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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
海の章
237/496

回想~獣人の国~・5

11/6 サブタイトル変更

 ヒカリさんが自分の中のモヤモヤとした物が明らかにならないので微妙そうな顔をしていましたが、さっぱりとした性格なのか、すぐに気にしなくなったみたいで、話の続きを始めました。

 チュー族の村から、この街への到着してからの話です。


「この街の冒険者ギルドに行って、叔父さんと会ったときに叔父さんは師匠にケンカを吹っかけました」

「え? 話を聞いてた限り危険すぎるとしか思えない人物に……ですか?」

「な、なんて無茶なことを……」

「良く死ななかったわね……」

「死にそうにはなりましたが、此処は大人としての力の差を見せないと……と思ったんですよ。と言っても、殆どの攻撃を受け流して、アリスさん自身のパワーで自滅するように仕向けただけですけどね」


 軽く叔父さんは言いますが、正直それをするのも相当な技量が必要だとワタシは思いますよ……。

 そう思いながら、地に倒れ伏した師匠を思い出していました。

 同時に、目覚めてからの師匠の変化も……。それを口にしようとしたワタシでしたがどう説明をしたら良いのかわかりません……。

 だって、まるで人が変わったかのような変化でしたから。そして、叔父さんは何かを知っているみたいでしたが、そのときは聞けそうにありませんでした……。


「サリー、そこは私が説明しましょう。それに、これはあなたも知りたかったことですしね」

「!? ……分かりました。お願いします、叔父さん」


 そう思っていると、叔父さんがワタシが気になっていたこと……つまり、師匠のあの目も疑うような性格の変わった理由を……。

 頼もしかった師匠が、まるで周りに怯える子猫みたいになっており、こう……なかせたいとゾクゾクした感覚を覚えていたのをワタシは思い出します。……いえ、ワタシは普通です。ワタシは普通……。

 ちょっとよからぬ考えが頭を掠めたのを振り払うように頭を振り、叔父さんの話に集中しました。


「さて……先に皆さんに尋ねます。今から話す話はそれぞれの国の重鎮たちが秘匿している情報です。ですから、この話を外に持ち出さないことを誓うことが……出来ますか?」

「は、話の内容次第だと思います…………」


 叔父さんの問い掛けに、ライトさんがそう顔を蒼ざめさせながら言いました。

 ……叔父さん、問い掛けるさいに殺気を出すのは止めてください。どう見ても、「喋ったら、お前の命は無いからな」と言っているような物ですから……。

 ライトさんの答えを静かに聞きながら、ワタシの視線に気づいたらしく……自分の行っていた行動に漸く気づいたようでした。


「おっと、申し訳ありません。機密事項であることを話す確認だったので、つい気を込めてしまいました。それで、話の内容というのは……まあ、ゆうしゃに関して、でしょうか」

「ゆ、ゆうしゃに関して……ですか?」

「あの……、内緒にしているというと……何か問題があったりするから、でしょうか?」

「そうね。普通にゆうしゃのことだったら、話しても大丈夫なはずだし……気になるわね」


 口々にそう言うゆうしゃ一行を見つつ、ワタシは師匠のことを知ることが出来たらと考えつつ、話に耳を傾けていました。

 そして、しばらくして話し合った結果……ゆうしゃ一行は話を外に持ち出さないことを誓いました。

 それを聞いて、叔父さんは何時もの笑みを浮かべながら、頷き……話を始めました。


「では話を始めましょうか……いえ、その前に聞かれないようにしないといけませんね。サリー、結界を」

「え? ……は、はい。えっと、確か……」


 いきなり話を振られて、ワタシは驚きました。そして、結界魔法をワタシも使えることは使えます。事実、師匠と初めて会ったときに師匠のステータスが洩れないようにワタシが結界を張っていたのですから。

 けれど、使うのが本当に久しぶりだったために、かなり忘れているような気がしましたが……少し思い出すように魔力を込めると、身体というか記憶が覚えていてくれていたのか光のカーテンが室内を覆いました。

 ……良かった。覚えていました。

 ホッと安堵しつつ、叔父さんを見ると……忘れてしまっていたことを理解しているのか苦笑しつつ、ワタシを見ていました。


「さて、これで外に洩れる心配は無くなりましたので……話を始めたいと思います。皆さんはゆうしゃという存在がどのような者か知っていますか?」

「ゆうしゃの存在、ですか? えっと……ゆうしゃは、生まれる前に神様に力を授けられて普通の人には無い力を発揮することが出来る存在です。ですから、普通の人よりも遥かに強い存在です」


 叔父さんの質問にシターちゃんがはっきりとそう答えます。

 その当たり前のような回答が求めていた答えだったのか、叔父さんは笑みを浮かべながらシターちゃんを見ました。


「流石神に仕える神官ですね、シターさんは。では、その生まれる前に別の人生を送っていた……つまり、ちゃんとした意識がある状態で神様と会っていたらどうなると思いますか?」

「え? えっと、その……わかりません」

「意識があるから、神様とちゃんと話すことが出来て、自分の好きなようにステータスとか能力を改造することが出来るってことでしょ?」


 ワタシたちが頭を悩ませようとした瞬間、ヒカリさんの口からそう滑るように出ました。

 まるで、そういう話を知っているかのように……。


「ええ、あるゆうしゃ曰く、ヒカリさんが言ったように神様と会話をして、自分好みの力を手に入れたそうですよ。そして、意識は前の世界の人物のものを引き継いで……いえ、言いかたを悪くするならば、元々の私たちの世界に居る人間の意識を奪い取って、それらはこの世界にゆうしゃとして現れるのです」


 そう叔父さんは言いますが……、それを聞いて叔父さんが何を言いたいのかを理解しました。

 つまり師匠は……。


「ライトさんは普通のこの世界のゆうしゃです。ですが、別の人生……いえ、別の世界で生きていた者が自分好みの力を手に入れて生まれ変わった(奪い取った)ゆうしゃ、それを私たちは『転生ゆうしゃ』そう呼んでいます」


 そう……師匠は、転生ゆうしゃだったのです。

 だから、あんなに性格が違ったのですね……。そうワタシが思っていると、ゆうしゃ一行は信じられないといった表情をしていました。

 そんな彼らへと、叔父さんは言います。


「ちなみに転生ゆうしゃは様々で、アリスさんのような者も居れば、ドブさんのような者も居ます」

「……え、あれも転生ゆうしゃだったの? ……怖いところね、異世界って」


 ルーナさんの言葉に、全員が頷きました。ですが、ヒカリさんだけは釈然としないと言った表情をしています。

 何故でしょうね?

 そんな少しの疑問を感じながら、ワタシは叔父さんに解除をしても良いと言われたので結界を解除しました。

ご意見ご感想お待ちしております。





んー、何か違和感感じる……?

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