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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
人の章
123/496

番外:ライトの冒険~旅の目的~

「どうしたんだい、ヒカリ……あれ? その人は?」

「ラ、ライトォ……、な……なんかこの人、変だよぉ……」


 ようやくヒカリが困ったことになっていることに気づいたライトはヒカリの居るほうへと向かうとヒカリ以外にもうひとり居ることに気が付いた。

 そして、やってきたライトに安堵しながら、ヒカリは小動物のようにプルプルと震えながらライトに抱きついた。それほどまでに、身の毛がよだったのだろう……。

 そんなヒカリの反応にライトは警戒しつつも、目の前の男性……ライトの中では多分豚の獣人と考えながら、声をかけた。


「えっと、失礼ですが……あなたは誰ですか?」

「ふひっ、おっと失礼失礼。拙者はチュー族のゆうしゃで、ドブと言う者でござる」

「え”っ……ゆ、ゆうしゃなの……?」

「なるほど、獣人の国のゆうしゃでしたか。ぼくは、人間の国の王都のゆうしゃ、ライトです。よろしくお願いします」


 チビデブこと、ドブがそう言うとヒカリはより、ライトにしがみ付くのだが、ライトは返事を返して握手を求めた。

 そんなライトの手をドブは握り返し、ライトとヒカリの2人をちらりを見ていったのだが、ヒカリはその視線に怖気を感じた。

 なぜなら、自分を見る瞳は何処か粘っこく、さらにライトを見る瞳には強烈なしっとを感じられたのだから……。

 シーフとして育てられたヒカリだから感じたのか、それともライトが鈍いのかは分からないが、イケメンスマイルを放ちながら、彼はドブへと話しかけていた。


「ドブさんはこんな場所でどうしていたんですか? 近くに村落や集落が無いって聞いていたんですけど?」

「ふひひ、いやぁ、お恥かしながら、拙者はちょっと王都に用があって移動していたのでござるが、相方を怒らせてしまって、こんな所に置き去りにされてしまったのでござるよ」

「えっ!? それは災難でしたね……。でも、ひとりじゃ大変ですよね……そうだ! ぼくたちも王都に向かうので、折角なのでご一緒しませんか?」

「ふひっ、本当でござるか! それはありがたいでござる!」

「はい。でも、他に従者とぼくの仲間が2人いるのですが大丈夫ですか?」


 勝手に進んで行く話に、ヒカリは全力で首を振って却下したかったが、リーダーであるライトの決めることなので却下できないと理解しているのか彼女は何も言わない……。

 そして、ドブはノリノリな様子でライトのあとに着いていき、ヒカリはそのあとに表情を暗くしつつ歩くのだった。

 馬車のほうに戻ると、ルーナとシターが戻ってくるライトたちに気づき手を振るが……1人増えていることに首を傾げる。

 そしてライトからの紹介で、挨拶をしたドブであったが……ルーナとシターの2人からの印象もやっぱり最悪であった。何というか、スライムが肌をヌルヌルと這いずり回るような嫌な悪寒が走ったのだ。

 しかも、3人を表す言いかたが、何というか……イヤであった。


「ふひひっ、イケメンゆうしゃハーレムはボクっ子シーフにお姉さん系魔法使い、そしてロリッ子巨乳僧侶だなんてなんてテンプレでつか、ふひひ」

「良く分からないけど、3人とも頼りになる仲間だよ。ね、みんな」

「う、うん。ありがと、ライト」

「そんなこと言われると照れるわ。ライくん」

「こ、光栄です、ライト様っ」


 ライトの言葉に3人は照れているのだが、3人の心の中では満場一致でこのドブにはあまり近づかないでおこうと決めた。

 そして、ライトが持ってきた意思で竃を作り、ヒカリの持ってきた枯れ木を種火にし、馬車に詰まれた薪を燃やし……晩御飯が作られていった。

 出来上がった晩御飯である、野菜とベーコンのスープとパンを食べ終えると、一行は話に花を咲かせているのだった。

 とは言っても、ドブのほうはかなり意味不明なことを喋っており、ライトは獣人の国の文化だと勘違いしつつ、3人娘は意味不明な言葉に生理的な嫌悪を感じていた。


「ふひ、そういえば、ライト殿たちは何をしに獣人の国に来たのでござるか?」

「ああ、実はね。しばらく前にこの国に魔族の侵略があったよね?」

「あったみたいでござるなぁー。けど拙者は、家で作業をしていたので気がつかなかったでござる!」

「そ、そうなんだ……。まあ、それでね。ぼくの国の王様が様子を見てきてくれって言ってきたんだよ」

「ま、要するに王様に面倒事を押し付けられたってことよ」

「ヒ、ヒカリ様っ、そんなことを言ったらいけないと思うとシターは思いますっ」


 そう言って退屈そうに頬杖を付きながらヒカリが言うと、国所属の兵士である従者が居るというその発言はということで、その発言はまずいと思ったのかシターが慌てながらヒカリに言うが、正直色んなことにイラッとしてたのだから謝る気はなかった。

 ヒカリの一番の怒りの原因は、王様のライトに対する態度が凄く気に入らなかったのだ。

 少し前に魔族の四天王の【最強の矛】ハガネに負ける前まではよいしょよいしょしていたと言うのに、負けた途端に興味を無くしたように雑な扱いをするようになって、その上……ハガネを倒したあの女性を探して祭り上げようなんて考えているという話も聞いていた。

 折角、ライトとの楽しい旅行と思っていたのに、一番の怒りの原因を思い出したのと、初めて会った獣人がこんなのだというのが、ヒカリの機嫌を損ねていたのだ。


「ああ、気にしないでくださいゆうしゃ様がた。自分は国所属の兵士ですが、王の発言には色々と困り果てている内のひとりですので……」

「い、色々と大変ですね……、その、頑張ってください……」


 遠い目をする兵士を労いつつ、一行はもう少し話の花を咲かせようとしていたのだが……シターが眠そうにしているのに気が付いたので、お開きとなり……ライトたち男性陣は焚き火の周りで眠りにつき、3人娘は馬車の中で眠りに付くのだった。

 そして、その日の深夜……悪夢は起きた……。

Q.3人娘にドブの印象を尋ねてみた結果。


A.

ヒ「女を食い物にする同業者を思い出した……」

ル「昔、村に住んでいた妖しい呪術を開発していた人に似ていますけど、豚ですよね?」

シ「えっと、修道院に居た子供好きで有名だったけど、何時の間にか居なくなった司祭様の瞳に似ていました……」


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