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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
人の章
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魔法合戦

 駆け出して、近づいてくる彼女へと【叡智】のクロウは3歩進んでから、魔王から貰った力を使って、魔法を唱え始めたの。聞いてはいたけれど、3歩移動することが新しい魔法を考える手段なのね。

 とりあえず彼女は先程と同じように【チェシャキャット】を使って魔力を掻き乱そうとしたんだけれど、【叡智】のクロウもそれに対する対抗を考えたのか、威力を削って速度を重視する魔法を思いついたみたい。


「魔王様から頂いた力を使い、貴様の二重属性魔法を見て我輩が閃いた魔法を受けてみるがいいのである!! ≪石嵐≫!!」

『閃いたとか言って、ただの劣化版じゃねーかよ!! こんなのは二重属性でも何でもありません!!』


 自信満々にクロウが放ってきた魔法は、室内に竜巻を巻き起こし……その中に石が混ざりこみ、巻き込まれた者の身体を石が強打して行くという風なつくりになっていたの。

 だけれど、こんな魔法は雑だと思いながら、彼女はワンダーランドを構えて魔力を練り上げると『風』の属性を与えて引金を引いたわ。


『荒れ狂え、【マッドハッター】!!』

「な、なんということであるか!!? 我輩の魔法を逆に打ち消したのである!!? だったらこれならどうであるか!! ≪火石≫!!」


 収束して放った風の魔法は迫り来る石を含んだ竜巻を打ち消し、それを見た【叡智】のクロウを驚愕させたわ。

 そして、再び3歩移動してからまた新しい魔法を使い、真っ赤に燃える大きな石を彼女に向けて撃ち出してきたの。

 それに対して、彼女は『土』の属性を与えた魔力を込めて、引金を引くと……無数の拳大の石が猛スピードで放たれたの。それらの石は、クロウが放った燃える石に減り込んで行き……限界を迎えた燃える石は砕け散ったわ。


『【トランプナイツ】……、いい加減マネをするのはやめてくれませんか?』

「ぬうう……小癪なである!! 魔王様の力をより使えば、貴様など羽虫に過ぎないのである!!」

『だったら、やってみたらいいじゃないですか。一発受けてやるよ……ほら来い』

「ぬぎぎぎぎっ!! だったら、その余裕を抱いたまま、貴様には死を齎してやるのである!!」


 正直、舐めプ……舐め切ってるような反応だけれど、幾らなんでも不憫って思ったのかそう言って彼女は【叡智】のクロウを挑発したわ。

 すると、怒りに震えたクロウは叫び、3歩歩いたけれど……すぐに3歩歩き出したの。どうやら、必殺の一撃となりうる魔法ではなかったようね。

 それをしばらく見ていると、ようやく強力な魔法が思い浮かんだのか、【叡智】のクロウは高笑いをしたの。


「ふは、ふははは、ふははははは!! ようやく思いついたのである!! 貴様を一瞬で消し去る魔法を!! 喰らうのである!! ≪氷炎≫!!」


 【叡智】のクロウはそう叫び、手を翳すと彼女に向けて炎が放たれたの。それを彼女は避けること無く、受けたわ。

 すると、彼女の身体は燃え上がると同時に炎が凍り始めてきたの。そして、仕舞いには炎の形をした氷が彼女を覆いつくしていたわ。

 中の彼女が動かないのを確認しながら、クロウは高らかと笑い出したの。


「やった、やったのである!! やはり我輩の魔法は天才的なのである!! これで我輩の邪魔をする者は居なくなったのである!! さあ、続きを始めるのである!!」

『これで終わった……何て言わないよな?』

「な、なんであるか……今の声は?! ま、まさか……いや、そんなはずは無いのである……!! 確かに、手ごたえは合ったのである!!」

『手ごたえ……ですか? だったら、あなたは魔法のことなら誰にも負けないって言うのは嘘になりますね』


 驚愕する【叡智】のクロウを他所に、氷の中で息絶えたと思われていた彼女は目を開き、不敵に微笑みながら高台のクロウを見ていたの。

 そして、氷の炎を自らを中心として金色に輝く炎を発生させると一瞬で蒸発させ、地面へと降り立ったわ。

 氷を溶かしたときに濡れたのか髪を軽く振って、クロウに視線を移したの。

 その視線に恐怖したのか、クロウはビクリと震えたわ。その震えは恐怖による震えだと思うわ。


『あなたの強さがどれだけかは分かりました。それにもう、時間が無いみたいだから……これで決めてやる』

「な、何をする気であるか!!? それに、その魔力量は……魔王様と同と――いや、それいじょ――!!?」

『もう黙ってください。なんつーか、であるである五月蝿いんだよっ! ≪風雷縛≫!!』


 彼女がそう叫ぶとともに、クロウの足元から雷を纏った風が吹き荒れて、クロウを空へと飛ばすと同時に徐々に圧縮し始め……球のような形になると、クロウを中で握り潰そうとするように圧縮して行ったわ。

 それに視線を向けながら、彼女はワンダーランドの持ち手を握り締めると、通常の持ち手を奥へと押し込み、先に付いている持ち手を曲げたの。すると、刀身が出るのではなく、砲身が姿を現したの。

 とりあえず、バスターフォームとでも言うような形になったワンダーランドを彼女は【叡智】のクロウに向けて構えたわ。

 すると、砲身の直線上に6つの魔方陣が姿を現したの。それぞれ、赤・青・茶・緑・光・闇の色をしていたの。

 それを見ながら、【叡智】のクロウが球の中で何かを叫んでいるけど、まったく聞こえなかったわ。


『塵も残らず消えなさい! 大いなる力の前に跪け!!』


 彼女が叫ぶとともに、砲身の先に魔力が収束され始め、それが大きくなるどころか……小さく小さく、凝縮するかのように圧縮され始めていったの。まるで火種のようにね。


『最後に、お前を倒す攻撃の名前を教えてやる!! 【クイーンオブハーツ】!!!』


 叫び、引金を引くとともに……超圧縮された魔力は一つ目の魔方陣を通り抜け、赤色の膜に包まれ……続いて魔法陣を通るごとに、その色の膜が魔力に包まれ始めて行き……最後の魔法陣を経由した瞬間――圧縮された魔力を一気に解き放って、【叡智】のクロウへと襲い掛かったの。

 回避することも出来ず、防御することも叶わないまま、【叡智】のクロウは圧倒的な暴力と呼ぶべきほどの、魔力砲に撃ち抜かれていったわ。

 ちなみに魔力砲は神殿の壁を突き破って、空を突き抜けていったわ……。

剣の必殺技も良いけど、遠距離系の必殺技も好きです。

ゆうしゃ系ってそういう2種類ですしね。

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