騒動のひと段落
少し短めです。
「ど、どうも……」
「す、すみませんでした……」
しばらくして、4人の話し合いが終了したらしく、やや疲れた表情のフェニ(?)さんと納得していないといった表情をしたタイガ(?)くんが頭を下げてきました。
「い、いえ……、気にしないでください」
とりあえず、ワタシはそう言うことしか出来ませんでした。
だって、離れた場所から見ている限り、かなりネチネチと文句を言われながら反論しようとする2人を封殺していたようなので、これ以上は可哀想としか思えません。
そして、ワタシのその言葉を聞いた青年がワタシへと近づいて来ました。
「本当に良いのか? お仕置きとして、頭を叩くなり尻を叩くなりしても構わないんだが?」
「か、構うわよ! 頭なら別に良いけど……こんな所で尻を叩かれるなんてはしたない真似はされたくないわよ!!」
「そ、そうだぜロン! オレたちはもう子供じゃねーんだからよ、そんなことされたら恥かしいじゃねーか!!」
ワタシの返答を待つ前に、青年へとフェニ(?)さんとタイガ(?)くんが反論をし始めました。
その言葉を聞いて、青年が再び眉をピクリと動かすのが見えました。
「ほう? 反省したと言うのに、反論をするのか?」
「そ、それとこれとは話が別よ!!」
「そうだぜ! それとこれとは話が別だ!」
そう言いながら文句を言いまくる2人を見て、青年は「そうか……」とだけ呟いていました。
……あ、これって後でお仕置きされますよね? きっと……。
そんな風に思っていると青年が再びこちらを見ました。
「連れが迷惑を掛けてすまなかった。こいつらには後で言い聞かせておく。それと、トールを助けてくれたらしいな?」
「は、はあ……。あ、いえ、それはワタシではなく、こちらのフォードくんたちが……」
「む? そうか、それはすまなかった」
ワタシが青年と話していると、ひと段落着いたことを理解したらしく……フォードくんたちもこちらへと近づいてくるのが分かりました。
「サリーさん、大丈夫でしたか?」
「はい、大丈夫です。それより、フォードくん。この方があの子を助けてくれたことの礼を言いたいそうですよ?」
「え?」
「貴方がトールを助けてくれたのか?」
「あ、は、はい。屋台の隅の辺りで蹲って泣いていたから、見過ごせなくて……」
青年の言葉に、フォードくんは少し緊張しながらそう言います。
それを聞いて、トール(?)ちゃんに合っているか目で訊ねているらしく、恥かしそうに彼女はうんうんと頷いていました。
……あ、何だかこの子、師匠と同じぐらいの歳……なんでしょうね。
そう思っていると、目での問い掛けが終了したらしく……青年が頭を下げてきました。
「そうか。助かった、トールはまだこの街に慣れきっていないから、迷子になり易かったんだ」
「そ、そうだったのか? いや、でも偶々だから気にしないでくれ……じゃなくて、ください」
青年の言葉に、フォードくんはしどろもどろと返事をしていますが……どうやら、萎縮してしまってるみたいですね。
その一方で、青年のほうはワタシたちのパーティーを見ているようですが、突然ピタリと視線を止めてしまいました。
その視線を目で追ってみると……ヒカリが居ました。
「お前は……。そうか、無事。だったのか」
「え? え?」
「ヒカリちゃん、知り合い?」
「し、知らないよッ! て言うか、誰なわけ!?」
焦って困惑するヒカリでしたが、青年のほうは安心したようにホッとして、そして自分の身体を見るように視線を下に移していました。
どういうことでしょうか? そう思っていると、トール(?)ちゃんが青年のズボンの裾をクイクイと引いていました。
「そうか、この姿ではな……ん、何だトール?」
「あ、のね。ロン……、ア――スの、と――知っ――」
内緒話をしたいのか、2人は耳元で何かを話し合い。青年が一瞬驚いた顔をしていましたがすぐに納得したように頷いています。
そして、ワタシたちのほうを再び向き、笑みを浮かべました。
「なるほど。それだったら呼び出された理由も何となく分かるな……」
「ロ、ロン? ど、どうしたんだ?」
「いや、今はなんでもない。兎に角、仲間が迷惑を掛けたと同時に助けてもらって本当に感謝する。それじゃあ、近いうちに会おう」
「え?」
「ちょ――ッロ、ロン、待ちなさいってば!!」
立ち去っていく青年を呆気に取られながらワタシたちは見ていましたが、フェニ(?)さんたちは慌てながら追いかけて行きました。
しばらくして……問答がひと段落着いたことに気づいた街の住民たちが周辺の露店を片付け始めました。
そして、ようやくワタシたちも落ち着きを取り戻し始め……、一度拠点に戻ることにしました。