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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
人の章
28/496

農村を目指して

 翌日、彼女たち3人は獣人の国の国境にある農村に向かうために馬車を待っていたわ。

 乗り合いの馬車が止まる停留所は南門のほうにあって、彼女はサリーとフォードの案内でその場所に向かって歩いていたわ。

 ちなみにフォードの格好は何時もどおりだけど、サリーのほうは冒険者ギルドの制服ではなく動き易いように配慮されているデザインの身体にフィットするタイプの服装をして、その上に外套を羽織っていたわ。

 そしてフォードの腰には真新しい剣が差されていて、彼女の腰にも同じように真新しい剣が差されていたわ。フォードのほうは一般的なロングソードのようなデザインの剣で、彼女のほうは細身の刀身のカタナに近いデザインの剣だったわ。


「さ、ここが王都からいろいろと遠出するときに使う馬車の停留所だ。確か国境に行くための馬車は……」

「こっちですよ。フォード君、師匠」

「だから、師匠じゃないって言ってるのに……はぁ」

「もう諦めろよ、アリス……ところで、手に持ってるそれって何だ?」

「ああこれ?」


 先程から彼女は道を歩きながら、手に持った赤い丸い物を金色の糸で括って落としたり引いたりを繰り返していたわ。時折、丸い物を落として下のほうで停止させたりもしていたみたい。

 どんな物か想像できないって? んー、ヨーヨーって言う前の世界であったおもちゃなんだけどね、丸い物を紐で垂らしたりして回転させるおもちゃね。……アタシも説明出来ないから、今度作って見せてあげるわ。

 とりあえず、彼女がヨーヨーと言うと2人は首を傾げるがそれ以上の追求はしなかったわ。

 ちなみにこのヨーヨーは何時ものと着けても良いくらいに何時ものになっている2つの鉱石で作られていたけど、これを作った目的は≪創製≫で作った糸がどれだけの強度を持つかと言うことを調べたかったからみたいなのよね。

 そんな風にオリハルコン糸の耐久力を見ながら、2人のあとに着いて行くと……馬が居たわ。まあ、彼女にとっては、馬っぽい何かね。だってヨーヨーを動かすことも忘れてたくらいだもの。


「え、なにこれ? う、馬??」

「何言ってるんだ。馬だろ、ホンニャラッカにも居たんじゃないのか?」

「師匠は箱入りだったから、もしかしたら見てなかったのかも知れませんね。ちなみにこの馬はバッファローホースという種類で長距離移動に適している持久力がある品種なんですよ」

「え、えぇー……そ、そうなんだ」


 苦笑しながら、サリーが乗合馬車の受付を済ませているのを見つつも、彼女は馬車を引く馬に視線が釘付けとなっていたわ。え? どうしてそんなに彼女は驚いているのかって?

 んー、前の世界で馬って言ったらね、ゼブラホースって種類の馬を栗毛色にした感じのスラッとした動物のことを指していたのよ。けれど、今目の前で馬車に括り付けられて、飼い葉をもしゃもしゃと食べているバッファローホースは……角が生えていて、毛むくじゃらでゴツイ感じだったのよ。

 そのとき、彼女は馬と牛がひとつになった生物のようなものにとてつもなくファンタジーを感じたらしいわ。

 けれど、混乱するのは可笑しいのだろうと心を落ち着かせると手を振るサリーに続いて馬車へと入って行ったわ。中は木製で造られていて、クッションなどはまったくない……移動専用と言った造りだったみたい。


「へえ、馬車ってこんな感じになってるんだ。っと、クッションとかあったらよかったのにね」

「師匠っ、だったらワタシの膝に――「断る」――そ、そんなぁ……」

「サリーさんが着実に壊れてきてる……」

「……とりあえず、外套を敷こうかな」


 転生前と合わせても初めて見る馬車の中に感心しながら、彼女は座席になっている場所を見たけど木で作られているからか移動を開始したらお尻が痛くなるだろうと感じたから羽織っていた外套を座席に敷いたわ。

 サリーが何だか変になってたけど、さらっと断りを入れたけど……フォードのほうは幻想がぶち壊されていくのか涙ぐんでいたわ。まるで、思いでボロボロね。

 発車までまだ時間があるらしく、馬車から外を見ると街の人たちが働いているのが見えたわ。あと、一瞬だけど殺し損ねたイケメンを見かけた気がしたけど……きっと気のせいね。まあ、今度会ったらまた蹴りを入れるべきだと思うけど……。

 そう思いながら、彼女は一度自分の装備を確認するためにステータスを見たわ。


 ~~~~~~~~~~


 装備


 あたま:なし

 みぎて:ブラックスチールブレード

 ひだりて:危険なヨーヨー

 からだ:冒険者の服(女性用)

 あし:皮のブーツ

 装飾品:旅人の外套・冒険者のカバン


 ~~~~~~~~~~


 前に見たときよりも、装備は豪華になったと心から彼女は思ったわ。そんなとき、物凄く聞きなれない鳴き声が前のほうからしたわ。


『ブルゥッフヒヒヒヒ~~~ンッ!!』

「なっ、なんなの今の鳴き声っ!?」

「あ、発車するみたいですね。初めは揺れますから気をつけてくださいね」

「この振動も久しぶりだなーっと、動くかっ!?」

「え、何その色んな意味で不吉な言葉は!? いった――いぃぃぃぃぃっ!?」


 驚きながら、隣に居る2人に声をかけようとした彼女だったけど、それは無理だったわ。だって、物凄い速さで馬車が出発したんだもの。

 驚く彼女の悲鳴が南門に響き渡る中、農村に向けて出発したわ……。ちなみに、この馬車は1日で着くための弾丸特急というものだったと知ったのは農村についてからだったけどね……。

 基本は数日でゆっくりとした移動をするのが普通って知ったらそっちを選んでいたに違いないわ、彼女は……。

バッファローホース:基本は遅いけど、赤い旗を前に出すと馬鹿みたいに早く突進して行く馬

ゼブラホース:隠密性に優れている上に、移動スピードが高いので斥候が基本乗っている馬

他にもいろいろ出ます(多分)


ちなみに弾丸馬車だったの知らなかったのはアリスだけです。だって、知ってたら乗らないもの……。

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