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Mousse Chocolat Framboise  作者: カフェと吟遊詩人
2/25

計量

「青砥の映画館でマイフレンドフォーエバーと若草物語の二本立てがやってるから見に行こうと思ってる」


「えっ、私も行く」

沙羅が映画が好きな事は知らなかった。


勇輝は特に映画好きでは無かったのだか、一人暮らしを初めて休みの日に遊ぶ友達も無く、1人で出来る事といえば映画しか思い付かなかったので趣味になった様なものだ。


改札を出て時計を見る。


やはり30分前に着いている。待ち合わせ時間にはいつも余裕を持って到着してしまう。良い性格なのだが、欠点もある。


相手が15分遅刻すると45分待っている事になる。

決して気が長く無い勇輝はイライラしてしまう。5分の遅刻も嫌いだ。5分遅刻するなら5分早く家を出れば良い。頭の固い親父だ。

「どこで時間を潰すかなぁ」こんな時はコンビニか本屋で立ち読みだ。


週刊誌、漫画を読む。正直ファッションにうとい勇輝は立ち読みと言えば漫画を読む。実家には400冊以上の単行本が有った。


13時、5分前に改札に来てしまう。勇輝はそういう人間だ。

10分後、沙羅が来た。そう、5分の遅刻だ。沙羅は全く正反対の考え。「5分位、いいよね」

こんな2人が仲良く出来るのか。。。


「ごめーん、待った」

ここは、少し格好を付ける。


「そんなに待ってないよ」

初めての2人きりでの遊び。さすがの勇輝もそこまでは腹が立っているわけではない。




この2つの映画は名作だった。マイフレンドフォーエバー、最後には号泣。

女の子と2人で映画を見る。そんな経験のあまり無い勇輝は勿論気付かれているが、涙をバレバレだがこっそり拭く。鼻水は小さく何回もすする。


「イケメンなら格好良く涙を流すのかな?」


感動の涙で心地良く疲れたところに、若草物語が始まる。

これはヤバイ。最初から最後まで号泣だ!

涙を拭う事がバレるのが嫌だがダラダラ(?)流すのも問題だ。ここは諦めて、それでも小心者は指でそっと頬を拭った。ハンカチの持ち合わせは勿論無い。そういう男だ。





「良かったね」

沙羅は明るい笑顔で明るくなった古い映画館の出口に向かいながら言う。

もうすっかり落ち着いたが、目のまだ赤い勇輝


「良かった」

2人とも映画の感動で心地良く疲れていた。


「お茶しよう」

沙羅は慣れた口調で言う。


「どこのお店にする」

慣れない勇輝は勿論リード出来ていない。




2人で近くのコーヒーショップに入る。

勇輝は勿論女の子との会話は得意では無い。しかし、普段から一緒に働いている沙羅が相手だけにまだ、頑張れてる方だと思われる。


「休みの日は何をしてるの?」


「前の夜から彼氏の家に行ってダラダラしてる。休みが一緒だったらドライブかなぁ。彼氏がサーフィンに行く時は仕方ないからついて行く」

一つ聞くとたくさんの答えが返ってくる。「そうだよ、会話が出来る奴はいっぱい喋れるんだよ」勇輝はそう思いながら、何とか会話が途切れない様に頑張った。


勇輝が発した会話の言葉は半分以上が質問だったかもしれない。いや、そうだった。





外が暗くなってきてお店を出た。


「じゃあね」

ホームに登る階段の下で勇輝は言った。


「うん、明日ね」

何か少し様子がおかしいが沙羅も反対のホームに登る階段に向かう。

少しのおかしい様子にも勿論勇輝は気付かない。それどころか、少しの達成感を感じていた。「今日は頑張った」


「バイバイ」


2人は手を振って、沙羅はホームに着いた電車に飛び乗り窓越しにも手を振って別れた。

勇輝は足取りも軽く家路に着いた。何だか友達と遊ぶという感覚が懐かしい⁈いや、小学生以降あまりそんな経験も無い。「楽しかった」





次の朝、小心者の勇輝はいつも通り30分前に出社。1人で準備を始める。

しばらくして沙羅達同世代、そして先輩達も出社してくる。いつも通りの日常だ。


昼休み、絵里が沙羅と会話している。


「えっ、ご飯とか食べて帰らなかったの?」


「うん。。。」


勇輝は気付かないふりをしながら「あの場合はご飯を一緒に食べて帰るのが普通なのか」

勉強になった勇輝であった。

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