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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
獣の章
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子守役

 おぉ、漸く目覚めおったか! 良い眠りっぷりじゃったなっ!!

 ……何じゃ? そんなおかしなものを見るような顔をして、まるで鳩が納豆を喰らったような顔をしておるぞ?

 うん? わしが誰かじゃと? ふっふっふっ……ならば答えてしんぜよう。

 わしは、お主のおかーさんじゃ! …………いや、何そのバカを見るような顔をするのは。

 その顔はやめてくれ、自信満々格好良く言ってみたわしがバカみたいじゃろうが……。わかったわかった。正直に言う、正直に言うからその顔はやめてくれっ。

 わしはな、お主の母から少しの間だけ子守を押し付けられて、それと一緒に昔話をしてくれと頼まれたのじゃ!

 うん? 名前じゃと? んー……コンさんとでも呼んでおくれ。間違ってもゴ○さんとは呼ぶのではないぞ。色々と怖い人が来る上に、わしは髪を逆立てる能力なんぞ持っておらぬからな。

 何を言ってるかわからない? まあ、わからないのが世界のためじゃ……。

 むっ? そんなことはもういいから話を聞かせて欲しいとな? お、お主……中々図太い性格しておるな……。

 ふむ、まあよい。わしはお主の子守をするだけなのじゃからな……して、お主は母から何処まで聞いたのじゃ?

 …………なるほど、獣人の神に会ったところまでか。ならば、お主に面白い物を見せてやろうではないか!

 見よ! わしの幻術を!! ――って、うわっ! 眩しい、眩しすぎるぞわし!!


 ……ふう、漸く眩しいのが収ま――おおっ、成功じゃ成功じゃ!! って、何を驚いた顔をしておるのじゃ?

 なに? まるで自分の視点みたいな感じがして驚いているじゃと?

 ふっふっふっ、これぞわしの幻術『ばーちゃんりりあんてぃー』というやつじゃ! むっ、ダサいとは何じゃダサいとは……!


「――うっ! ……ここは……何処だ?」


 っと、真っ暗な空間から出たようじゃな。しかし彼女は頭がはっきりしていないのかクラクラして、何とか立ち上がろうと頑張っておるぞ!

 そう思っていると、彼女は立ち上がることが出来て……少しぼんやりとしている頭を軽く振ってから、周囲を見渡したのじゃ。

 お主も見ているのだから、周囲はどうなっているかはわかっておるよな? 普通の樹よりも遥かに太い樹が見えておるな。それに、草や所々に花が見えて……地面から見える木の根には苔がついておるわ。

 見覚えが無い土地に、当然彼女は目を点にしたわい。あの神の領域に入る前まで、彼女は倒壊した石造りの神殿の中に居ったのじゃよ? それなのに、これじゃ。当たり前に彼女は混乱しかけたわ。


「い、いや……本当にここって何処だよっ!? サリー様は? フォード様は? ハスキー様は?」


 驚きながらも周囲を見渡してみたのだが、彼女が知る人物は辺りにはまったく居なかったのじゃ。それどころか、辺りは静かでその上、空気が綺麗で美味しい。

 とりあえず、彼女は此処がいったい何処なのかと理解するために、樹を上らないといけないと判断したが……現在のこの身体は獣人の神から貰った器だと言うことらしいから、無茶な動きは出来るのだろうかと疑問に思ったみたいじゃな。


「まあ、危なかったら途中で樹に引っ掛かれば良いですよね――っと!」


 一人で呟いて、彼女は軽く跳び上がったのじゃ。じゃが、彼女の予想とは裏腹に身体は綺麗に跳び上がり……幹に抱きつくこと無く、一番最初に見えている枝に辿り着いたんじゃ。

 軽々と出来たことに彼女は驚きつつも、身体の痛みなどが無いかと確認してみたが……神が用意した器だからか、身体がおかしくなるようなことは無かったのじゃ。

 そのことに若干安堵しながら、彼女は飛び乗った枝から周囲を見渡してみた。お主にも見えるじゃろう?

 うむ、そうじゃ。今彼女が上っている樹よりも遥かに高い樹が所々に点在し、同じほどの高さの木々やそれ以下の高さの木々などといった物が見えるのお。そして、目立つところと言えば、この森には人工物と呼べるような建造物がまったく見あたらないのじゃ。


「どう見てもこれは……、人間の国でも無いし、獣人の国でもありませんね……」


 辺りが色んな木々で覆われた森であることを理解し、彼女は枝から降りることにしたのじゃが……少し不安だから、樹を掴みながら降りることにしたのじゃ。じゃって、一気に降りた結果……足を折るとかしたら笑い話になるからのう。

 そして、降りた彼女じゃったが、この国はいったい何処なのかと疑問に思っていたのじゃが……不意に、耳に金属がぶつかる音と悲鳴が届いたのじゃ。

 厄介事かと考えつつも、誰かが居るというのを理解して彼女はとりあえず悲鳴がしたほうへと歩くことにしたのじゃ。

 そのとき、彼女は……人間だったら聞こえないほどの音だったかも知れないが、現在は獣人になっているから聞こえたんだろうなとシミジミ思ったのじゃ。

 悲鳴がした場所を覗くと……ひとりのエルフが数匹のオークに囲まれていたのじゃ。そして、その中のオークの1匹は妖精らしき小さな翅が生えた小人を虫籠に入れていたんじゃよ。

 まあ、要するに……どう見てもピンチって感じだったわけじゃな。

感想ありがとうございます。

とりあえず、現在はこうなっています。


・ウサギ 1

・オオカミ 1

・キツネ 0


 まだ受け付けていますので、感想と共に良かったら清き一票をお願いします!

 それと、だいぶ古風な喋り方をする人がしばらく語り手を担当します。


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