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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
時狂いの章
382/496

閑話休題……か~ら~の?

※視点はサリー視点となります。

 師匠から切り離され、元の姿に戻ったと言うキュウビ……様の含むような笑い声を最後に、おもいでテレビの映像は途切れ……あとは真っ暗な画面となっていました。

 色々とあり過ぎて凄すぎた光景にワタシはポカーンとしながらも、指はぽっぷこーんを食べていました。

 しゃく、しゃく、みゃく、ぽり……。

 サクサクとした食感と時折ふやけてクニャッとした食感、そして弾けていなかった種が残っていてそれを噛み砕く食感が口の中にあります。

 しかも、塩味だけではなくきゃらめるぽっぷこーんという物も混ざっているので、甘しょっぱい味が口いっぱいに広がって――。


「って、ポップコーンを食べてる場合じゃないでしょ!!」

「――はっ! そ、そうでした!!」


 ヒカリのツッコミで漸く自分を取り戻したワタシはハッとしながら、ぽっぷこーんを食べる手を止めます。

 ちなみにワタシと同じように呆然としていたのは、他の皆さんも同じだったようで紙かっぷに入っていたコーラを飲んでいたシターちゃんはコホコホと咽ており、ルーナさんはしかごみっくすとか言う種類のぽっぷこーんを盛大に床にぶちまけていました。

 ……とりあえず、何故こんな風(ぽっぷこーんとかじゅーすを飲んでいる)になっていたのかを言いますと……ほんの少しで終わるものだろうと思っていたアタシたちだったけれど、予想に反して1日2時間ほどのおもいでテレビの映像を1週間ほど見続けるとそんな風にもなりますよね……。

 ちなみに今現在ツッコミを入れているヒカリはつい先程までちゅろすと呼ばれる揚げ菓子を食べていました。

 なお、これらは翼人の島の住人が作り出したものらしく、転生する前の世界にあったものだそうで……ヒカリは凄く嬉しそうに食べていました。

 初めてそれらが出されたときも……。


『えっ!? ポップコーンッ!? ポップコーンなのっ!? うわ、久しぶりに見たぁ! しかも、紙カップに入ってる映画館で食べるようなアレだよねっ!! それも、S・M・L・MEGAまであるしっ!! って、普通塩とキャラメル、後は変なフレーバーとかじゃないのっ!?

 まあ、シカゴミックスは美味いけど、それしかキワドイフレーバーが無いのはどうかと思うのよね』


 そんな感じのことを言っていましたが、興奮していて近寄りたくはありませんでした。

 ですが、まったく何の話をしているかも分からないので、少しばかり気にはなりましたが……。

 まあ、今はそんな話をしている場合ではないですよね。

 そう考えて、冷静になってきた頭を動かして……神様たちを見ました。

 というか、神様たちはおもいでテレビで師匠の記憶が映し出される際には必ず現れるようになり……「休息です」と口を揃えて言うのが当たり前となっていました。

 ……なお、人間の神様は他の神様からにーとと呼ばれて、ほぼ毎日をこの島で食っちゃ寝して過ごしています。お願いですから……仕事してください。

 っと、また話が反れかけましたね。でも、とりあえず話はヒカリに任せることにしましょうか。


「神様! ボクたちも戦いの準備をしないと! 早く強くなっておかないと、騙すとか色々言ってるんだからすぐにでもやって来るはずだよッ!!」

「それは分かりますけど……、貴女はどのように強くなりたいのですか?」


 興奮するヒカリへと獣人の神様が問い掛けてきました。

 その言葉にヒカリは詰まるのが見え……何も考えていなかったんだと思いつつ見ていると、やはり要領の得ない発言が飛び出しました。


「え、えっと……こう、短時間で一気に強くなって、追い返して……ううん、追い返すだけじゃなくて打って出ることが出来るほどの強さがほしい!!」

「…………なに夢物語を言ってるんですか? 現実を見ましょう」


 要領の得ない発言をした結果、残念な物を見るような瞳で獣人の神様はヒカリを見ました。

 …………事実、ワタシも残念な物を見る瞳で見ていると思います……。

 そして、自分自身もトンチキなことを口にしていたと自覚していたのか、それとも漸く察したのかヒカリが顔を紅くして、プルプルと震え始めました……あ、目に薄っすらと涙が。


「ヒカリちゃん……少し、落ち着きましょう」

「そうです、ヒカリ様。ちょっと落ち着くべきです」

「ふ、2人とも……。そう、だよね……少し焦っていたかも知れないや。ごめんね」


 何時の間にか飲み物やぽっぷこーんを片付けたルーナとシターちゃんの2人がヒカリへと近づくと、今にも泣きそうな彼女を慰めてくれました。

 それを見て、ヒカリも落ち着いたらしく……周りへと謝罪をします。

 ……とりあえず、今のままではヒカリは使えなさそうなので、ワタシが聞くことにしますか。


「あの、良いでしょうか?」

「何でしょうか、サリーさん?」

「ヒカリが混乱するのも無理は無いと思うのですが、師匠……いえ、師匠に身体を貸していたキュウビさんがこちらへとすぐに乗り込むと言うことは無いのですか?」


 一番聞きたい疑問をワタシは一番に聞くことにします。だって、今こうして話をしている最中に襲い掛かられるなんてことになったら笑えないのですから……。

 それに、騙すのが生きがいと言ってる人が襲わないなんて言ってるのは胡散臭いにも程があります。


「ああ、それは大丈夫だと思うわ。だって、この時狂いの島は直接移動しようなんて真似をしたら、時空の狭間に飛ばされるし、向かおうにも時間が狂っているから問題ないわ」

「え、っと……つまり?」

「つまりはね、この場所では1週間前の出来事だとしても、島の外だと1日しか過ぎて居なかったり……その逆として、1年過ぎてたと思ったら外では20年過ぎてたとかそんな感じに、島の周囲は時の流れがおかしいことになっているのよ」


 ?? ??? ???? 何というか、ワタシが良くわかっていないからなのか如何なのかは分かりませんが……良くわかりません。

 他の皆さんを見ると……やっぱりわかっていないみたいです。

 何とかして意味を噛み砕こうと頑張るワタシたちですが、人間の神様が口を開きました。


「要するに、時間が無いと思っていたら、凄く時間があった。だから修行しても問題は無い。と言うことです。分かりますか?」

『『『な、なるほど……?』』』


 わかったようなわからないような……。まあ、師匠を害する存在はすぐには来ない。と言うことで良いのですね。

 そう思うことにして、ワタシは立ち上がると家の出口へと向かいました。

 そんなワタシを皆さんは一斉に見ます。


「えっと、サリーさん? 何処に行くんですか?」

「決まっているじゃないですか、フォードくん。師匠を狙って敵が来るならば、その前にワタシ自身も強くならないといけません。ですから、特訓ですッ!」


 力強くワタシは言います。そして、その言葉に反応したのは……ロンさんたちでした。


「ああ、そうだな。アリスには返していない借りがあるから、敵に倒されるのは見ていられない」

「ええ、そうね。襲い掛かる敵がウチらの明確な敵って言うのも分かったんだし、もう少し強くならないと」

「そうだっ! アークの奴をボコボコにしないとオレも気が済まねぇ!!」

「う、ん……」


 そう口々に放す彼らを見つつ、どうやって特訓するべきかを考えますが……とりあえず神気は無理でも、雷の属性を完全に纏えるぐらいはしないと……!

 そう思いながら、一歩進んだ瞬間――。


「なるほど、あなた方のやる気は見せてもらいました。でしたら、私たち神も少しばかり手を貸しましょう。まあ、あなた方の思い出の人物との戦いだけですが……ですので、思う存分戦ってくださいね」

『『え”っ?』』


 あの、今なんて言いましたか?

 何か突拍子も無いことが聞こえたような気が……。そう思った直後、一歩進んで地面に足を付けたところに落とし穴が創られており……ワタシは一直線に落ちてしまいました。

 他にも悲鳴が聞こえるようすからして、他の人たちの足元にも穴が?

 ――って、そんな冷静に考える余裕なんてありませんよ!


『『おっ、落ちるぅぅぅぅぅぅ~~~~~~ッッ!!?!?!?』』


 悲鳴を上げながら、ワタシたちは抗えずに穴底へと落ちて行きました……。

と言うわけで次回からは、特訓編スタートの予定です。

まあ、如何転ぶでしょうね、この人たちは……。

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