忠告された
彼女がステータスを話して行くと、聞いていた3人の表情は険しくなり、女性受付に至ってはフラッとめまいを覚えていたようだったわ。
ギルドマスターは聞いていた話に頭を抱えつつ、彼女を見つめながら声を絞り出してきたの。
「……まじか?」
「マジです。それと、ステータスに(+数値)ってあるのですけど、これってなんですか?」
「な、なるほど! アリスは祝福持ちなのか!」
「祝福持ち? 神様がついてるとかそんな感じのですか?」
「そう、そんな感じだな。ちなみに基本的にはゆうしゃが持ってるけど、たまに俺みたいにも持ってたりするんだ。ちなみに俺は攻撃力に(+3)がある」
「そうなんですか? ちなみに……今までで最高の祝福はどれだけだったりです?」
「最高かー……確か伝説だと全てに(+100)というのがあったらしいな。まあ、伝説だけどな」
「アリスはどれだけなんだ?」
「オ、オレは……その、素早さに(+2)ですね」
何時の間にか冒険者が彼女に対する呼びかたをお嬢様から呼び捨てに変わっていたことには気づいたけど、彼女はツッコミはしなかったよ。というよりも、お嬢様よりも呼び捨てのほうが百倍マシだしね。
そして、話を聞いた限りだと(+ )は神の祝福と呼ばれていて、基本ステータスに追加される能力みたいなんだよ。
え? 彼女が言った数がウソだったのはなんでかって?
だってね、あんな数値を持ってるなんて言われたら、聞いたほうは怖いだけだし、神か悪魔かって思われるのが関の山だよ。
まあ、そのあとに聞いた話だと、祝福は本人がその気にならないなら追加されないらしいから、彼女の日常生活は守られたわけだ。
ちなみにギルドマスターは物凄く胡散臭い顔で彼女を見ていたわ。まるでウソをついてる味が分かるみたいな顔でね。
「まあ……そこは本人の意思を尊重するか。だけど、ひとつ言っておくぞアリス」
「なんですか?」
「教えてくれと頼んだ俺が言うのもなんだけどな、絶対にステータスを教えてくれと頼まれても言うんじゃないぞ……特に城の連中にばれたら一大事だからな」
「…………えっと、ゆうしゃとか冒険者のレベルで今までの最高レベルってどれだけだったんですか?」
「……53だ。ちなみに俺は31だから、76なんて上位の魔族の武将が持ってるか持ってないかレベルなんだぞ」
「うわぁ……ばれたら即座に最前線送りの上に、使い捨てにされそうですねー……」
「あの王様、たまにそういうことをするし、万が一生き延びても下手すりゃ妾にされた上に一生城暮らしで子供産まされ続けると思うぞ」
「ぜっ、絶対ばれないようにしたいですっ!」
正直、彼だったころにこっそり買ったちょめちょめな漫画とか少し大人向け漫画とかでそんな感じのを見て、エロイエロイって思ってたころもあったけど自分に降りかかると思ったら彼女も必死になるよね。
エロイって? ……うん、ごめん、あんたは本当ピュアでいて、エロイって言葉は知らなくても良いからね。
まあ、とりあえず人間が頑張って上げることが出来るレベルが実質50台っていうことだから、もうすぐ80台になりかけていた彼女はどう見ても異常だったね。
それこそ人の姿に化けた魔族じゃないかってレベルにね。
改めてそう言うことを知った彼女は継ぎ足されたお茶を飲んで完全に現実逃避を決め込んで、早くホンニャラッカに帰って平穏な生活を送ろうと考えていた。
王様が言ってたように近隣のモンスターを倒して日銭を稼いで街の平和を守る程度のレベルで……。
「あ、あのマスター……ここに書かれているモンスターの名前って……」
「……ま、マジか?」
「どうしたんだ、おやっさん? そのモンスターの名前がどうかし……うぇ!?」
「い、いや、いくらなんでも……だってヤツはタートルどもに守られてるんだぞ?」
「えっと……その上の欄に、アダマンタートルとオリハルコンタートルの名前がいくつか並んでるんですが……」
3人が冷や汗を書きながら、討伐モンスター一覧を眺めていたのだけど、今度は信じられないといわんばかりに彼女のほうを見たの。
何だかとても嫌な予感を感じながら、やっぱり現実逃避をしていた彼女だけど、突然、王都全体を揺さぶるような激しい音が響いたのよ。
窓の外を見ると、城壁のほうから黙々と煙が上がっていたわ。その直後に、王都全体に響くような大きな声が聞こえたわ。
『愚かな人間よッ! よくも、我が友である四天王のひとり【無敵の盾】ウーツを亡き者にしてくれたなッ! 友の命を貴様ら全員の命で償ってもらうぞッッ!! この【最強の矛】ハガネが!!』
やられたからやり返すってことで攻め込んできたのよね。
というか、四天王なんて居るのって思うわよね……。まあ、居たのだから仕方ないわよね。
ってことで、今日はもうおしまい。え? 折角盛り上がりそうな気がするのに??
そうね……、今やめないとより長いことになりそうだからね。
さ、もう寝なさい。おやすみなさい。
ドラ●エで言う所の、アリア●ンに居たらバ●モスがキラーマ●ンが攻め込んできたレベル。