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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
人の章
3/496

お城へ行こう

 見知らぬ場所で迷子になるって、大変だよね。

 普通なら案内図とか地図とか、案内してくれる人が居たりするけど、ファンタジー世界初心者な彼女がまったく分かるわけが無い。

 ということで、おろおろするのは当たり前だよね。

 で、おろおろしつつも、街の中心の一番大きな建物に向かえば城に着くはず。

 そう結論付けて、彼女は歩き出したのよ。

 ……後から考えると、近くの門に移動して門番とかに聞いて向かえば良いはずだったんだけどね。


 それで街中を右往左往して、ようやく街の中心に着いた彼女は大きな建物を見つけたわ。

 でも、そこはお城じゃなかったのよね。

 だって、建物の入口には『ホンニャラッカデパート』って書かれていたもの。

「……デパートじゃねーかっ!」

 うん、つい叫んでしまったわ。正直、周りの視線がちょっと痛かったけど、叫ばずにはいられなかったもの。

 普通さ、お城よりもでかい建物は建てたら駄目っていう決まりとか無い?

 彼女が彼だったときの世界の国にはあったわ。

 そう思いながらも、デパート入口に立っていた衛兵さんが居たから、今度こそちゃんと聞いてみるべきって思って聞くことにしたわ。


「あの、すみません。お城は何処ですか?」

「お城だって? お城はこの街にはないぞ。東の街道を一時間ほど歩いた先にあるんだ」

「えー……」


 普通、物語が始まったら城からとか、城下町からとかいうのが基本じゃない?

 なのに地味に遠い場所から始まりってどういうことよ!

 とりあえず、衛兵さんに礼を言って彼女は東にある門へと歩き出したわ。

 ちなみに丸腰よ丸腰。

 先立つものも何も無い。ステータスであらわすとこんな感じだったわ。


 ~~~~~~~~~~


 装備


 あたま:なし

 みぎて:なし

 ひだりて:なし

 からだ:冒険者の服(女性用)

 あし:皮のブーツ

 装飾品:なし


 ~~~~~~~~~~


 出来れば装備を買い揃えるぐらいの資金を先に欲しかったわね。

 ちなみに城に行って、王様から『頑張るが良い』って言葉と共に渡されるのが、ひのきのぼうと300Gだったらぶち切れるわ。

 彼女の拳が火を噴くに違いなかったわ。

 あ、ちなみにこの世界の貨幣の呼び方はギリーというものらしい。

 それがステータス表示では1Gとかそんな感じにGとして表示されるようだ。

 なお、彼女の現在の持ち金は『0G』であった。先立つものぐらい欲しいって思うわ。


 そんなことを考えながら道を街中を東に歩き続けると、大層な門と壁にぶち当たったわ。

 中世時代とか巨人が見下ろす漫画とかでしか見たことが無い石で作られた壁を見て、驚きながら上を見上げたのは良い思い出よ。

 で、ここ周辺では争いとかが無いからか、平和ボケしている門番をしている衛兵の欠伸をする姿を見ながら、彼女は街のへと出たわ。

 そして、彼女の目に飛び込んできた風景は草原と踏み固められるようにして作られた街道。

 奥のほうには鬱蒼と茂る森が見えて、改めてここが異世界だということを感じさせられたのよ。

 だってそうでしょ? 母さんの実家の田舎道もこんな感じだけど電灯があるのよ?

 それなのにこの街道には灯りなんてものはまったく無いから、夜になったら物凄く危険な場所になるわ。

 え? 電灯ってなんだって? ……ううん、こっちの話よこっちの。あんたは知らなくても良い話だからね。

 でもって、よく分からないことで唸っていた彼女だったけど、他の人たちも街道を歩いているところを見て、王城がある街はこっちだと思って、ついていったのよ。

 どうやら、彼女が住んでいる街は商業都市だけど、政治を行うのには不向きな場所だったようね。

 まあー、断然泊まるなら王城がある街よりも、歓楽街が目立つこの街って言うくらいの場所だったようよ。


 ってことで、彼女は王様に会うために王城のある街へと向かって最初の一歩を踏み出したのよ。

 はい、今日はここまで。早く寝なさい。

 ……駄々捏ねないの。明日またお話をしてあげるからさ。


 それじゃあ、おやすみなさい。

次回、もしかすると蒼くてプルプルしたアレと戦うかも?

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