繭恋
あらすじ
インターネットで噂になっているおまじない
「二籠り」
それには二通りの使い方があった。
「ねぇ、二籠ふたごもりって知ってる?」
「なぁにそれ?」
夕日が射し込む放課後の教室で、B子と私はいつもの様に雑談をしていた。
「2匹の幼虫が糸を出し合って作った大きな繭のことなんだって」
「なにそれ、共同作業ってこと、ロマンチック(笑)」
「それでね、その繭の糸を二等分して、ミサンガとか、手袋とか何でもいいからおそろいの物に混ぜて、お互いのことを思って持っていると、二人が恋人同士なら結ばれて、友達同士ならずっと友達なんだって」
「じゃぁさ、私たちもそれ見つけて作ろうよ。」
私はB子の答えを聞いて、待っていましたと言わんばかりにかばんから大きな繭を取り出す。
「偶然見つけちゃったんだよね。それでいろいろ調べたらこのおまじないを知ったてわけ。下準備はできているから、後は糸を取り出すだけになってるよ」
「さすがA子、早く糸を取り出そう」
B子はわかっているのだろうか、女子高生が放課後の教室で繭の糸を取り出している異様な光景に。
「A子、これでずっと友達だね!」
「ふふふ」不気味な笑い方をするA子。
「如何したのA?」
「あはは、ひゃはははは」
不気味を通り越して、見た人全員が一度見ただけで後は関わりたくないと思うような声を上げて、A子は床を転げまわっていた。
「ねぇどうしちゃったの!!」
「あーあ、ホントウザい」
「A子?」
「いままで教えたのは全部ウソ。ホントは呪いのおまじないよ。呪いよ、の・ろ・い」
「B子あなたが悪いんだからね。私は成績も良くて、顔もかわいいのに、私を差し置いてクラスの中心にいるのはいつもあんた。なんであんたが中心にいるのよ。そこにいるべきなのは私よ。それに友達だなんて言いながら本当は私のことバカにしていたでしょ。私が私聞いたんだからね。他の奴らと喋っている時に私を一緒になってバカにしているとことを。」
「A子……。違うよ、私そんなつもりぜ・・・・・・・」
消えた。B子が消えた。
ネットにあった通りだ。これで私は……。ネットに書いてある結果に期待しつつ鏡を見る。
「やった…やったB子の顔だ、B子の体だ」
残念なことに声だけは、私がいつも聞いていた声ではない。そうだ、私は今B子なのだ。自分の声は他人が感じる印象と違ってくるのは当たり前だ。しかしかわいい顔ではないし、モデル体型でもないけどいつもクラスの中心にいた、私の憧れの顔と体だ。これはもう私の物だ。これで私はB子そのもの。A子はもういない。消えていなくなったんだ。
5日後、私が行方不明であることが報道された。私の部屋はマスメディアにとって格好のネタだろう。なにせ部屋中を蚕蛾の幼虫で埋めているのだから。いくら捜しても無駄だ。彼女は消えていなくなったのだ。
7週間後
「おかしい」
私はB子そのもののはず。なのに如何してみんな離れていくの。あんなにB子を中心に動いていたじゃない。
そんな不満ばかり考えているうちに今日も放課後になってしまった。いつもならB子と一緒に……いけない、私はB子だ。今私はそのB子なんだ。
そんなことを考えているちにもう駅まで来てしまっていた。はぁ明日は
ドンと押されて線路に落ちてしった。誰よ押したのはとホームの方には誰もいない。
「ふふふ」
聞きなれた笑い声がする。携帯から…違う、アナウンス…違う、ホームにいる人…違う
「これでずっと友達だね!」
その聞きなれた声は、目の前まで来ていた電車の警笛よりずっとはっきり聞こえた。
呪術 二籠り
人を呪わば穴二つ
みなさんは決して使わないように