表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
人の章
25/496

獣人の国へ

「はぁっ!? ちょ、ちょっと待ってくれよおやっさんっ!?」

「えぇ!? ま、待ってくださいボルフ小父……ギルドマスター! フォード君はまだ新人だし、師匠は冒険者ですらありませんよ!?」

「あ、そういえば冒険者登録ってどうするの? あと、師匠違うから」

「そ、そんなご無体な師匠ぅー……って、冒険者になる気満々になってますしーっ!?」


 焦るフォード、驚くサリーに対して、彼女は平然と冒険者登録のことを訊ねてみると、すかさずサリーからツッコミが走った。こやつ、出来る……!

 そんな彼女たちを無視して、ギルドマスターは勝手に話を進めるかのごとく、目の前の机から紙を2枚ほど取り出してサラサラと何かを書き込んで行く。

 すると、そのうちの1枚を彼女に向けて差し出してきたわ。何の紙かと首を傾げていると、インクと羽ペンを渡されたわ。


「アリス、本当なら身分証の発行には時間が掛かるもんだが、今はその紙に名前を書いて暫定的な冒険者として登録しておく。そうすりゃ、獣人の国から帰ってきたら身分証が創られている」

「なるほど、わかったわ。……これでいい?」

「上出来だ。あとは、冒険者になったという一時的な身分証と、これも渡しておく」

「これは……カバン?」


 ギルドマスターに差し出された物は普通にカバンだったわ。紐を工夫すれば腰に巻いてポシェットのようにしても良いし、肩に担いで横カバン風にしても良いといった感じの少し小さめのカバンよ。

 とりあえず、中に何があるのか開いてみると、中には何も入ってなくて……むしろ真っ暗で何も見えなかったわ。

 首を傾げる彼女へと、そのカバンの説明がされたわ。そのカバンの中は≪異界≫の魔法が掛けられていて、そのカバンには色んな物を出し入れすることが出来ると言うことだったの。魔法のカバンよね。でも、生きてる者は入らないからね。

 チート系ファンタジー小説の醍醐味のひとつであるアイテムボックス的な物だと理解して、彼女は物凄く嬉しそうにカバンを抱き締めたわ。でも、こういうのって自分で使えないと意味が無いって思うのよね。カバンを抱き締めながら、彼女は使えたりしないかなと冗談で思いながら、ステータスと小さく呟いて魔法一覧を見たわ。


 ~~~~~~~~~~


 魔法一覧


 火・≪種火≫ ≪火炎≫ ≪爆炎≫ ≪神炎≫ ≪獄炎≫

 土・≪創製≫ ≪土壁≫ ≪泥沼≫ ≪合成≫ ≪隕石≫

 水・≪飲水≫ ≪氷槍≫ ≪津波≫ ≪凍結≫ ≪  ≫

 風・≪微風≫ ≪強風≫ ≪突風≫ ≪鎌鼬≫ ≪神風≫

 聖・≪治癒≫ ≪回復≫ ≪浄化≫ ≪  ≫ ≪  ≫

 魔・≪異界≫ ≪転移≫ ≪  ≫ ≪  ≫ ≪  ≫


 ~~~~~~~~~~


 ……なんだか、ものすごく見覚えが無い魔法がいくつか増えていたわ。

 ≪軟化≫と≪硬化≫が無くなって、≪創製≫と≪合成≫が増えていて、聖属性に≪浄化≫、魔属性に≪異界≫と≪転移≫が増えていたの。

 多分だけど、≪創製≫で軟化と硬化の両方が行われるようになって、≪合成≫で金属の合わせることが出来るということよね。≪浄化≫はきっと名前の如くゾンビとかの昇天を行う魔法なのかも知れない、そして≪異界≫と≪転移≫……≪異界≫は今話に出ていたカバンの中に施された魔法だから収納が出来る魔法なんだと思う。≪転移≫はどう考えても……。


「最後にもう一度聞くが、獣人の国に行って来るってことで良いんだな?」

「別に良いけど、何か依頼とかあったほうが良いんじゃないの?」

「それもそうだな……じゃあ、この依頼なんかが良さそうだな」

「これって……『ドリン』の実の調達? ドリンの実って? というか、フォード五月蝿い」

「絶対反対、絶対反対だからなーー!!」


 ついさっきから反対反対と五月蝿いフォードに視線を移しながら、サリーとギルドマスターが話すドリンの実の話を聞き始めたわ。

 ドリンの実はトゲトゲとした外見をしていて、果実の匂いが熟れていくに連れて段々とにおいが臭くなっていくけれど、その代わりに食べるととてつもなく芳醇な甘さが口いっぱいに広がるという獣人の国にしか実っていない果物らしいわ。いったいどれだけ臭いのかしらね……。ちなみに彼女は『ドリアン』という前の世界にあった果物をイメージしていたわ。

 それを聞き終えて、彼女は納得したように頷きながらカバンを渡してきた理由を悟った。多分、持ち運ぶときににおいが厳しくなるから異界に放り込んでおかなければいけないということなのだろう。

 そう納得していると、いい加減に暴れるフォードが鬱陶しくなってきたのか、ギルドマスターが馬にとっての人参を出してきたわ。


「フォード、この依頼を出来たなら、お前の駆け出しを外してやるし、その剣も使っていいぞ?」

「えっ、マジでっ!? いやっほうっ、やるやるぅっ!! ……あ」

「よし、言質は取ったぞ? それじゃあ、依頼をよろしく頼むぞ」

「ギルドマスター、ワタシも同行したほうが良いと思うので……良いですか?」

「まあ……そのほうが、こいつらも安全だろうな。それじゃあ改めて……頼んだぞ、3人とも」


 こうして、彼女たち3人は獣人の国に行くことが決まったわ。……と、話し込みすぎたわね。ちょっとお昼ご飯と夜ご飯の食材を買いに行こうか。

 一緒に行くって? うん、じゃあ一緒に行こうか。え、続き? んー……じゃあ、お昼寝をするときにでも話してあげるよ。

遅れましたけど、ギルドマスターの名前は『ボルフ』と言う名前です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ