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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
海の章
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回想~人間の国~・4

※ボルフ視点です。

あと、若干短めです。

 向かい合うようにソファーに座る2人……サリーとフォードは熱心に俺へと自分たちが獣人の国で体験し、見てきたことを包み隠さず話していた。

 ……というか、何だその状況は!?

 獣人の国に入ってすぐにチュー族の聖地に飛び込んだ? おいおい、国境からあの場所までは底が深い上に距離がある断崖に阻まれているんだぞ? それをアリスの奴は非常事態だからと言って乗り越え……じゃない、跳び越えただとっ!?

 ……アイツ、かなりステータスを誤魔化していたな…………。まあ、当たり前だろうな。

 そう思いながら、2人の話を聞いて行くと、そこで動く鉱脈ことミスリルマイマイと遭遇した挙句、アイツは倒したらしい……。

 そこで洒落にならない力を見せ付けてから、3人はチュー族の村へと向かったのだと言った。

 と、思い出したようにサリーが俺にあることを口にしてきた。


「あ、スナ族長が懐かしがっていましたよ?」

「そうか……、スナのやつは元気そうだったか?」

「はい、師匠に試合をしないかと誘うレベルに元気でした」


 それを聞きながら、俺は懐かしき旧友のことを思い出していた。

 ああ、懐かしいな……、あの素手と素手のぶつかり合いで深めた友情が……。

 それを思い出しながら、俺は何時かまたスナのやつに会えたら良いと考えていた。

 そして、2人はハスキーが居る獣人の国の冒険者ギルドからの出来事を語り始めた。

 ……つーか、アリス。強い強いと思っていたが、まさか転生ゆうしゃだったとは……。

 それから、俺は2人から話を聞き続けていた。


「……なるほど、話は大体分かったが……大変だったな」


 2人が全てを話し終えた頃、余りにも夢物語としか言いようが無い報告に俺はそう言うのが精一杯だった。

 ……この2人、この旅の間に一生分どころじゃないほどの出来事に巻き込まれてたんだな……。

 そんなことを思いながら、俺は2人を見た。


「とりあえず……、お前たちはこの国での指名手配が無くなったら……すぐにでも国内を移動してアリスを探したい……と言うことで良いんだな?」

「はい、そして国内に居なかったら国外に移動してでも、絶対に師匠を探してみせます」


 俺がそう問い掛けると、間も空けずにサリーはそうきっぱりと口にした。

 そうか……サリーは本気なんだな。

 親友の娘がこんなにも張り切ってるんだ。だったら、俺も手を貸さないわけには行かないよな……!


「分かった。だったら、俺も魚人の国の首都にある冒険者ギルドのギルドマスターにもしものときは頼むという手紙を送らせてもらう」

「小父さん……! ありがとう、ございます」

「礼はいらないって。兎に角、見つかると良いな……」

「はいっ! ……あれ、何だか安心したら……眠たく…………」


 一晩中話していたんだ。疲れていないのが可笑しいぐらいだな。

 そう考えつつ……俺は白み始めた空を見ながら、窓から光が差し込まないようにカーテンを被せた


「疲れているんだ。少しぐらい眠れ。……部屋を用意するか?」

「……いえ、別に構いません…………、だいじょうぶ……で、す……」


 言い終わる前にサリーとフォードは疲れがピークに達したらしく、ソファーに背中を預けるようにして眠ってしまった。

 そんな2人に仮眠用に使用しているシーツをかけ、俺は魚人の国のギルドマスターに送るための手紙を書き始めた。

 それから数時間が経過し、ギルドホールや外が賑やかになり始めたころ……部屋の扉が叩かれ、職員が声をかけて来た。


「マスター、ゆうしゃライト様のお供のかたがお見えですが……通しても大丈夫でしょうか?」

「分かった。通してもらっても構わない。ただし、静かにな」

「畏まりました」


 そうして少しして、ゆうしゃライトの仲間である3人の女性が部屋へと入ってきた。

 初めに俺に挨拶をしようとしていたみたいだが、ソファーで眠りについているサリーとフォードを見て驚いた様子だった。

 気にしないで貰いたいのだが……、まあ仕方ないだろう。


「とりあえず、2人の目が覚めてから話をしようか?」

「ええ、そうすることにしましょう」


 俺の言葉にそうルーナの嬢ちゃんが返事をして、3人は向かいのソファーに座り、静かに待つことにした。

 そして、そんな動きにも気づかないのか、2人は静かに眠り続けていた。

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