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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
人の章
130/496

番外:ライトの冒険~採取地へ~

「ああ、ついてくるにしても、自分の身は自分で守って」


 ヒカリとルーナにそう言うと、サリーは真っ直ぐに歩き出し始めた。

 そんな2人はサリーに襲い掛かってきたモンスターが一瞬で絶命した光景に驚きを隠せなかったが、歩いて行くのに気づき……すぐに後を追いかけるように歩き出した。

 遠吠えと共に襲い掛かるモンスター、そのモンスターをまるで紙を斬るかのように2本の短剣で切り伏せて行くサリー。そして、それを眺めつつ後を追うヒカリとルーナ。

 そんな光景の中、ヒカリとルーナの2人は近づいて耳打ちをするようにこそこそと話し始めた。


「ね、ねえ……ルーナ姉。ボクたち、何だか出番が無くない……?」

「そうね。でも、サリーさんの実力もだけど、使ってる武器の性能も異常すぎるのよ」

「うん、ボクの使ってる短剣もホンニャラッカのデパートで売られてる最高品質の物だけど、絶対あの短剣とかち合ったら、あっさりと斬られちゃうよ……」

「いったいあれは何で作られてるのか、気になるわね……。でも、かなり大事そうにしてるから……例の師匠って人が作ったのかしら?」


 こっそりと話している会話だったけれど、やはりサリーには丸聞こえとなっているのだが、彼女自身何も言う気はなかった。

 そして、サリーの耳には彼女たちの会話のほかにモンスターの息遣いが聞こえていた。

 左右から襲い掛かるモンスターの頭部に躊躇いもなく短剣を付きたて、その返し刀で挟み撃ちからの混乱を狙っていたモンスターが開きながら襲い掛かる口を切り裂く。

 更に、上空から猛禽の類である鳥型モンスターが爪を光らせ襲い掛かってきたところで、ヒカリとルーナも加勢しようとナイフを構え、呪文の詠唱を唱え始めた。

 だがそれよりも、モンスターの爪がサリーの身体を毟り取るのが先になるだろう。


「師匠、使わせてもらいます……」


 バックステップで攻撃をかわすと共にサリーは腰に付けていた小型のカバンから赤い金属製の丸い物を取り出し……鳥モンスターに向けて投げ付けた。

 投げ付けられた物に気づいて、モンスターは当然回避をしたが……その先にある金色の糸には気づくことは無かったらしく、上昇しようと羽ばたいた瞬間、翼を根元で切り裂かれて地面へと落ちた。

 そして、そのままサリーは手を動かして、投げ付けた物を操り……前方の木を数本ほど切り落としてから、自身の手へと戻した。


「……え、えぇ~~……?」

「は、初めて見る武器……だったわね」


 呆気に取られた2人は何て言えば良いのか判らず……そう呟くばかりだった。

 ちなみにこの武器ことアダマンタートルの甲羅で作った本体とオリハルコンタートルの甲羅で作られた糸の危険なヨーヨーは、サリーがアリスの部屋を片付けている最中に見つけ、見様見真似で使えるように努力した物だった。

 けれどそれは誰にも言うつもりもないので、彼女だけの師匠との思い出としていた。

 そして、そのまま再び森の中を歩き……ギルドの報告にあった忘却草があると言われる場所へと辿り着いた。

 だが、そこは……。


「そんな……。か、枯れてる……」

「……最後に取りに行ってから、大分時間が経ってるって話だったから、自生できなかったのかしら?」

「それでも、それでも1本ぐらいは残ってるはずだよ! だって、そうしないとシターが……!」

「そうね、探しましょう」


 忘却草が生えていたと言われていた場所には、忘却草は生えていなかった……いや、生えていたというほうが正しいだろう。何故ならそこには、青々とした葉っぱは無く……枯れてカサカサとなった草があるだけだったからだ。

 その様子にヒカリは愕然とし、ルーナは一縷の望みを捨てないようにシターを励まして、忘却草が残っていることを期待して周囲を探し始めていた。

 そして、サリーも依頼として見つけなければならないと言うことで忘却草を探すために地面を見始めた。

 けれど……しばらく探しても、枯れていない忘却草は見つからなかった。


「やっぱり、無い……ほかに生えている場所はあったかな……」

「そんな……。シター……」

「せめて、枯れていても効果があったら良いんだけど……」


 そう呟く3人の表情は暗く、どうにもならなかった……。

 彼女たち……と言うよりも誰も気づいていないだろうが、しばらく前に起きた【叡智】のクロウが起こした行動の結果、この国の地脈は大分乱れており……彼女の力で大分元通りにはなりはしたのだが、色々と弊害は続いていたのだった。

 そして、その弊害は草木だけでなく……モンスターにも及ぼされていた。

 その【叡智】のクロウの置き土産としか言いようが無いものの1つが、鋭い牙が見える口から荒い息を吐いて……彼女たちの前へと姿を見せるのだった。

番外編のボスがそろそろ登場。

ちなみにヨーヨーはフィンガーホール辺りの糸は喰い込んだり切れたりしないようにアリスがギルドがある街に向かう途中にボーっとしながら加工していました。

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