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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
人の章
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荒野での昼食・食事編

 サリーの作った昼食を前に、彼女とフォードは食べるのを躊躇っていたわ。まあ、未知への探求があったら食べると思うけど、彼女たちにはそれは持ち合わせていないみたいだったのよ。

 そんな彼女たちを見ていたサリーが不思議そうに首を傾げていたわ。そして目線はどうして食べないのだろうと訴えかけているようだったわ。

 ちなみにサリー本人は平然と黒パンを千切って怪しげなスープに浸して食べたり、ハンバーグもどきを切って黒パンに脂を少し付けてからそれと一緒に食べていたわ。

 そんな彼女を見て、彼女とフォードは覚悟を決めて食事をすることにしたみたい。


 まず最初に、フェネークの香草焼きを食べることにして手で掴んでそれに齧り付いたわ。

 パリッとした皮の食感と淡白ながらに引き締まった身の食感、そしてあっさりとした塩味と香草のピリッとした辛さが口の中で解れていったの。そして食べてから彼女は思い出したの、蛇ってウナギみたいな食感とかするって何処かで聞いたなって……。

 ウナギって何かって? んー、彼の世界の魚でね。ヌルヌルした細い魚だけど、身が引き締まって淡白だから、甘辛いタレを付けて焼いて食べるの。蒸し焼きにもしたりするわよ。それを白米の上に置いてバクバクッと食べるのが贅沢の極みとも言えるわ。


「へぇー……あっさりしてるけど、塩味が効いてて美味しいわ」

「う、うめぇ! あのモンスターがこんな味になるなんてっ!!」

「そう言って貰えると嬉しいです。良かったらこっちのスープも飲んでみてください」

「じゃあ、そうさせてもら――ごふっ!?」

「な、こ――これ、辛っ!? すっぱ!? すっぱ辛!?」


 笑顔のサリーを見ながら、今度はスープを口に含んだんだけどね。口に入れた瞬間、顔から汗が噴出すほどの辛さと、ウンメーの赤シーソ干を一気に数個ほど口に入れたような酸っぱさが一気に口の中に押し寄せてきたのよ。

 初めての味に驚きと戸惑いが押し寄せて、……というよりも彼女の場合は香草焼きの美味しさに安心して一気に飲んだために……喉に直撃して咽たわ。そしてフォードは目を丸くしながら、舌を出して叫んでいたわ。

 その2人の反応にサリーは驚きながら、水を彼女たちに差し出してきたわ。差し出された水を飲みながら、彼女はこれに近い食べ物を思い出していたの。確か……トムなんとかって名前の彼の世界にあるスープ。

 彼女……というか彼はその名前とすっぱ辛いスープだって聞いたことがあるだけで食べたことは無いけど、きっとこんな感じなんだろうと彼女は思ったわ。


「す、すみません……ワタシたち獣人には慣れている味だったのと、久しぶりだったから師匠たちにはすっぱ辛すぎるというのを忘れていました……」

「んく……んくっ……ぷはっ、き、気にしないで……慣れれば美味しく感じれると思うから、でもとりあえず今は置いておいて、こっちのを食べてみるね」

「お、俺もこっちを……というか、少しでも口の中の辛いのを無くしたい……」


 ぐったりしながら、彼女とフォードの2人はハンバーグもどき(名前は知らない)をナイフで食べる分だけ切ると、口に運んだわ。

 熱々のハンバーグもどきを噛み締めると、肉の旨味と十分な噛み応えが口いっぱいに広がると同時にほんのりと塩味が効いていたわ。

 そしてそのまま噛み進めていくと、まだまだ脂が口いっぱいに溢れ出し……更に脂と違ったチーズの味も広がって、益々脂が……うん、正直かなり口の中がギトギトになってたわ。口の中の脂を少しでも抑えようと、彼女は黒パンを千切るとそれを口の中に入れたわ。

 けれど、それはまったく効果は無かったの。美味いことは美味いんだけど、正直言うとこのハンバーグもどきはかなり脂がきついと彼女は感じたわ。隣のフォードを見ると、お肉大好き欠食男子だからかバクバクと食い進めていたわ。

 更に言うと、サリーはサリーでどう言ってくれるかを期待してるような表情を取っていたの。だから正直、脂きついわね。何て言えるわけが無かったわ。

 だから彼女は苦渋の選択として、脂が厳しくなってきた口の中へとすっぱ辛いスープを入れたわ。


「………………ん? あれ、口の中の脂ですっぱ辛すぎるのが中和されて良い感じの味になってる……?!」

「えっ!? マジか? ……おっ! 本当だっ、美味い美味い!!」

「そう言って貰えると嬉しいです。お代わり、どうですか?」

「もらうわ」「いただきます!」


 大輪の向日葵のような笑顔のサリーを見ながら、彼女たちは昼食を楽しんだの。

 こうして、3人の昼食の時間は過ぎていったわ。

料理イメージとしては、今現在の2国はこんな感じです。

人間の国:西洋系の食事

獣人の国:東南アジア系の食事

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