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あるゆうしゃの物語  作者: 清水裕
人の章
112/496

必殺技

『HAAAAAAAかぁぁぁぁぁぁぁイィィィィィィィィィィィィ~~~~ッッ!!』


 何とか人の耳でも聞こえるような声でティーガだった物は叫ぶと同時に、彼女を睨みつける無数の瞳……そのすべてから熱線が撃ち出されたの。

 当たれば簡単に穴が開くであろう熱線が地上から上空に撃ちだされて行く中を、彼女は気にせずにワンダーランドを構え……魔力を込めると共に『水』の属性を込めて、それを放ったわ。すると、無数の水色の矢が地上に向けて放たれたの。

 放たれた水色の矢は熱線を的確に撃ち抜き、撃ち抜かれた熱線は撃ち抜かれた先から凍り始め……ピキピキと音を立てながら凄い速度で本体に向かって凍った熱線が近づいてきていたの。というか、熱線が凍るってどんな状況かしらね……。

 そして、一番早くに凍った熱線がティーガだった物の瞳に辿り着くと、パキッと音を立てて瞳の表面を凍らせたの。


『GUUUUUUUURORRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRRROOOOOOOOOOOOOOO!!!??!?!?!』


 甲高い悲鳴を上げながら、パキパキと音を立ててティーガだった物の瞳は凍り、ひび割れていったわ。

 それを見ながら彼女はゆっくりと地面へと降りて行ったの。目の前にはパキリピキリと音を立てながら、ティーガだった物の瞳から徐々に身体へと氷の侵食が進んで行くのが見て取れたの。だけど、それだけじゃまだ足りなかったらしく……砕けていくと同時に再生をしているらしく、見ると変な感じに見えたの。

 それを見ながら、この再生は多分……肉体の影響じゃないと彼女は思ったわ。ただの勘だけどね。

 けれど、その勘を頼りに周囲を見渡していた彼女だったけど、上空を見て動きを止めたの。


『ああ、多分あの空が原因かも知れませんね。じゃあ、どうするか? いや、どうするかは決まってます。ああ……決まってるな』


 まるで話すような口ぶりで彼女はワンダーランドを構えると、大量の魔力を込め……『聖』の属性を与えて、上空に巨大な光る矢を撃ち出したの。

 巨大な光る矢は、消えかけていた審判の炎に触れると、弾けるようにして神聖な魔力が上空に広がっていったの。神聖な魔力に当てられて、上空を覆っていた濃い紫色だった空が揺れていたの……多分だけど瘴気だったのね。そして空の揺れが収まるとともに、瘴気が薄れて行き……空は正常に戻っていき、太陽が沈みかけて茜色になった空が露わとなったの。

 すると、周囲が少しだけ軽くなったように感じ、他の人たちも何が起きたのかは分からないけれど、身体が軽くなったような気がすると言う声が彼女の耳に聞こえたわ。

 そして、目の前のティーガだった物からはシュワシュワと黒い煙が出始めたの。多分、太陽の光で身体に満たされていた瘴気が焼けているってことでしょうね。


『これで、あなたを再生させる物は無くなりました。だから、一気に片を付けさせてもらうぜ』


 そう言って、彼女はワンダーランドに新しく出来た持ち手を握り締めたの。すると、何処に内蔵されていたのか分からないけれど、ワンダーランドの先から朱色に光り輝く刀身が姿を現したの。安定のアダマンタートルとオリハルコンタートルの欠片で作られた刀身よ。

 と言うか、明らかにワンダーランドの倍ぐらいあるのよね。その刀身……ファンタジー武器ってヤツになっちゃったわね。え、元々じゃないかって? ……そうね。

 とりあえず、ソードフォームとでも言うべきそれを構えると彼女はティーガだった物へと向いたわ。すると、彼女とティーガだった物を囲むようにして直線上に風の壁が現れたの。

 さらにティーガだった物の周囲に、雷と氷で出来た鎖が現れてティーガだった物を拘束したわ。

 それを見届けながら、彼女はワンダーランドの持ち手に力を込めると……風の壁に巻き上げられるようにして、浮き上がり……、一直線に拘束されたティーガだった物へと突撃して行ったの。

 彼女の身体が風に押し出されていく中、ワンダーランドの刀身が赤く燃え上がり始めていき……身体全体を包み込むようにして燃え上がっていったの。

 そんな中で、彼女は本能に逆らうこと無く……口から、スキル名を叫んだわ。


『これで、終わりだ! <ブレイクゥゥゥゥ! フィィニィィィィィッシューーッッ!!>』

『GGGGGAAAAAAAAAAAAAAARRRRRRRRRRRRRRRROOOOOOOOOOOOOOOO――――!!?』


 叫び声とともに、彼女の身体はティーガだった物の身体を突き抜けて……ある程度した辺りで地面に降りると、ワンダーランドを一振りしたの。その瞬間、激しい爆発が穴が空いたティーガだった物から放たれたの。

 ちなみにスキル名は<ブレイク・フィニッシュ>って言ってたけど、思い浮かばなかったからそう言っただけみたい。正直それをネタにされると彼女はきっと、からかった相手を半殺しにするでしょうね……。

 それを見届けると、彼女たちを囲っていた風の壁は消失し……ティーガだった物はそこにはもう居なかったの。

 そして彼女の戦いを見ていた王城から、声が響き渡り……それに返事をするように彼女は拳を掲げたわ。


『……うん、これで王都のほうは安心ですね。じゃあ、後は神殿だな……? はい、サリー様との約束をまだ果たしていないからな』


 自分自身に話すようにして、彼女はそう言うと……来たときと同じような黒い円を上空に出し、そのまま円の中へと入って行ったわ。

ゆうしゃと言ったら、サン○イズバースで剣を構えてから、敵を何らかの方法で拘束してトドメを刺すのが基本ですよね。(つっこみまち)

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