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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
獣の章
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服の製作・2

 それからしばらくして……どれだけ時間が経ったかは分からぬが、漸く彼女は起きたのじゃ。

 アダマングレートソードを溶かし終えた辺りから感じていた強烈な眠気はすっかりなくなっており、頭の中はすっきりして……彼女はゆっくりと起き上がろうとし――動けなかった。

 どうして動けないのかと寝起きの頭で混乱する彼女じゃったが、耳元に聞こえる声で現在の状況が理解できたのじゃった。


「く~……、むにゃむにゃ~……あたらしいでじゃぃん~……えへへへ~……」

「すー……すー……、おっきなかじつー……おーいしー……むにゃにゃ……」

「……え、何ですか、この状況?」


 何時の間にかベッドに寝かされていた彼女を抱き枕にしてアルトが熟睡しており、更には彼女の胸を枕にしてフィーンが気持ち良さそうに寝ておった。

 多分……、自分が寝ているのを見て気持ち良さそうと考え、彼女はどうするべきかと悩み始めおった。

 まあ、とりあえず……自分も疲れていたけれど、アルトも大分寝ていないと言うのを思い出し、少しはこのままにしておこうと考えながら、その間に彼女はステータスを確認することを考えたんじゃ。

 ステータスと心で思うと、彼女の視界にはステータスが表記されたウインドウが映った。

 表記されたステータスの体力や魔力といったものが表記されている画面は変動は起きておらず、次の魔法の一覧も特に変わったことは無かったんじゃ。そして、何時ものようにそれで終わりと思っていたら……もうひとつ移動できることに彼女は気づいたんじゃ。

 恐る恐る移動してみると、簡素な表記が表示されたんじゃ。


 ~~~~~~~~~~~~


 《魔神拳》

 《魔法特性・神》

 《鑑定・極》

 《超投擲》

 《魔力循環効率化・極》


 ~~~~~~~~~~~~


 初めて見る物ばかりな上に、どう見てもこれは……魔法とかではないと彼女は理解したんじゃ。

 そして、同時に……ある意味思い出したくないが、あの気色悪い自称ネズミと言っていた豚とのやり取りを思い出したんじゃ。


「これはもしかして…………アビリティ?」


 かなり当てずっぽうで呟いたのじゃが、考えてみればこの5つのアビリティ(?)はこの身体になってから使ってみた行動に色々と一致していることに彼女は気がついた。

 けれど、何故5つもあるのだろう? あの気色悪い豚ネズミ(ドブ)が言ってる限りアビリティは3つしか無理だったはずと考えながら、彼女はアビリティの特性などを見ることが出来るのかと思いながら、試しに《魔神拳》のアビリティを選択してみたんじゃ。


 ~~~~~~~~~~~~


 《魔神拳》

 魔力を拳に込めて、属性を与えることで各属性の攻撃を放つことが可能。

 普通の攻撃では効果が無い敵にも有効打となる。


 アビリティレベル:最大


 入れ替えますか?

 ▽はい

 ▽いいえ


 ~~~~~~~~~~~~


 ……簡素で分かり易いような文章ではあるのだが、何故か覚えて間もないはずなのにレベルが最大となっていた。

 本当は、《魔神拳》ではなく《魔拳》だったりしたのだろうが、彼女の力か……はたまた獣人の神の侘びの1つなのか……それはまったく分からなかったんじゃ。

 そして、もうひとつ驚くべきことに、入れ替えることが可能となっているようであったんじゃよね……。

 驚きながら、彼女はとりあえず……いいえを選択し、今度は《超投擲》を選択し直してから、入れ替えにはいを選択したんじゃ。

 すると、彼女の視界一面にズラッとわけが分からないレベルのアビリティの文字列が表示されおった。

 しかも、それらもどう見ても……アビリティレベルが最大だということが分かるように、神だの極だのと表記されておったんじゃ。

 どうしてこうなっているんだと心から思いながら、彼女は一つ一つじっくりと見て行きながら……あるアビリティを見つけ、それと交換することにしたんじゃ。

 それが終わって、時間が経っていると考えながらアルトとフィーンを見てみたのじゃが……2人はまだ起きる気配が無かった。仕方ないので彼女はフィーンを優しく摘んで、枕元に置くともぞもぞと動いてベッドから這い出すことに成功した。


「あれ? そういえば……アルトとフィーンは居るけど……ティアは?」


 首を傾げながら、彼女は作業台の前まで移動すると……扉の外から妙な気配を感じたんじゃ。

 恐る恐る近づいて、耳を澄ませると……物凄く沈みきった声が聞こえおった。


『うぅ……どうして何度もノックしているというのに誰も出てきてくれないのだ……。やはりあたしは嫌われているのだろうか……くすん、きっと中ではアリスたちと一緒に仲良くしてるに違いない……、あたしも混ぜて欲しいのに……うぅ、忘れられているに違いない、そうに違いないんだぁぁぁ……しくしくぐっすん……』

「え、えーっと……、とりあえず開けましょうか……」


 苦笑しつつ、彼女は閂を外し、扉を開けると扉の前で屈んでいたのか、ティアが前転しながら部屋に入ってきたんじゃ。

 当然、いきなりのことでティアは驚いて目をパチクリさせておった。


「うわっ!? な、何がっ!?」

「えっと……、おはようございます。ティア」

「ア、アリス……、うわぁぁん、キミは天使だぁぁぁぁっ!」

「なっ!? え、ちょ!?」


 扉を開けたのは彼女だと言うことに気づいたティアは、突然半ベソをかきながら彼女へと抱きついてきたのじゃ。

 いきなりのことで彼女は驚いたが、普通に締め出しを喰らっていたところに開けられると天使や神様のように見えるじゃろうな……というか、こやつ何時間待っておったんじゃと……。

 そう思っていると、ティアの泣き声で目が覚めたのか顔を擦りながら眠たそうにアルトとフィーンが姿を現したのが見えたんじゃが……あの視線はこういうのは何度もあると見た。

 そのまま彼女はティアに抱きつかれたまま、彼女が泣き止むまでジッと耐えることにしたのじゃった。

獣人の神が国を救ってくれたお礼とお詫びを兼ねて行ったこと。

1.肉体をなくしたアリスに代わりの肉体を用意。

2.アビリティの使用(通常3つの所、5つに)

3.アビリティを変更可能(すべてのアビリティを変更可能、ただし使用できるものは5つの枠に入れなければ発動しない)

4.すべてのアビリティのレベルをフル化

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