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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
人の章
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ゆうしゃ、空を跳ぶ

 さ、お昼ごはんにするから手を洗って……ってもう洗ったのね。

 ああ、朝はいいところで終わったから、気になって仕方がないのね。

 わかったわ。それじゃあ、お昼ご飯を食べながら続きを話そうかしら、父さんは狩りに行ってるしね。

 え? どうして父さんが居るところで話したら駄目だった? うーん、そうね……トラウマかしら。虎縞の馬の話よ。

 とりあえず、彼女は冒険者の脇に差した剣を抜き取ったのよ。


 いきなり剣を取られた冒険者は驚いた顔をしていたけど、それを無視して彼女は足に力を込めて一気に空高く跳びあがったわ。

 瞬間、彼女の身体は浮いたような感覚を覚え……気がつくと王都の空を飛んでいたわ。

 込めた力は2000くらいだったけど、もしも最大まで込めてたらどれだけ高く跳んでしまうのか気になるけど、とてつもなく嫌な予感がするから彼女はやめておいたわ。

 で、空中に飛び上がった彼女だったけど、すぐに下の王都の様子を見たわ。もちろん、モンスターが何処にいるかを確認するためにね。

 王都全体を見渡すと、【最強の矛】ハガネが引き連れたモンスターは一方向、西門の外から次々と雪崩れ込んできて、反対側の東門と南門のほうからは人たちだと思う粒々がちらほらと逃げているのが見えた。

 それを確認しながら、彼女は自然落下に身を任せて地面に落ちるのを待ってたんだけど、空を泳ぐモンスターと目が合ったんだ。


『GYAOOOOOOOOOOOO――!!』

「う、うわっ!?」

『GO、GYA、GYA……? ――GYA!?!?』


 猛るような雄叫びを上げながら、龍の姿をしたモンスターは彼女に襲い掛かってきたんだ。

 大きく開かれた口からは鋭い牙が見え、彼女のような人間は呆気なく喰い千切られるはずだったんだ。

 けれど、襲い掛かってくるモンスターに驚きながら彼女は剣を振り上げたんだ。

 剣は激しい風切り音を立てたが、龍に命中せず。龍はそんな彼女を嘲笑うかのように不敵に笑ったんだ。その笑いがそのモンスターの最後の台詞となったよ。

 何故なら、龍は真ん中からずれるようにして左右が分断されたのよ。しかも、奥の空は彼女が振り上げた剣の軌跡が大きな雲を斬っていたわ。

 そして、左右に斬られた龍の死骸は血の雨を地上に降り注ぎながら地面に落ち始めたわ。


「うわっ、このまま落としたらマズいよね!? でも、どうする? 魔法とか使えたりしないの?!」


 このまま落としたら、王都に落ちて混乱することになる。それに気づいた彼女は慌てながら、彼女は同じように落ちて行く巨大な龍の死骸に目をやりつつ、ステータスを表示させたわ。

 名前や身分などが書かれたもの、レベルや各種ステータスが書かれたもの、そしてそれを見つけた……。


 ~~~~~~~~~~


 魔法一覧


 火・≪種火≫ ≪火炎≫ ≪爆炎≫ ≪神炎≫ ≪獄炎≫

 土・≪軟化≫ ≪土壁≫ ≪泥沼≫ ≪硬化≫ ≪隕石≫

 水・≪飲水≫ ≪氷槍≫ ≪津波≫ ≪凍結≫ ≪  ≫

 風・≪微風≫ ≪強風≫ ≪突風≫ ≪鎌鼬≫ ≪神風≫

 聖・≪治癒≫ ≪回復≫ ≪  ≫ ≪  ≫ ≪  ≫

 魔・≪  ≫ ≪  ≫ ≪  ≫ ≪  ≫ ≪  ≫


 ~~~~~~~~~~


「あった! それに何だか分かんないけど、使い方も分かる!!」


 どういう原理で魔法を覚えるかは分からない、けれど彼女は頭の中で自然と理解できた魔法を唱えるべく、体に魔力を循環させたわ。

 ちなみに魔法は使えるかどうかは人それぞれだから、あんたも使えるか分からないわよ。……ああ、落込まないの、まだ分からないんだから。ね?

 それで、彼女は循環させた魔力に『火』の属性を混ぜ合わせて、手のひらから放出するイメージをして……龍の死骸に向けて手のひらを押し出したわ。


「いっけぇぇぇぇぇぇっ!!」


 瞬間、彼女の手から燃え盛る炎が手の形となって、龍の死骸を呑み込んで、西門の外から王都に入り込もうとしているモンスターの大群の中心地に落ちたわ。

 その直後、地上に落ちた炎の手は……灼熱と光を伴って、その場で激しく爆発したわ。

彼女のチートが火を吹くぜ。

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