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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
時狂いの章
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3人娘の特訓~洗礼~

※シター視点です。

 シ、シターそっくりの姿になったシターから飛び出した光がゆっくりと目を開けましたっ。

 その瞳は、シターの瞳の色とは違って黒色でしたが……まるでお星様みたいにキラキラと輝いているように見えましたっ!

 しかも、今気づきましたが……髪の色もキラキラとしているようにも見えますっ。

 シターそっくりの姿に驚きましたけど、凄く綺麗な感じがして……シターはドキドキしていました。

 そして、隣のルーナ様とヒカリ様にそっくりの姿になった光を見てみると……、ルーナ様そっくりな姿にまるで月の光を溶かし込んだような蒼銀の髪が月の光を浴びて輝いているように見え、ヒカリ様そっくりな姿ですが髪がまるで太陽みたいに燃え盛っているように見え……瞳も熱を持っているように感じられました。


「ル、ルーナ様、ヒカリ様。これはいったいなんでしょう?」

「ボ、ボクに聞かれたって分からないよ……」

「わたしは……、昔聞いたおとぎ話を思い出してしまったわ」

「「おとぎ話?」」


 目の前の現象に驚くシターですが、お二人は何か分かっているのか聞いてみました。

 ですが、ヒカリ様もルーナ様も分からないそうでした。だからでしょうか、シターたちはルーナ様のおとぎ話を聞くことにしました。

 それはずっと昔の旅人のお話でしたが……、一応シターも修道院で聞いたことはありますけれど……そんな話でしたっけ?


「たしか、シターの修道院では……若者と領主の息子は兄弟で、娘を口実に若者を殺そうとしていたって言う話でしたよ?」

「シターちゃんのところはそういう風になっているの? 本当、色んなお話があるのね」

「んー、多分……紙に書かれていないから、とかじゃないのかな?」


 そんな風に脱線し始めて、シターたちは色々とお話のことを話し始めていましたが……視線を感じ、そちらを見ると……シターたちの姿を取った3つの光がシターたちを見ていたのでした。

 ……気づいているのはシターだけだったらしく、これは……少し不味いかも知れないと思ったので、ルーナ様とヒカリ様の袖をクイクイと引っ張り始めたのですが……お話のことに夢中で……ああっ、何だか新しい話を考え始めてますっ!?

 お、お願いですから気づいてくださいーっ!


「…………《流星》」


 ああっ、見てますっ。シターたちのことをジーって見ていますっ!! ……って、あの……何か今シターそっくりなかたが呟きませんでしたか?

 そう思っていた直後、ひゅごーっていう音が空から聞こえてきたので……見上げると、空にきらきらと瞬く星が幾つか地上へと落ちてくるのが見えました。

 ……わぁ、綺麗…………って、そんな感じに見惚れている場合じゃないですっ!!


「お、おふたりとも! そらっ、空から星が落ちてきますっ!!」

「何、どうしたのシター? え、星?」

「どうしたのシターちゃん? 空がどうかしたの?」

「「…………え?」」


 漸くシターに気づいたルーナ様とヒカリ様は首を傾げながら、空を見上げました。

 ……空から真っ赤になりながら星が幾つか落ちてくるのが見えて、呆けた声を出していました。

 ですが、すぐにハッとして、お二人はシターの手を掴むと走り出しましたっ。


「ル、ルーナ姉! 逃げるよ!!」

「ええっ! シターちゃんも早くッ!!」

「はは、はいっ!!」


 返事をして、手を引かれながらも一生懸命に走り……シターたちは落ちてくる星から距離を取りました。

 直後、ズズッ……ン! と草原へと星が落ちてきました。そして、距離が離れていたにも拘らずシターたちへと衝撃が飛んで来ました。

 その衝撃に耐え切れず、シターの身体は飛ばされそうになりました。……というよりも、飛び掛けて尻餅を突く羽目になりました……。


「わ……わぷっ!?」

「だ、大丈夫シターちゃん?」

「だ、大丈夫……です」


 シターを心配してルーナ様はこちらへと近づいてくれて、ヒカリ様は星が落ちて草原の土が捲れ上がって土煙になっている中をじっと見ていました。

 もしかしたら、あの3人がどうするかを見ているのでしょうか……? 多分、きっとそうに違いありません。

 その証拠に、ヒカリ様はジーッと顔を前にやりつつ、手をおでこに当てています。


「ルーナ姉、シター。戦う準備をして! あれらが近づいてくるから!」

「ええ、分かったわ!」

「わ、わかりましたっ!」


 話も無く、いきなり戦闘ということに少し混乱しますが……今はシターたちが助かるためには戦うしか無いと思うので、戦いますっ!

 そう結論付けつつ、シターとルーナ様は杖を取り出し構えます。ヒカリ様もすぐにナイフを抜けるように、柄に手を掛けて前を見続けていました。

 すると、ルーナ様に良く似たそれが前へと手を出しました。いったいどうしたのかと思っていると……。


「……《重力》」


「え――? は、ぐ――っ!?」

「な、なに……これ? 身体が、おも……い?」

「これって……、じゅう、りょくが増えた?」


 その言葉が聞こえた瞬間――、まるでシターたちの身体に重りでも載せられたかのように一気に重くなり……耐え切れずにシターたちは地べたへと潰れてしまいました。

 シターたちは何とか動こうとするのですが……、本当に動けません。

 そして、そんなシターたちを見ながら……ヒカリ様そっくりなそれは手を翳しました。


「――《紅炎》」


 小さく、そう呟いた瞬間、動けないシターたちを取り囲むかのようにして真っ赤な炎がまるで生きているかのように燃えながらシターたちの周囲を周っていました。

 ほんの少しの炎がシターたちを取り囲んでいる。たったそれだけ……それだけのはずなのに、一瞬でシターたちの身体からは汗が吹き零れて……服をグショグショに濡らしました。


「な、なによ……これ……ただの炎じゃ……ない?」

「あ、あつ……いです」

「み、みず……」


 口の中が乾いて、身体が水分を欲し始めました。けれど、身体は重石が載せられたようにまったく動けません。

 こんな状態で、つい先程のように星が落とされたら……シターたちは危ないと、思います。

 というよりも、この状況でももう駄目だって……思いますっ。

 だから、ついシターは目をギュッとしていると……。


「……さて、一応甘い考えは危険ってことが判って貰えた……かな?」


 そんな声が、頭上から聞こえ……その瞬間、シターたちの身体が軽くなるのを感じました。

 どういうことかと頭が混乱しつつも、恐る恐る目を開けると……シターたち3人にそっくりなそれらがシターたちを囲んで立っていました。

 ど、どういう……ことですか?

 頭が現状に追いついていかないために唖然としてると、それぞれが絶対にしそうに無い笑みを浮かべました。


「さ、一度休んでから、特訓を開始しようか。死ぬ気で頑張れば強くなれるから頑張ろう? ね、わたし」


 同じような感じのことをシター様とヒカリ様も言われているらしく、シターたちは……ポカーンと馬鹿みたいに口を開けているばかりでした。

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