのだった。

>ゴーレムのモデル。

一応ある共通点を目安に決めてみました(笑


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