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Mousse Chocolat Framboise  作者: カフェと吟遊詩人
10/25

モンタージュ

「ちょっと勇輝、なんて曲を薦めるのよ」


「そんな事言われても。大好きな歌を教えただけだろ」


「帰りの電車で凄いブルーだったじゃないか」


「そんなにブルーな事が有ったのか?」


「うるさいなぁ」

沙羅は笑顔だ、でも何か空元気にも見えなくも無い。


絵里は一緒になって騒ごうとしている。女同士で何かもう話しているのだろう。


サミシイ事だがこういう時は勇輝は仲間に入れない。いや、本当は土足で沙羅の心の中に入って行くべきなのかも知れない。沙羅もそれを待っているのかも知れない。しかし今の勇輝にはまだそれは出来なかった。


「勇輝、沙羅と銚子にドライブに行こうよ」


「絵里が車出してくれるの?」


「私でも良いけど、誠でもいいよ」


「誠は、、、今回は3人にしよう」


「なんで?誠と喧嘩?」


「いや、今度話すよ」

課長がこっちを見ている。


「本当にお前ら3人は姉妹みたいだなぁ」


「せめて兄弟って言って下さい」

勇輝は苦笑いしながら仕事をはじめた。沙羅の事を気遣いながら。



遥香は何か違和感を感じていた。今日の誠は何か素っ気なく時々いつも以上に優しい。話し掛けても返事は上の空だったり、異常に食いついて来たり。


「ねえ、誠。この映画を今度見に行きたいんだけど」


「うん、今度かぁ。うん。。。」

誠は「今度、今度っていつ?今度は有るのか?俺は何を考えているんだ?」と自問自答していた。


「ねえ誠、私何か気に入らない事した?」


「えっ⁈何?」


「さっきから凄く感じが悪い」


「ごめん、考え事しててさ」


「何か有ったの?」


「ちょっとね。でも、大丈夫。ごめんね。何する?次の休みに映画行く?」

誠は一つを手に入れて調子に乗っ話ていた。


遥香を手に入れたのが当たり前になってしまい、これを維持する難しさを忘れてしまっている。

よく言えば向上心。

悪く言えば浮気心。

誠だけではない、男も女も、、、欲しいバックを手に入れたら新しい次のブランド、デザイン。

優しい彼氏を手に入れたら、カッコイイ彼氏をお金を持った彼氏を、、、。


その関係を維持する大切さを知るのは何時なのか、ずっと来ないのか。。。





<ごめん、映画行けなくなった。次の休みには行けるから>


遥香はすぐには返信出来なかった。何か不安に押し潰されそうで、、、少し考えて勇輝にメールをしてしまった。


<次の休み、会って欲しい。お願い!>


送って少し後悔をしたが、返信を待った。




その頃、勇輝は沙羅と絵里と次の休みの銚子へのドライブの計画を練っていた。着信のメールを見て勇輝は眉をひそめた。


「どうしたの?」

沙羅に聞かれて携帯を差し出す。沙羅と絵里が携帯を覗き込み。同じ様に眉をひそめた。内容的に何か有ったのは3人が感じた。


「どうする勇輝?会う?」


「いや、ドライブが良いなぁ。会社帰りじゃダメなのかなぁ」


「休みの日を指定って事は、あわよくばって考えてるかもよ」


沙羅は軽く笑いながら言っている。


勇輝は正直、沙羅を元気づける為に次の休みを予定している。これを天秤にかけて遥香のメールを優先する事は欠片も無かった。ごめん遥香。


「遥香も呼んじゃえば良いんじゃない?」


沙羅が2人に提案した。2人は少し嫌そうだ。


「ほらほら、誠と遥香がどうなってるか聞くチャンスだよぉ〜〜。興味無いのかなぁ〜」

絵里は少し笑いながら


「勇輝、誘いなよ」

勇輝は乗り気では無いが沙羅と絵里が楽しそうなので諦めて遥香にメールをした。


<その日は沙羅と絵里で出掛ける予定だから、一緒に行く?>


遥香は笑顔ながら残念そうな顔をしていた。

嬉しい気持ちも有るようだ。


<有難う。一緒に行く>

そう返事をした。




勇輝の携帯が再びバイブで動いている。


<次の休みに沙羅と3人で遊べないかな>


誠からメールが来た。面倒臭い、すぐにそう思ったが2人には報告しなかった。男同士の武士の情けかな。


<その日は絵里と沙羅と既に約束が有るんだ>


誠は絵里が少し苦手だ。嫌いと言う訳では無く絵里の方がいつも優位な立場に立って話している。誠ではボスキャラには敵わないという事だ。


<そこに俺も混ぜて貰えない?>


誠はそれでも攻めに出た。勇輝は頭を押さえながら2人に相談するのを我慢していた。


<今回は3人で行くって前から話してたからごめん>


苦しい言い訳だが、


<そうか、またメールする>


誠が諦めた事で胸をなで下ろす。当然、2人は何のメールをしているのか気にしている。

必死に取り繕いながら、本日の会は終了した。






勇輝は早起きして準備完了。絵里と沙羅が迎えに来るのを待つ。そしていつも通り少し遅れるとの事。


そしていつも通り約束の時間になるとお腹が痛くなる。


まあ、慣れ親しんだ2人なのでお腹が痛い事はすぐに言えるのでサービスエリアに寄って貰えばいい。


3人は車に乗って遥香を迎えに行く。


「俺は聞くの苦手だから絵里が聞いね」


「えええ、遥香と2人きりにしてあげるから聞き出してよ」


「ムリムリムリムリ」


「絵里、手伝ってあげようよ」

沙羅は楽しそうだ。勇輝はそれが嬉しい。

遥香の家に着いた。もう、家の前で待っている。


「ほらぁ〜、勇輝にアピールする為に可愛い服着てるよ」


絵里が意地悪に言う。「いやぁー、無理だわ。」勇輝の心は正直に言っているが口からは出さずに我慢した。


意地悪な絵里は遥香と勇輝を後ろの席に座らせて車を走らせた。


「あの、いつも通りで申し訳ないですがサービスエリアに寄ってください。お腹が、、、」


「いいよ、まだ我慢出来るの」


「まだ大丈夫!」

そして勇輝の携帯がバイブ


<沙羅はどう?元気?>


誠からだ。無視。「相手したら一日中メールが来そうだ」


4人は銚子の魚河岸に来ていた。勿論、着く時間が遅すぎて片付け作業が進んでいる。


「ご飯どうする?」


「あそこのお魚美味しそうだね」


「すみませーん、この魚は何て魚ですか?」


「メヒカリだよ」


「メヒカリ食べたーい」

車に移動して、次はメヒカリを食べれる場所を探し出す。勿論その仕事は勇輝に回って来る。沙羅は勇輝と2人だと下調べなど結構やってくれるが、絵里と一緒だとダメキャラになりたがる。


「手伝うよ」

遥香も携帯を取り出し検索する。


「ここはどう?」

遥香は携帯を勇輝に見せながら頭を寄せる。髪の毛のいい匂いがする。洋服越しだが身体が触れる。勿論、胸までは当たっていない。流石の遥香も前に2人がいるのにそこまでは、、、。

前で2人はニヤニヤしていると勇輝は思っている。


「ねえ、ここの定食屋さんが良いと思うんどけど」

勇輝は携帯を前の2人に携帯を見せる為に

2人の座席の間に身体を乗り出して携帯を差し出す。

その顔は少し2人を睨んでいる。

携帯を覗き込む2人はやはりニヤニヤしていた。


そこに背後からその携帯を覗き込む様にさらに遥香が身を乗り出した背中に胸があたる。


遥香は真剣、勇輝は恥ずかし。

前の2人は前を向いたまま、、、肩は震えていたと勝手に勇輝は思っている。


定食屋で4人は楽しくメヒカリや魚介を楽しんでいた。

そこで絵里はさりげなく


「誠とは上手くやってるの?」

勇輝は思わす絵里をみた。「実力の違いなのか」何か敗北感を感じる。


「なんか、最近冷たいんだよね」


「そうなんだ、何が原因なんだろ」

沙羅が話を聞き出そうと身を乗り出す。「おいおい、お前が原因だ」勇輝は背もたれに身を任せそうな所を堪えた。


「勇輝、何か聞いてない?」

絵里は鋭く質問する。何か男同志で話していると勘付いているのだ。


「いや、知らないよぉ〜」

及び腰で逃げる。「おい、絵里だけなら後で教えるから許してくれ」


そこからは誠の最近の遥香に対する態度や接し方を遥香が3人に愚痴っていく感じであった。


沢山話すことにより遥香は気分が晴れたらしい。良く笑った、いや笑ってしまった沙羅も気分が少し晴れているようだ。

車の後ろの座席で沙羅と遥香は寝ている。

絵里と勇輝は2人で話していた。


「温泉行かない」


「いいよ。近くに有るの?いつものパターンでしょ」

女子複数、男1人、温泉に行くとボッチ時間が長い。入っている時間は勿論だが出るのが早い男子。複数の女子で入ると話が長くさらに待ち時間は長くなる。


外で待つ場所さえ有れば大丈夫なのだが、、、。


犬吠埼観光ホテル、日帰り湯に立ち寄った。


勇輝はお腹いっぱいで既に眠い。


女子は元気だ、仲良くお風呂に向かって行った。

勇輝はお風呂は早々に切り上げて休憩室で仮眠をとった。




露天風呂で3人はゆったりと語り合っていた。

「誠とどうしたいの?」


絵里は興味深々にしかし顔は冷静に質問する。

「仲良くやっていきたいと思ってる」


少し悲しでげ涙なんて出ていないが目をウルウルさせて、可哀想な女を演じながら2人に語る。


「誠はどうしたんだろうね。何かあるのかなぁ」沙羅もなんとか話を引き出そうとしている。「おいおい、さっき勇輝を私達の前で誘惑してたじゃないか」という心の声は出さない様に。


「他に好きな人でも出来たのかなぁ」


そもそも勇輝に言わせれば、お互いに好きな人と付き合ったわけでは無く、付き合える人と付き合ったわけで。。。


どうやら誠系の話はこれ以上は聞き出せないらしい。楽しく無い2人は禁断の一歩を踏み出した。


「勇輝の事はどう思ってるの?」


「えっ⁈」と、驚いたふりをしながら


「考えた事が無かった」

などど、嘘まる解りな、、、。


「でも、仲良いでしょ勇輝と」

満更でもない感じで遥香は


「そうかなぁ〜、2人と変わらないよぉ」

乗せるのが上手すぎるぞ絵里。遥香がその気になったら、流石に勇輝も怒っちゃうよ。


「勇輝って、好きな人の話とかしないよね」

遥香は情報を欲して2人に探りを入れる。勇輝に言わせれば「絵里もしないだろ」と、、、。


「沙羅、偶に2人でご飯とか行くじゃん。その時になんか話さないの?」

絵里も遥香に援護射撃。


「そういう話はしないなぁ」

沙羅は何気なく答える。


「勇輝は沙羅を狙ってるとか無いのかなぁ」

実のところ、今日の遥香の目的はこれ!これを聞きたかったのだ。

絵里も何も言わずに沙羅の答えを待つ。


「そういうんじゃ無いと思うんだ。なんか、友達って感じなんだよなぁ」

絵里が喋り出す


「なんか、解る気はする。勇輝は友達って大事なのかも知れないよね。普通の人よりもずっと友達の事を大事にする気がする。でも、心の奥は中々見せてくれない。そして、プライドは高いからプライドを少しでも傷つけると怒るんだよね」


まあ、ほぼ核心を突いている。親友というものを得られなかった今までの人生。心から信じれる人があまりいない。うーん、嫌われるのが怖いだけか?

絵里や沙羅が信じられる人になりつつ有るがもう一息なところなのだ。また、男として小さいのでプライドは他の人より高い。


3人がお風呂を出た頃、勇輝はとっくに休憩室で寝ていた。しかし、まだ3人には髪の毛を乾かす時間が必要だ。勇気にはしっかり冷えていて貰おう。


「晩御飯はどうしようか?」


「もう、探すのが大変だからサービスエリアで食べる?」


「幕張インターに行こうか」


「勇輝に相談は、、、まあいいか」

大丈夫だ、勇輝は寝ている。




「お待たせぇ〜」

3人はやっと勇輝の待つ休憩室に来た。


勇輝は座布団を集めて敷き布団、掛け布団にして寝ていた。


ホカホカの3人は飲み物を買いだした。


「ビール飲みたい、勇輝が運転してくれたらなぁ」


「しばらくペーパードライバーしてるから無理だよ」


「じゃあ、珈琲牛乳で我慢するよ」

眠い目の勇輝は寝癖をつけて3人と話している。




帰り道の車は静かだった。沙羅と遥香は後ろの席で寝ている。

絵里が眠い目を瞬きで耐えながら暗くなった道を走っている。


「大丈夫?何なら休憩する?」


そう話し掛ける勇輝の表情はグッタリしている。


「勇輝、何だか辛そうだね」

絵里が気にかけてチラッと勇輝を見る。何だか寒そうだ。


「大丈夫。ちょっと湯冷めしちゃったからね」


何だかツラそうなので、話し掛けるのを止めて1人で睡魔と戦った。




サービスエリアで晩御飯を済ませ、取り敢えず体調の悪そうな勇輝を家に送り届けた。

「早く寝なよ」


「わかった有難う」


「バイバーイ」

車は走り出し遥香の家に向かった。


「私、上野駅で良いよ」

眠そうな絵里を気遣った。


「有難う。助かる」

遥香を上野駅で降ろし。絵里と沙羅は家に向かう。


しっかり寝て目が覚めた沙羅は絵里に話し掛ける。


「運転有難うね。勇輝大丈夫かなぁ」


「一応、メールしておく?」


「私するね」

携帯を取り出すと誠からメールが来ていた。

携帯をじっと眺める沙羅


「どうしたの?」


「誠からメールが来てる」


「なんて?」


「2人で逢いたいって」

沙羅と絵里は一瞬沈黙した。


「勇輝が何も話したがらない訳だ」

沙羅はまっすぐ前を見ながら言った。


「ややこしい事にならないといいね」

絵里は静かに言った。


2人の願いはどこへ?事は残念な方向に進んでいる気がする。




そして、、、、。


その時間、遥香は勇輝の部屋のドアの前にいた。

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