回想~戦争~・1
途中、読みにくくなっています。
初めは、ボルフ小父さんが王国に屈しなかったことに対する尊敬を込めてのどんちゃん騒ぎから始まり、次にワタシとフォードくん(主にワタシの)が獣人の国から帰ってきたことへのお祝いを込めたどんちゃん騒ぎへと移り……。
ライトさんが冒険者ギルドにやって来て、酒臭いにおいが厳しくなった室内の臭いに顔を顰めてからしばらくすると、師匠とワタシとフォードくんの手配書が王国の兵士によって撤去され……それに気づいた冒険者に混じったワタシが喜びの余りに鎮火しかけたどんちゃん騒ぎに再び熱を入れ、最終的には全員が狂ったように酒を飲み笑っているという……混沌すぎる状況となっていました。
ワタシですか? 初めのときはちびちびと飲みながら、周りが酔っ払って行くのを見て行くだけでしたが……、師匠の手配書が剥がされたのを見て、ついつい一気に何杯も飲んでしまいましたよ。
え? ゆうしゃ一行を交えたボルフ小父さんとの話? あはは、既に酔っ払っていてそんな大事なことにも気が回りませんでしたとも!
「あははっ、くるくるー。せかいがぐるぎゅる~!」
久しぶりの人間の国の冒険者ギルド、それも今まで自分を偽っていた場所だったのに色々吹っ切れたのか、それとも酒の力なのか、外套を取っ払い折角髪に埋もらせていた耳とかも露わにして楽しく笑っていました。
ちなみに初めは人間の国から出たことが無いランクの低い冒険者のかたは驚いていましたが、しばらくすると酔っ払ったのか、ワタシのでっかいおっぱいに魅了されたのかすぐに慣れて行ったようです。
まあ、おっぱいだったらエッチとか言ってあげますよ~。あはは、あ~きもちい~!
久しぶりに飲んだお酒は心地良く、頭がポワポワとして嬉しい気持ちと相まってぴょんこぴょんことワタシは飛び跳ねていました。
その度に、酔っ払った冒険者の男性のかたたちの視線が上下に動くのが見えました。
何というか恥かしいというか、ポカポカしてくると言いますか……これはもう……。
「あ~、もう! あつっ~い! いっちばん、サリー脱ぎま~す♪」
「「いいぞ~、脱げ脱げ~!」」
陽気にそう言って、ワタシは胸元のボタンに手をかけます。
その様子に周りの冒険者たちは囃し立てるように腕を振って先を促します。
……ええ、酔っ払いばかりです。
「ちょ!? ちょっと、サリーさん!? ストップ! ストップです!!」
「なんですかフォードくん? ワラシはあついんですよ~!」
「だからって脱がないでくださいよー! というか、誰か止めてくださいよ! おやっさん! ライトッ!」
ワラヒの服を脱がさないようにフォードくんが服の胸元を手で抑えながら、ボリュフおじひゃんとゆーひゃはんにたしゅけをもろめています。
けれど、ボルヒュおじひゃんはガハハと楽ひそうに、ぬげぬげこーるを言っています。
あとでおひおきれすね。ライトひゃんは……。
「ライトォ~」
「ライトひゃま~」
「ん~、ライくん。好き好き~♪」
「う、う~ん……」
よっぱりゃって、にぇむりそうになってりゅところを……おなじくよっぱらったヒキャリしゃんたちがあつまっていりゅみたいでした。
とりあえじゅ、ワラヒをとみぇりゅにょはフォーロきゅんらけなろーれすきゃら、気にしぇずにゅぎましゅ……。
しょうおみょいにゃぎゃりゃ、フォーフォふんの手ほとりゅとこんろこしょ……。
そうおみょっていたワラヒれひたが、ついしゃっきひゃらあらまがぐりゅんぐりゅんしていれ……も、もうらめれしゅ~……。
「サ、サリーさん? って、うわっ! これかなりヤバイくらいに酔っ払ってる!? 顔が真っ赤じゃないですか――って、サリーさん? サリーさん!!」
なんらか、フォーロふんのこぃえがきこぇるにゃかで、ワラシはしあわへなきふんのまみゃ、気をうひないまひた。
●
ドンドンと力強く扉が叩かれる音が聞こえました。
それと同時に、ザワザワという騒々しいまでの人の声……。
いったいなにが起きたのかと思いながら、目を開けると室内はまだ真っ暗でした。
「――っっ!! あたま、痛いです……」
何故かズキズキする頭を押さえながら、ワタシは立ち上がると暗い室内の窓から外を眺めました。
……何故だか室内は暗く、空もまだ暗いはずなのですが、何故か窓から見える光景は赤かったのです。
良く見ると、それは松明の火で……それほどまでに人が詰め掛けているということが分かるようでした。
『おい! 開けろ、開けてくれ!! ギルドマスターに話があるんだ! 誰か居るなら速く開けてくれ!!』
扉を叩く音と共に聞こえてくる声は、男性や女性といった様々な声が聞こえ……その声には憤り、恐怖、怨嗟そんな様々な感情が込められていました。
その声に恐怖して、ワタシは一歩下がってしまいましたが……、何時の間にか背後にはボルフ小父さんが立っており、まだ眠いのか大きな欠伸をしながら、髪を掻いていました。
「……何だ何だ。うるっせぇな……おい、お前ら。とっとと起きろ! 人を入れるから、そんな恥かしい格好してたら良い笑いもんだぞ!」
「へ~い……ふぁああ……。おら、お前らとっとと、起きろ!」
ボルフ小父さんの言葉に頷き、眠っていたはずの冒険者の数名……良く見るとベテランの冒険者ですね。そのベテラン冒険者たちが初心者や中堅どころの冒険者たちを叩き起こし、それでも起きてこない者たちは厨房の中へと放り込んで行きました。
それを見届けてから、少しして……ボルフ小父さんは扉を開けました。
すると、ノックしようとしていた人物が転びそうになりましたが、何とか踏みとどまったようでした。
「おいおい、こんな夜遅くに何のようだよ? って、もうすぐ朝になるってところか?」
そんな風に軽口を叩きながら、ボルフ小父さんはノックをしていた人物を見ます。……あの人は確か、住宅街の顔役の男性でしたよね?
すると、男性はワタシたちに怒鳴り散らすかのようにあることを叫びました。
「お、お前ら何で……何で王命に従って戦に参加してくれなかったんだ!!」
「……あんたもそんなことを言うのか? 何度も言うが、俺たち冒険者は自由気ままに受けたい依頼は受けるし、受けたくない依頼は受けないって言うもんだ」
「そ……そんなんだから……、冒険者がそんなんだから……」
怒りに震える男性が次に言った言葉に、ワタシたちは自分の耳を疑いました。
その言葉は……。
「戦の経験も無い私たちが、戦に狩り出されることになったんだ!!」
「…………なんだと? 詳しく話を聞かせてくれ」
その言葉で、ボルフ小父さんの目が鋭くなったのをワタシは見逃しませんでした。
そして、詳しい話を聞くために、数名の顔役を連れて小父さんはギルドマスター室へと歩いていきました。