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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
獣の章
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魔族観察

「……お前、頭大丈夫か? やっぱり、あの戦いで頭が……」


 呆気に取られたロンたちじゃったが、漸く落ち着きを取り戻した彼らを代表して……タイガが彼女に向けてそう言った。

 まあ、いきなり魔族辞めましょうかなんて言われたら、相手の頭の中を疑うに決まっておるわな。


「失敬な、アタシはまともですよ? それとも、タイガはアタシがおかしいとでも言うのですか?」

「ヒッ、ヒィィッ!?」

「……アリス。タイガを怖がらせるのは止めてもらえないだろうか?」

「怖がらせたつもりはないのですが……」


 怯えるタイガを見つつ、彼女は苦笑しながら魔族4人をマジマジと見た。

 4人とも、歳が若いからなのか若干人間よりな姿をしてはいるのだが、やはり獣人や魚人などとは微妙に違っておった。


 ロンは、以前にも言ったように青い鱗を持つ龍が人化したような姿……所謂、タツ族と呼ぶべき種類なのじゃが、海の国の種族にもよく似たトカ族という種族は居るが角は無く、鱗もザラザラしておるらしい。

 というか、そもそもトカとゲ――ではなく、タツという違いなのじゃから当たり前じゃよな。

 次に、タイガを見ると目が合ったので微笑むと、サアッと顔を蒼ざめさせおった。

 何でそうなるんじゃろうな……。いや、初めて遭遇したときの脅しが原因じゃろうな……。


 そんな風に思いつつ、彼女はタイガの姿を再び見たのじゃった。

 一見すると、白と黒の毛並みを持ったグル族の少年みたいに見えるのじゃが……、黄金色と黒色の毛並みのグル族には白い毛並みの獣人は生まれないということもあるらしく……なおかつ、毛並みも針金のように堅かったりするので、グル族というには無理があるじゃろうな。

 というよりも、グル族に似て白い毛並みの獣人何て言ったら……【破壊】のティーガのネームバリューが高すぎて勘繰られてしまうじゃろう。って、今思い出したのじゃが、父親に恨みを持ったエルフに見つからなくて良かったのう、こやつ……。

 そんな風に考えつつ、今度はフェニに視線を移したのじゃった。


 フェニは、背中から生える赤い翼が第一印象じゃった。

 鳥系の獣人は、両腕が翼となっている種族と背中から翼が生えている種族の2種類に分かれておる。

 じゃから、フェニは背中に翼の生えた鳥系の獣人と偽れば問題は無い……と思ったのじゃが、そうは問屋が卸さないようじゃった。

 何故なら魔族を辞めましょうかと言った彼女に対して、不満そうな顔を向けておったからじゃ。

 ……うむ、ぷらいど。すごくたかいやつじゃよな。

 というか、何か興奮していると……赤い翼が燃えているように見えるのじゃが……気のせいじゃろうか?

 いや……事実燃えているようじゃな。何故なら、近くに立つロンの肌から汗が出ておるのじゃから。

 今は触らぬ神に祟り無しと考えたのか、彼女はフェニから目を逸らしてトールに視線を移した。


 トールは、見た目はウミガ族なのじゃが……どう見ても陸型じゃった。

 つまりはウミガではなく、リクガ族なんじゃろうが……リクガ族という種族は居らんのじゃ。

 突然変異とか言ってみるのもありなんじゃろうが、それでは色んな意味で不味いじゃろうな……。

 まあ……甲羅を何とか出来れば普通の少女に見え……無くはないのじゃろうか?

 そう思っていると、彼女に見られていることに気づいたらしく、顔を赤くしてスススと首を引っ込めおった。

 嫌われているわけではないようじゃが、恥かしがりやと言うことなんじゃろうかな?

 とか思っていると、彼女へとロンが話しかけてきたのじゃった。


「それで、アリス。自分たちに、魔族を辞めろと言っていたがどうするつもりだ? というかそもそも、どうしてだ?」

「今は方法は教えませんが……、理由としてはこのまま魔族としている場合は色々なところから狙われるのではないかと考えたからです」

「……なるほど。確かに魔族としては裏切り者だから仲間だった者たちに狙われるだろう。そして、他の国の者たちは自分たちが魔族から狙われていることを知るはずが無い」

「はい、だから魔族と知ると襲ってくる可能性が高いということです」

「襲ってきたら、蹴散らせば良いじゃねぇかよ!」

「手を貸してくれる仲間も居らず、敵しか居ない中……4人で何とか出来るのですか?」


 間に入ってきたタイガにそう言うと、強気だった態度に眉がヘニョンと垂れるのが見えた。

 そう、いくら4人が強くチームワークが優れているからといって、補給も休憩も満足に出来ない状況の中で戦うことが出来るかと言うと無理な話じゃな。

 ちなみにロンはタイガの言葉に何も言わず、フェニのほうは理解しているらしく「まったく、この馬鹿は……」と呟いており、トールはそういう発想が無かったのか彼女を尊敬の目で見ておった。


「何処かに隠れ住むというわけには……行かないな」

「はい、そんなことをしていたら誰かが倒れたときに何にも出来ないと思いますよ?」

「……もし、アリスが言う魔族を辞めた場合、自分たちはどうなる?」

「んー……あえて言うならば、少しだけ外見が変わり、力も弱体化しますね。ですが、簡単にはばれるわけがありません」

「随分な自信だな」

「アタシですから」


 と、自信満々に彼女は言ってから、タイガたちのほうを見たのじゃった。

 その視線に3人がビクッと震えたのを見て、少し困ったように彼女は笑った。


「いきなり言われてもやっぱり困りますよね……? ですから、しばらく準備をするので……その間にアナタたちで決めてください」

「ああ、分かった」


 ロンが頷くのを見てから、彼女は4人から距離を取って隅のほうで何かをし始めたのじゃった。

 それを見てから、4人は話し合いを始めた。

ご意見、ご感想お待ちしております。

あと、だいぶ読み辛いかも……。


ちなみに前四天王さんたちは5段階ケモ度の4です。

ロンたち? 2と3の中間辺りで、成長すると4になります。

なお、この世界の獣人は、基本的には人間に耳尻尾などの特徴があるとか、毛深いタイプばかりです。

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