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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
人の章
121/496

番外:ライトの冒険~国境にて~

しばらくイケメンを三人視点で書いてみます。

 一台の馬車が人間の国と獣人の国の国境辺りを走っており、中では1人の青年と3人の少女……1名若干その枠から離れ――げふげふ、3ニンノショウジョデス。マダショウジョデス。

 っは! 今何が……。まあ、とりあえず、あるパーティーが馬車の中に居た。

 そんな彼らは、これから向かう国に対して何処となくウキウキとして……何というか、旅行気分を味わっていた。


「獣人かー……。ボク、獣人見るの初めてなんだよねー」

「あれ? ぼくは王都暮らしだったから会ってないとして、ヒカリの住んでいたところでは見なかったのかい?」

「んー、もしかしたら見たのかも知れないけど、国の人の殆どが獣人を嫌ってるから顔を隠してたのかも知れないねー。ルーナ姉とシターはどうだったの?」


 シーフのヒカリ、人間の国の王都のゆうしゃライトの2人は楽しそうに話をしており、それを魔法使いのルーナと僧侶のシターはのんびりと見ていたが、急に話を降られ……ルーナは思い出すように口元に指を当てて、シターはあわあわと慌て始めた。


「わたしの村は、冒険者をしている獣人が立ち寄ったりしていたわね。昔、一度だけ耳を障らせてもらったことがあったけど、ふにふにしていたわ」

「シ、シターの暮らしていたのは山の麓の修道院でしたので、普通の人も少なかったですっ」

「ははっ、シター。そんなに緊張しなくても大丈夫だよ。ぼくたちは王様からのお使いに行くだけなんだからさ。何も、いきなりとって喰われるってわけじゃないよ」

「はっ、はひっ!」

「うーん、ちょっと緊張を解したほうが良いかも知れないけれど……何処かに良い場所とかあったりしないかなー?」


 あまりにも緊張しすぎるシターに苦笑しながら、ライトは呟く。正直、座りっぱなしでお尻が痛くなっているのは否定出来ない事実だろう。

 そう思っていると、馬車を走らせていた従者がライトたちに声をかけてきた。


「でしたら、ゆうしゃ様。もう少ししたら丁度、草花が咲いている場所がありますんで、そこで休憩してみたらどうでしょう?」

「え? 草花? こんな荒れた山道に?」

「はい。ある日何時の間にか出来ていて、出来た当初は王都の研究者が調べると言って道を塞いでたんですが、ある冒険者が研究者を殴りつけたらしく……それ以降、研究者はここには来たがらないみたいなんで、綺麗に残ってるんですよ」

「へー、色々凄い冒険者が居るんだね。従者さん、そこで休憩したいんだけど大丈夫? ライトも良い?」

「うん、時間はまだあるだろうし、少しぐらい休んで行くなら平気だと思うよ」


 そう言って、一行は件の緑がある場所に辿り着くと、馬車を停めた。

 馬車から降りた一行の目の前には、荒れた山道がある中で何故かその一帯だけが草花が生い茂るという光景が広がっていた。

 ライトが身体を伸ばすと、その横で同じようにヒカリたちも身体を伸ばし反らしていた。

 ちなみにルーナとシターの豊満な双丘を従者はついついチラ見してしまうが、気づかれたら変な目で見られると分かっているらしくすぐに目を反らしていた。

 実のところ、従者は王城に仕えている人物が行うのだが、このようにライトたちが移動するときの従者は何時も特定の人物ではなく、勝負でもぎ取っていたりする。それほどまでにライトに付き従う3人娘は素晴らしいのだ。

 身体を伸ばし終え、ヒカリが目一杯に息を吸い込んで、同じ景色ばかりで鬱屈としていた気分を晴らしている中で、ルーナとシターの2人は驚いた表情でこの辺りを見ていた。


「どうかしたのかい、2人とも?」

「うん、凄いよライくん……、この場所凄く綺麗な魔力で満ちているわ」

「多分ですけど、最上級の『聖』魔法を使えることが出来る神官か魔法使いがここで浄化を行ったんだと思います」

「そうなのかい? でも、どうしてこんな場所で……」

「そういえば、ゆうしゃ様。何でもこの場所がこうなる前に、魔物溜(モンスタープール)が発生したと言う知らせを受けたって話ですよ」


 ルーナとシターの言葉を聞いて、ライトは首を傾げるが……従者が魔物溜が発生していたことを知ると、2人は納得したように首を縦に振った。

 彼女たちの反応にライトと従者は首を傾げて、納得している理由を問いかけてみることにした。すると……。


「いい、ライくん。ずっと前にも説明していたけれど、魔物溜は中の魔物を全部倒すか、自然消滅をするまで待つ他にもう一つあるのよ」

「それはですね、ライト様。魔物溜となっている場所を浄化するという方法です。それもただの浄化ではなく、最上級の『聖』魔法を複数で一気に放つか、休む間も無く掛け続けるというものです。ちなみにシターには無理ですっ」

「えっと、つまり……出来るかと聞かれたら、出来ないと言う人しか居ない。ってことで、良いんだね?」

「ええ、だからこれを行った人は異常過ぎるとしか言いようが無いのよ」

「まるで、王都に出たあの女性ほどの力が無いと……」


 シターの言葉に、ライトとルーナはあのとき王都を救った名前も知らない不思議な少女であろう女性のことを思い出す。

 と言うよりも、あの女性ならこういうのを普通にやりそうだと思っていると、不意にライトへと体当たりが仕掛けられた。

 いきなりのことでライトは驚いたが、体当たりをしてきた相手を良く見ると……頬を膨らませて機嫌が悪そうなヒカリだった。


「ライトッ、それにルーナ姉にシター。ちゃんと休憩しようよ!」

「そうだね。ごめん、ヒカリ。それじゃあ、ちょっと座って休憩しようか」

「そうね、ライくん。……素直じゃないわね、ヒカリはぁ」

「っ!? な、何のことだか……! 別に、ライトがボクたち以外の女の子のことを考えたって、気にしていないんだからっ!」


 プンスカとライトの後を追いかけるヒカリを見ながら、ルーナは頬に手をあてながら、アラアラと呟く。

 それがどういうことなのか、シターには良く解っていないらしく、不思議そうにしながら、ルーナへと訊ねた。


「えっと、ルーナ様。ヒカリ様はどうして怒ったんですか?」

「んー、シターちゃんがもう少し成長したら分かるようになると思うわ。さ、それじゃあわたしたちも休憩しましょう」


 そう言って、ルーナはシターの手を取って2人が居る場所へと歩き出した。

 それからしばらく休憩をとり、4人は再び馬車に乗り……獣人の国へと入った。

 そこで彼らは、未知との遭遇をするのだった……。

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