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Mousse Chocolat Framboise  作者: カフェと吟遊詩人
12/25

ピストレ ショコラ

和食作戦が只の食事会になってしまった誠は、なんだかんだで遥香と一緒に過ごしている。「遥香は何時もよりよく笑ってくれている。多分、沙羅の事は気付かれて無いんだ。」誠はそう感じていた。



遥香は絵里の発言以降とくに誠の態度が変化しないので、絵里が何も誠に話していないと思い安心した感じだ。



2人は今日も仲良く退社して遥香の家に向う。誠は遥香の料理を最初こそ狙っていたので美味しく食べれていたが、今はもっぱら外食だ。元々、誠は外食が多い。


「今日は何を食べる?」


「うーん、今日はちょっと用事が有るんだ。ゴメンね」


「用事って?」


「お母さんに頼まれごとしてて」


「そうか、手伝えるなら手伝うてど」


「大丈夫。ありがとう」

遥香は誠と別れて誠が見えなくなるのを確認すると、何時もと違う方向に消えて行った。




勇輝は会社から出ると携帯が、鳴っているのに気付く。


<ご飯一緒に食べたいなぁ。いつならいい?私は今日でも空けるよ>


遥香からだ。この積極性は見習いたい。先日のあまり美味しくなかったお粥の恩に報いる為に


<ご飯ならいつでも付き合うよ。今日はもう電車に乗っちゃうから。いつが良いか決めて>

今日は帰りたかった。


<じゃあ、明日でいい?>

返事、早いな遥香。


<わかった。明日ね>

勇輝は携帯をポケットにしまおうとすると、また携帯が鳴る。


<やったぁ。嬉しい>

返信せずに携帯をしまう。



勇輝は家に着くと沙羅にメールをしていた。


<相談が有るんだけど>

沙羅からの返事はスグには期待していない。


勇輝は誠にもメールをしてみた。


<最近は沙羅や遥香とはどうなってるの?俺には全く解らないや>

誠からはスグに返事が来た。


<うーん、遥香とは上手くやっていると思う。沙羅とは何も無い。進まない。手伝ってくれる気になった?>

余計なメールをしたかなと思いながら


<遥香と上手くやってるのに手伝えるわけないだろ>

と、返信をしておいた。


コンビニで買ったオニギリを食べて晩御飯を済ませるとシャワーを浴びてテレビをボーッと見ていた。沙羅から返信が来た。


<明日はどう?>

勇輝はスグに返事を返す。


<明後日はダメかな?明日は用事が出来て>


<解った。明後日ね>

沙羅は天真爛漫に見えるが、実は勇輝を気遣っている。

勇輝の性格を理解しようとして、ポジティブな方向に導いてくれる。絵里も勇輝の相談に乗るが結構厳しい意見を言ってしまい勇輝が落ち込む事も多い。


今回の勇輝の悩みは、半分は自分の事で無く投げ出したい気分だ。これを沙羅が笑い飛ばしてくれるさと、気楽に考えて寝ることにした。沙羅に話を聞いて貰える事が決まっただけで勇輝は楽になっていた。

しかし、勇輝は忘れていた。沙羅本人の問題を、、、。




沙羅は携帯をベットに投げた。隆史さんは電話に出なかった。3日間会話は出来ていない。メールではやり取りは出来ているが<忙しくて連絡出来なくてごめん>と、、、。近況は忙しい事しか解らない。


「よしっ!」

何かを決めた様だ。沙羅は立ち上がり携帯を拾う。



勇輝は寝る準備をしていた。バイブが音を立てているので仕方なく携帯を手に取る。


<勇輝、週末付き合って>

沙羅からだ。


「あれぇ〜」

と、言いながら返信を打つ。


<明後日会うのに?明後日話を聞いてくれるなら付き合うよ。何曜日?金曜?土曜?日曜?>


携帯を置いて布団に入る。するとスグにバイブが音を立てる。


<全部空けといて>

勇輝は「ワガママだなぁ」と思いながら受け入れた。寝ようとすると再びバイブが、、、。珍しい、沙羅からのメールが続く。


<ごめん。お願いね>

勇輝は違和感を感じながら眠りについた。





仕事を終えた勇輝はカフェで遥香を待っていた。遥香は課長に提出する書類が手間取ったらしく残業代している。暇な勇輝は誠とメールしていた。


<沙羅と会う約束は出来たの。こちらは週末何かに付き合わされるらしい>

誠からの返事は


<今日会うよ。どうしたら良いか自分でも解らない。告白は変だし。気持ちを伝えるか悩み中>


<おいおい、気持ちを伝えるなら遥香との関係を何とかしてからにしろよ>


<それは正論だけどさぁ。気持ちを伝えてからの方が自分を追い詰めて行動出来るし>


<意味がわからんわ>


気付けば遥香が仕事を終えて勇輝の前に立っていた。


「ごめんね。お待たせ」


「いや、大丈夫。。。」

勇輝は一瞬固まった。いつも通り女子力の高い服装の遥香。そう、いつも通りなのだが、何故だか少しいつもよりは可愛く見えてしまった。

何とか平静を装い「そんな筈は無い」と言い聞かせ、声を絞り出す。


「何を食べに行く?」


「勇輝はピザ好きだよね。ピザ食べに行こう」


そう言いながら勇輝の腕を引っ張る。勇輝は立ち上がりながら掴まれた腕の感触を恥ずかしく感じていた。


2人でパスタ、ピザを食べた。何故かいつもより遥香が良く見える。そんな自分に恐怖を感じる。美意識だけは変わらず貫いてきたはずだ。

その時、沙羅からメールが来た。


<明日は何食べるの?>

沙羅の顔を思い浮かべながら返信をする。


<イタリアン以外でお願いします>

ふと、遥香を見る。「うん。大丈夫。沙羅の方が全然可愛い」

勇輝は気分を変えて大好きなピザを楽しんだ。


「今日は何の様で俺を誘ったの?」


「うん。やっぱりいいや」


「はい?なんだそれ」

勇輝は苦笑いしながら


「まあいいや、ピザ美味しいから」

勇輝は店員の女の子を見ながら「ほら全然あの子の方が可愛い」と自分に納得していた。

2人は電車に揺られいつもの駅で別れた。

別れ際の遥香を見て、もう可愛いと思うことはなかった。「何の魔法だったんだろう」勇輝は満腹から来る睡魔に耐えながら家路に着いた。




次の日の夜、勇輝は沙羅と一緒にブラッスリーにいた。沙羅はビールを勢い良く飲み


「昨日は遥香と会ってたんだ」


「うん、誘われて用事が有ると思ってたんだけど、、、。やっぱりいいって。なんも解らなかった」


「誠との事でしょ」


「まあ、そう思うよ」


「で、勇輝は何の様?」


「うーん、こんな事話して良いのか解らないけど、どうしたら良いのか」

勇輝は誠の今の行動を出来る限り悪く伝わらない様に、遥香の行動を出来る限りイカガワシク伝わらない様に、沙羅に話した。

沙羅は自分もその物語に参加している事に驚いた。しかし、その後の遥香の行動に更に驚き、勇輝の出した答えに笑いを堪えきれなかった。


「誠の事は、放っておいていいよ。私は誠は無いから」


「そうだよなぁ〜。無理じゃ無いのと言っておくよ」


勇輝はこの時、隆史さんの事は聞けなかった。


「遥香は?どうするの?」


「どうするって?」


「遥香、本気じゃん。お試ししてみたら」


意地悪な笑顔が可愛い。


「無いなぁ。2人の未来が何も良いように想像出来ないよ。顔も性格も愛せないよ」


「勇輝は面食いだからなぁ」


「そんな事無いよ」


「更に我儘。遥香じゃ勇輝は支えきれないかもね」


「我儘は沙羅もね。負けてないと思うよ」


「いやいや、君の方が、、、」


勇輝は遥香の話を聞きながら「そうだ、いつも女の子の方が大人だ。世の中の進むべき道は簡単で単純だと女の子は教えてくれる。」

話したい事を話して少し楽になった勇輝はムール貝の白ワイン蒸しを食べながら


「で、週末は何に付き合えば良いの?」


沙羅は一瞬止まって、そして悪戯な笑顔で


「金曜日夜から出かけるから、着替えを持ってきてね」


「えっ、泊まり?」


「1泊か2泊か決めてないから」


「えっ?2泊?」





金曜日の夜、勇輝は新幹線に乗っていた。「訳がわからない」パニックだ。隣ではビールを飲みながらお弁当を食べるの沙羅。

柿の葉寿司を食べながら沙羅に


「あのぉ〜、何しに大阪に?」


「今、聞きたい?後の方が良いと思うけど」


「、、、、、そうしておくよ」


勇輝には不安しかない旅の始まりだった。


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