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Mousse Chocolat Framboise  作者: カフェと吟遊詩人
6/25

メットル オ バン マリィ ショコラ

沙羅は苛立っていた。それでも会社では皆に笑顔を見せている、2人以外には。


「絵里、お昼に話し聞いてよ」


「どうしたの?って、何か有ったぽい不機嫌な顔してるね」


「勇輝はお昼には帰って来るのかな?」


「勇輝に苛立ってるの?」


「違うよぉ。勇輝にも愚痴を聞いて欲しいの」

勇輝は今日は外出中で何時に帰って来るかは決まっていないらしい。


「じゃあ、焼肉行く?そうしたら勇輝も一緒に行けるんじゃない」

なぜ女性はこんなに焼肉が好きなのだろうか。恐らく男よりも女の方が焼肉が好きだと思う。


「夜まで我慢かぁ。しょうがない」


最近、勇輝は仕事で外に出る事が多い。おそらく会社に試されている時期なのだろう。

ここで結果を残せば出世の可能性の有る人材という見方をされる。ここで失敗したら、まだしばらく下っ端のままなのだろう。


沙羅と絵里はそんな勇輝を陰ながら助けている。勇輝が外から戻ると、会社内でやらなければいけない仕事が幾つか終わっているのだ。

勿論、勇輝も誰がやってくれているのか解っている。今の勇輝は本当に恵まれている。

絵里が勇輝にメールを打つ


[今夜、沙羅が焼肉に、行こうって。勇輝も参加だから]


「勇輝誘っておいたからね」

沙羅は仕事に戻りながら笑顔に戻っていた。





仕事が終わり、沙羅と絵里はお店に向かった。

「勇輝からメール来てたんだけど、今日は目白台の<マラカッサン>が良いんだって」


「鴨コンフィが食べたい」


「きっと勇輝もそうなんだよ」

2人は地下鉄の階段を降りて行く。



護国寺に着くと勇輝からのメールに絵里が気が付いた

[先にお店に入ってるから]


「勇輝、もう着いてるみたい」


「今日は早めに終われたっぽいね」

急足でお店に2人は着いた。


「待ってたよぉ」

勇輝は明るく2人に手を振った。

こんな風に笑顔で待てる様になったのも2人の努力だろう。


3人はメニューを覗き込み静かに何を食べるか物色している。


「勇輝、鴨コンフィ一口ちょーだい。違うの頼みたいから」

食いしん坊キャラな沙羅が、また勝手な事を言っている。勇輝も絵里も慣れているし、自分達も人のものを突きたいのでむしろ喜んでいる。


注文が終わると沙羅が話し始めた


「聞いてよねぇ」


「解ってるよ、その為の集まりなんだから」


「えっ、そういう趣旨が有る食事会なの」


「本当はお昼に聞いて欲しかったのを我慢してるんだから」


「で、どうしたの」


「隆史さん大阪に転勤だって。しかも自分から希望したんだって」


「えっ⁈」

2人は驚いた。


「付き合って3年過ぎたじゃない。大事な話って言われたからもしかして結婚なのかなとか考えたりして、聞いてみたら転勤だよ」


「・・・・・」

2人は何も言えずにいる。


「それで、付いてきて欲しいとか言って貰えるかと思ってたら、転勤の報告だけだよ」


「付いて来いとか、結婚してくれとか言われても正直困ったけど。何も言われないのはショックだったよ」


「えっ、プロポーズされても断ったの」


「結婚はまだ早いかなと思ってる。まだ若いし、やってない事が世の中にいっぱい有る気がするから」


「付いて来てって言われたとしたら?」


「言われてもないもん」

沙羅は拗ねている


「言われてたとしたら?」

もう一度聞いてみる


「断った。今の職場にずっといたい訳じゃ無いけど、私はまだ社会にでて何も出来る人間になって無いと思うから。勇輝、2人でいつか見た<セブンティーン>て映画覚えてる?あの映画のセリフにも有ったでしょ[僕は何も持っていない]って」


勇輝ははっきり覚えていないが、そういう意味合いのセリフが有った事を思い出した。


「あの時もそんな話ししてたね」


「でも、どうするの?付いて行くの?遠距離?別れるの?」

絵里が矢継ぎ早に質問する


「解らないよぉ。付いて行くにも誘われて無い。別れ話をされた訳でもない。どうしたらいいか解らないよぉ」


沙羅が少し涙目になった所に一皿目の料理が出てきた。沙羅の顔は笑顔に変わる。女性は?違うな、沙羅は小さな幸せにを全部見つけて感じる事が出来るポジティブな人間だ。


「美味しそう。絵里!絵里のも美味しそう。勇輝のは、、、」

そう言いながら勇輝のお皿を覗き込んでいた。



メインの料理を食べ終わり、デザートを待つ3人は答えの出ない話を続けていた。


「沙羅は隆史さんと結婚するもんだと思ってた」

絵里は残りのワインを飲み干して沙羅に話しかけた。


「私だっていつかはそうなるって考えてたよ。でも、転勤、、、しかも希望してって、、、」

勇輝は少しシャンパンを飲んでしまったせいで眠そうだ。極端にお酒が弱い。もはや2人の話を聞くだけで精一杯だ。


「勇輝、この際もうちょっとお酒付き合ってよ」


「えええ、もう飲めないよ」


「私が悲しい思いをしてるのに?勇輝が落ち込んだ時は付き合ってあげたよね」


「絵里、助けてよ。お酒以外なら付き合うから」


「明日は休みなんだし、付き合いなよ。私も一緒だから」

絵里にまで言われて勇輝は諦めるが、今にも寝そうだ。



近くにBARを見つける事が出来ず、池袋に移動してお店に入った。


「池袋はあまり来ないから解らないね」


「誠を呼べば良かったね。池袋は詳しいだろうし」


「誠が居たら、黙ってられない。絶対に遥香との事を聞いちゃう」


「勇輝、遥香には直接何も聞いて無いの」

今にも眠りそうな勇輝は「ハッ」と目を開けて答える


「何も聞いて無いよ」


「ちょっと、寝ないでよ勇輝」


「一瞬、寝させて。復活するから」

沙羅と絵里は笑いながら2人で会話を始めた。


「遥香、誠の前は違う人にもアプローチしてたっぽいよね」


「勇輝も狙われてたじゃん」


「そうだよね!絶対に勇輝を狙ってた」


「勇輝は落ちなかったのかな」


「落ちなかったから誠に行ったんじゃない」


「その前は経理の人を攻めてなかった」


「そうそうそうそう、展開早いよねぇ」

勇輝は全く2人の話を聞いていなかった。正直、本当に寝ていた。


勇輝を揺すって起こす


「勇輝、帰るよ」

眠そうな勇輝は若干アルコールが抜けて起きれそうだ。

3人は電車に乗るために別れた。沙羅と絵里は同じ電車だ。




勇輝は電車に揺られながら「沙羅は別れるのかなぁ、フリーになるのかなぁ」と想い浮かべながら「沙羅、、、、大阪に行ってしまうのかなぁ。行ってしまうのかなぁ」自分の心を整理出来ない。「なんだか胸が苦しいよ」





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