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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
人の章
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第一獣人発見

 食事を終えた彼女たち3人はその場でしばらく休憩をしつつ、改めてどうするべきかを話し始めたわ。

 彼女がもう一度≪飲水≫を使って出した水を使いながら食べていた木の器を洗いながら、サリーは少しでも移動をして近くの獣人の村に行くべきだと言ったわ。

 すぐ近くの寝転がることが出来そうな大きさの岩の上では腹をパンパンにしたフォードが、このままここで野営をするべきだと言ったわ。というか、こいつ食い過ぎだと思うのよね。

 そんな2人の意見を聞きながら、とりあえずと言って彼女は口を開いたわ。


「近くの獣人の村に行くにも場所が分かってないと、迷子になると思うから……一度高く跳び上がって周囲を見ようと思うんだけど」

「え……だ、大丈夫なんですか師匠?」

「ま、まさかまた俺たちも一緒にってことか……?」

「どういう意味での心配なのかは分からないけど、跳び上がるのはオレだけで周辺がどうなっているかを調べるだけだって」


 彼女の言葉に不安が残るサリーと自分が巻き込まれるわけじゃないと安心するフォードを見ながら、彼女は2人から少し離れると跳び上がるための準備をしたわ。本当ならその場で跳び上がれば良いと思うんだけど、多分衝撃波とかが巻き起こったりするんじゃないかって思うのよね。

 だから、100メートル……うーん、分かり易く言うとフォードを模した人形を90体ぐらい並べた距離ね。……うん、怖いわね。想像したら殴りたくなったわ。

 まあ、2人からある程度離れた彼女は脚に力を込めて、空中へと跳ぼうとしたの……だけど、不意に彼女の本能と言うか野生の感的なものが働いて、後ろを向いたの。そしたら、振り返る寸前に彼女に目掛けて飛んで来る槍が見えて、少し驚きながら彼女は槍を掴んだわ。


「あっ――ぶねーーっ!? って、防御力があるんだから、当たってもちょっと痛いだけだったか?」

「師匠ーっ!? 大丈夫ですかーーっ!!」

「大丈夫だけどー、誰か狙ってる奴が居るみたいだから気をつけ――って、うわっ!? またぁ!?」


 心配するサリーに声をかけながら手を振るが、再び槍が投げ付けられたので今度は掴んだ槍で叩き落したわ。

 そしてすぐにその場からサリーたちが居る場所へと戻るために走り出したの。けれど相手は待っていてくれないらしくて、駆けている最中にも槍はビュンビュンと飛んで来たわ。1本ずつでは無理だと判断したからか、2本に増えて、3本、4本と叩き落して、2人が待つ場所に辿り着くと彼女は周囲を警戒したわ。

 サリーたちも周囲を警戒し……というか、フォードは使い物になっていないのでサリーだけね。

 けれどサリーは獣人だからなのか、気配察知が鋭いみたいで何かを感じ取ったのか頭の犬耳がピクリと震えたわ。


「そこに居るのはわかっています! 姿を見せてくださいっ!!」

「姿を見せないと……、どうなっても知らないよ?」

「! は、早く姿を見せてくださいっ! 師匠が行動を起こす前に! というか、命がある前にッ!!」

「え、何その危険物を扱うみたいな反応は?」


 真剣に叫ぶサリーの頬を抓ってやろうかと思う彼女だったけど、彼女の言葉がかなり真剣だったのが通じたのか隠れていた人物が姿を現したわ。

 でも、現れた場所が場所で彼女は驚いたの。だってそうでしょ? 現れた場所は彼女たちからほんの少しだけ離れた場所で、スッと浮き出るようにしてシマウマっぽい馬に乗って現れたんだもの。

 驚く彼女だったけどサリーがそっと耳打ちしてくれたの、このシマウマみたいな馬はゼブラホースという名前で斥候がよく乗る種類の馬で、主な特徴として乗り手とともに周囲に溶け込むことが出来るみたいなのよ。

 そこに居るはずなのに見えないってやつよ。かくれんぼとかに便利よね。

 そしてゼブラホースの上には人が乗っていたの。身長が彼女の頭2つほど小さい獣人の少女だったわ。その頭には丸い耳があって、お尻のほうからは細長い尻尾が伸びているのが見えたわ。

 少女の耳と尻尾を見て、彼女は前の世界に居たネズミという動物を思い出したわ。ネズミって言うのはね、丸い耳と長い尻尾を持った前歯が伸びている動物よ。

 そして、彼女の想像は当たっていたみたいなの。なんで当たってたのが、分かったって? それはねぇ……。


「我が名はチュー族の戦士ハツカ! 答えよ! 此処が我らが聖域と知って、足を踏み入れたか!?」


 どうやら、この場所は少女たちの部族の聖域だったみたいなのよね。ちなみにネズミはチューって鳴くのよ。ね、ネズミでしょ?

 そして、少女……ハツカの声とともにゼブラホースとともに姿を消していたであろう他のチュー族が姿を現したの。それも、彼女たちを囲むようにしてね。

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