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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
人の章
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暗黒の女神像

 っと、一次発酵も良い感じになってきたから……ちょっと成形しようか。

 続きはちょっと待っててね。って、え? 一緒に成形したいって? んー……じゃあ、プチパンサイズにして丸めて貰おうかな。どれくらいのサイズかって、とりあえず、たまに泥んこ遊びするときに作ってる泥団子くらいの大きさで良いわ。

 ……て胸張って威張らないの。正直そういうときのあんたは嫌な予感しかしないんだからね。

 まあ、とりあえず始めようか。っと、ちゃんと手を洗いなさい。


 ……あー、うん。丸めるだけ丸めたのは良いけど、食べ物で遊ぶのは止めなさいね。

 というか、仕舞いには母さん怒っちゃうからね。

 反省した? ……うん、じゃあとりあえずは湿らせた布を被せてしばらく置いておこうか。

 膨らむまでの間、続きを話すわね。


 空を突き抜けた魔力砲が収まって行くのを確認すると、ワンダーランドも自動的に銃身を仕舞い込み、持ち手も元の位置へと戻ったわ。

 彼女は神殿に開いた穴から空を眺めたんだけれど、【叡智】のクロウを完膚なきまでに消し去ったというのに、黒い光の柱は消えていなかったのに気が付いたの。

 とりあえず、高台からクロウは離れなかったことを思い出し、彼女は高台へと上って行ったんだけれど……そこには大きな像が1体置かれていたの。

 獣耳を頭に付けて、尻尾を垂れ下がらせた、布一枚を纏った姿をしているであろう石像。多分、これは女神像とかそんな感じの物なんだろうと彼女は考えたけれど……どう見てもこれは異常な状態になっていることが理解できたの……。

 だって、元は白色だったであろう像には、ドロドロとした黒い色が染みこんで行くかのように白色を侵食していっているんですもの。


『えーっと……これは……。どうみても、あの鳥野郎何かやってたよな?』


 そう呟きながら、彼女は女神像(?)を観察してると……黒がジワジワと白を未だに侵食しているのに気が付いたわ。

 それを見ながら。あの空間で神が言ってたことを思い出して、彼女は予想を立ててみたの。


『この国の神様が汚染されて、神殿から瘴気が漏れ出したって言ってましたよね……。ああ、そして目の前の像の黒は多分瘴気だと見ていいんだろうな……』

『じゃあ、この瘴気を何とかしたら、この国はもう安心……ということで良いのでしょうか? 多分だけど……どうやるかが問題になりそうな気がするぞ』


 彼女は問答しながら、ワンダーランドを構えると……とりあえず、【マッドハッター】を使って収束した『聖』の属性を女神像に向けて撃ち出したの。

 輝く光の矢が女神像に突き刺さり、眩い光が女神像を包み……女神像は白くなったことはなったんだけれど、すぐにジワジワと黒色が染み込んで来て……さっきと同じに戻ったの。

 浄化される速度よりも侵食する速度のほうが速いのか、それとも表面上しか白くなっていなくて……中はもうどす黒くなってるのか正直彼女は悩んだわ。

 それでも、どうにかしないといけないと考えて、彼女は『聖』の属性を中心にして『火』の属性と混ぜ合わせた、≪聖炎≫で女神像を燃やしてみたけれど……効果が無く、今度は『風』の属性を混ぜ合わせた≪聖嵐≫で女神像の中心から上空に巻き上げるように風を巻き起こしたけれど……白が黒、白が黒と白にはなるけれどすぐに黒になっていったの。


『浄化はもう不可能なくらいまで汚染されているってことで良いのか……? だと思います……ですが、どうしましょうか?』


 彼女はそう呟いたけれど、時間は刻一刻と迫っていて……女神像が真っ黒になると、地中から国全体に瘴気が噴出して国中を汚染するということになるというのが理解出来ていたの。

 だけど、どうするべきかと彼女は悩んだわ。それと同時に……考えるのは決して止めなかったの。


『浄化が普通に表面上のカビしか取れない洗剤だとしたら、奥のほうにはまだカビの根が残っているから……すぐに戻るよな?

 そうみたいですね。そしてその場合は、ブラシとかを使うと逆効果になってカビが広がるんでしたよね?

 確かそのはずだ……。じゃあ、根元までカビを除菌するにはどうすれば良いのか?

 目に見えない物だったら、より浸透する洗剤もしくは薬を使えば効果がありますよね。

 じゃあ、目に見えるものだったら……引っこ抜く?

 それだけだと、不安なので……超濃縮した浄化の力に浸してみるとか……でしょうか?』


 地味に彼の世界の方法を話しの中に混ぜつつ、彼女は相談していたわ。誰かが見ると、可哀想な人にしか見えないけれど……気にしないであげてね。

 まあ、どうするべきかを決めた彼女はやるべきことをやることにしたの。


 それに……彼女の時間はもうほとんど無かったしね。

そろそろ獣人の国の話は終わる予定です。

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