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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
人の章
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フォードとサリーの戦闘

 それからしばらく3人は荒野を歩いていたわ。正直、村があるにせよ人が居る場所を探すにせよ方向が分からなければ危険だと思うけど、とりあえずは山の国境辺りからは急いで離れるべきだと考えてその反対側に向かって歩いていたわ。

 え、彼女は凄いんだからその場で跳んで、近くに何かあるかを調べたらいいんじゃないのかって? んー、あのときは少しだけ焦ってたから、2人を抱えて跳んだみたいだけど……何も無いときに跳んだりしたらいろいろと面倒なことになると思ったのね。

 しばらく歩くと、彼女の身長ほどの大きさの岩が幾つかある場所に辿り着いたわ。それと同時に、ノソノソと地面を歩く生物とパタパタと空を飛ぶ生物が姿を現したわ。まあ、モンスターだけどね。


「んー……鰐っぽい感じの蜥蜴と羽の生えた蛇?」

「2人とも、気をつけてくださいね。モンスターです!」

「わ、分かりました! 獣人の国で初めてのモンスター戦っ、やってやるぜ!!」

「じゃあ、オレも――」

「いえ、師匠は見ててください。ここはワタシとフォード君で行きます」

「え!? ……いや、まあアリスにも俺たちの実力を見せるときだよな!」


 サリーの言葉に意気込みを見せたフォードは荷物を置くと、腰に差した剣を引き抜いたわ。そして、サリーも太股から短剣を2本取り出すと、すぐに駆け出して大き目の岩へと駆け出したの。どうやら地上をフォードに任せて、彼女は空中の相手をするつもりみたいね。

 そんな2人を見ながら、彼女はお手並み拝見と思いながら……その場で腕を組んで、2人の戦いを見ることにしたわ。

 まあ、そんな偉そうにしているけど……彼女に戦い方が分かる訳が無いんだから、ほぼ見てるだけで感想なんて聞かれたりしたら困るレベルだったわ。


 サリーは自分よりも大きな岩を素早く蹴りながら上へと昇っていき、比較的なだらかになっている天辺に辿り着くと持っていた短剣を構えたわ。

 そしてサリーに気づいた羽の生えた蛇……フェネークが急降下して襲い掛かってきたの。

 けれど先手はサリーが取り、襲い掛かってきたフェネークへと片手に握った短剣を投げつけたの。その短剣を滑るようにしてフェネークは避けたけど彼女もそれを納得して投げたんだと思うわ。

 だって、フェネークは突然何かに引っ掛かったように体勢を崩して引っ張られるようにして地面に落ちたんだもの。

 相手が体勢を崩した原因、それはよく見るとサリーと投げた短剣の間にロープが見えたわ。どうやら彼女は事前に短剣にロープを巻きつけて、襲い掛かってくるフェネークの体勢を崩して地面に叩き落すことを考えていたみたい。


『SYYYYYAAAAAAAAAAAAAAAAAAAAA!! SHA!?』

「貰いました!」


 ちなみに後で聞いた話だと、フェネークは空を滑るように滑空するモンスターらしく、風属性の魔法で体勢を崩させるか今みたいな方法で地面に叩きつけることが一番最初に行わなくてはいけないことみたいなのよ。

 そして、地面に叩きつけられたフェネークはまな板の上の鯉のようにじたばたともがいて飛ぼうとしているけど、それよりも前にサリーが残った短剣を逆手に構えると一瞬で距離を詰めて、フェネークの脳天へと短剣を突き立てたの。

 脳天を短剣で突かれたフェネークがうねっているのが見えたけど、しばらくして……パタンと動きを止めるのが見えたわ。


「師匠ー、終わりましたーっ!」

「お疲れ様。で、フォードのほうはどうなってるかな?」


 岩の上で手を振りながら声をかけるサリーに、手を振って返事を返しながら彼女はフォードのほうに視線を移したわ。

 というか、フォードって強いのかと思いながら見ることにしたの。だってそうでしょ? ギルドマスターから聞いた話だと『実力はあるけどお調子者』って人物らしいんだから。


『GAAAAAAAAAAAAAAAASHAAAAAAAAAAAAAAAA!!』

「てりゃーーっ! って、うわっ!? こなくそぉ!!」


 剣を大きく振り被ったフォードは大声でアリゲードに向かって飛び掛ったわ。けれど、大振りの一撃はアリゲードが振るった尻尾で阻害され、フォードは慌てながら一歩引いたわ。

 そして、悔しそうに剣を構え直すと、今度は大きく振らずに軽く振るように攻撃し始めたわ。それを見ながら、多分だけど……フォードはこういうモンスターとは戦い慣れていないのかも知れないと思ったわ。

 だからだろうか、彼はどう戦えばいいか悩みつつも大振りでの攻撃や色んな風に攻撃をしてるのだと思ったの。

 そう思っていると、フォードは再び攻撃を邪魔しようとするアリゲードの尻尾に狙いを定めたように、振るった剣を返す刀で尻尾を半分ほど斬りおとしたわ。


『GAAAA!? GAAASYASHASHASYA!!』

「よしっ! 邪魔な尻尾は片付けた! こっから俺の猛攻だ!!」


 自信満々に言うフォードはその言葉通りにアリゲードに向けて攻撃を開始したわ。そして、本当に尻尾は邪魔だったらしくさっきとは打って変わっての戦いぶりだったの。

 アリゲードが残った尻尾を横振りにして攻撃すると、フォードは下から上へと振り上げるようにして尻尾の根元辺りに剣を命中させて断ち切ると同時に、距離を詰めたままアリゲードの脇腹を足で蹴り飛ばしたわ。

 分厚くも柔らかい脇腹に足の先端が減り込まれたアリゲードは痛かったのか大きな口を開き、吠えるような感じの金切り音を立てたわ。そして、首を曲げてその大きな口でフォードの太股を噛み千切ろうと迫ったけど、それよりも先に剣をアリゲードの背中に突き刺したわ。

 アリゲードの皮は弾力性があるけど、剣などを通らせ難いみたいで身体を揺すって突き刺された剣を抜こうと暴れたわ。


「うわっっとと、よっ……とぉ! へへっ、暴れ馬に乗ってるみたいだぜ!」

『GA! GYA SHA SYA SHYA GAA!!』

「ああ、お調子者ってそんな感じかー……」


 そう呟く彼女に気づかずに、暴れるアリゲードの背中から剣が抜けるとフォードはその場でダンスでもするようにして、また違う場所に向けて剣を突き刺していたわ。

 アリゲードが動く度にフォードが飛跳ね、その度に別のところが傷付く。そんな感じになっている状況だったけど、しばらくするとアリゲードの体力が限界になってきたのか、動きが鈍くなってきたの。そして、それがチャンスと見たのかフォードは最後の一撃を当てることにしたみたい。


「よぉっし! こいつでトドメだっ!!」

『GA――GI! GI G』


 勇ましく叫びながらフォードは突き立てた剣を抜くと、その場から跳び上がって勢いをつけて……アリゲードの首の根元に剣を深く突き刺したわ。

 剣を突き刺されたアリゲードは口を大きく開けて震えたけど、しばらくするとパタッと動かなくなったの。この世界ではどう言うのか分からないけど、どうやら首の骨を砕いたらしいわ。

 それを見ながら、彼女は周囲を見渡したけど今現れた2匹のモンスターしか生息していなかったらしく他のモンスターが現れる気配は無かったの。

 とりあえず、彼女は2人の戦いを見て……良く分かっていないけど、分かった風に頷くことにしたわ。

サリーは犬型の獣人の特性を生かしたスピードタイプ


鳥羽フェザースネーク=フェネーク

アリゲーター+トカゲ(リザード)=アリゲード

安直ですけどね。

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