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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
人の章
26/496

番外:あるゆうしゃの病

本日2度目の投稿です。

今回は王都のゆうしゃであるライトにスポットを当てました。

「…………はぁ……」


 青年は王都にある家の2階で深々と溜息を吐きながら、木枠の窓に頬を預け青々としている空を眺めていた。

 その下では人々が日々の生活のために行き来したり、子供たちが楽しそうに数日前に起きた出来事をごっこ遊びにして遊んでいた。

 そんな賑やかな声もまったく耳に入らないのか、青年はボーっとして……また溜息を吐いていた。


「ライくん大丈夫かしら……」

「ライト……、あの戦いからやっぱり変だよ」

「何だかやる気って言うものが欠けているように見えます、今のライト様は……」


 そんな青年を部屋の入口から覗く3人の女性たちは心配そうにしていた。

 彼女たちは青年、王都のゆうしゃであるライトを敬愛して付き従う3人であった。

 シーフのヒカリ、魔法使いのルーナ、僧侶のシター。そんな美女3人組だ。

 彼女たちはそれぞれ色んな事情を抱えていたが、王都のゆうしゃとなったライトに助けられて、誠心誠意彼に仕えることを誓っていた。

 王都近隣に現れたモンスターと戦ったり、ゆうしゃが居ない村々をモンスターの被害から守る。そんな日々を繰り返していたが、何時かは人間の国を虎視眈々と狙っているであろう魔族の王である魔王を倒すために訓練を欠かさずにいた。


「やっぱり、あの戦いからライトが変になったよね……」

「ええ、ハガネが強すぎたからライくん自信無くしたのかしら……?」

「そんな……。ライト様がそんな簡単に折れるはずがありませんっ」


 そう、ライトは数日前にいきなり王都に攻め込んできた【最強の矛】ハガネに完膚なきまでに倒されたのだ。そして彼女たち3人も今までどんなモンスターに対しても必勝の戦法だったはずの戦いかたもまったく傷ひとつ付けることが出来ずにいたということに正直……自信を失いかけていた。

 けれど、自分たちがそうなっていてはライトが悲しそうな顔をするに違いない。そう考えて、もっと強くならなくてはとよりいっそうやる気を出してライトを連れて王都周辺のモンスターを倒そうとしていたが、肝心のライトがまったくと言っていいほどにやる気を失っていた。

 ハガネに与えられた傷はもう塞がっているし、時間が解決してくれるのを待つだけなのだろうかと考えつつも不安なものは不安であったのだ。


「ハガネの戦いって言えば……あいつ本当に嫌な奴だったよね!」

「あいつって……ああ、あの人ですか?」

「何時の間にか居なくなってたけど、凄く強かったわよね」


 3人の頭に浮かぶ人物、それはライトがハガネに殺されそうになった瞬間に割って入った人物のことだった。

 敵なのか味方なのかは分からない。けれど、圧倒的な力と圧倒的な魔力を見せ付けて冒険者と衛兵……そして彼女たちに大きな衝撃を与えた人物だった。

 その人物はあの戦いでハガネを倒して、いったい何処に消えたのかは気になるが……多分その人物がライトに衝撃を与えたわけではないと彼女たちは考えることにした。

 というよりも、図々しい態度で現れた上に彼女たちの愛しのライトを蹴り上げたのだ。許せるはずが無い。

 それを思い出したのか、ヒカリは悔しそうに地団駄を踏み、ルーナとシターはあの強さを思い出していた。


「ぜーったい、あんなやつがライトよりも強いわけがない! きっとズルしてるに決まってる!!」

「んー、レベルが違うってことが一番高いと思うけど、魔法も詠唱無しで唱えるなんてきっと特殊な魔法の使いかたを手に入れてるのね」

「もしかしたら、回復魔法も使えたりすると思いますよ」

「う~……いったい何処のどいつなんだよー!」


 そんな風に3人娘がライトを心配している中、部屋の中に居る当の本人はあの日のことを思い返していた。

 あの日、シーツを被ったその人物は2つの金属を併せた金棒をハガネに力強く振り下ろした。そして、周囲に土煙が立ち込めて視界は遮られてしまった。

 けれどその瞬間、ライトは見た。振り下ろした瞬間に巻き上がった風で顔を覆うシーツが外れ……その人物の顔が露わとなったのを。

 輝くような金髪、宝石の様な碧眼、口元は分からなかったがきっと可愛らしい顔立ちをしているのだろう。そんな何処にでも居るはずなのにとても可憐で儚げな印象である少女。

 そんな少女がハガネを倒して、自分を蹴って助けてくれた。そう考えるとライトの心臓はドクドクと激しく鼓動を始める。


「くっ、いったいどうしたというんだ……ぼくは……!」


 まるで天使のようなあの少女から漂うアップの甘い香り、その大きくは無いが小振りでもない胸に飛び込みたい。そんな思いと自制心が彼の心をせめぎ合う。

 そして同時に、そんな彼の脳裏にはあのときのようにゴミを見るような目で見つめられたいとか、細くも力強い足で蹴られたいとかいう思いが悶々と漂う。

 その理解出来ない思いが悩みとなって、再びライトの口からは溜息が零れた。


 それはどう考えても、周りに相談も出来ないほどの病であるのは間違いなかった……。

こうして、残念なイケメンゆうしゃが誕生しました……。


ちなみに3人娘は、こんな感じです。

・シーフ娘

 名前:ヒカリ

 年齢:17

 職業:シーフ

 体型:普通


・魔法使い美女

 名前:ルーナ

 年齢:20

 職業:火系魔法使い

 体型:ぐらまらす


・ロリ僧侶

 名前:シター

 年齢:13

 職業:僧侶

 体型:ロリ巨乳

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