第2話 出会い
玄鴉です。
第2話、お楽しみ下さい。
「‥‥流石に、このままじゃ駄目だよね」
暫く窓の外を眺めてたけど、何も考えないでいるのは、やっぱり駄目だと思う。
ちょっと溜め息ついちゃったけど、これくらいなら幸せ逃げないかな‥?
「ん〜、さっきまで気付かなかったけど、結構広い部屋みたい」
部屋の中を眺めてみると、紗のカーテンが付いた大人が2〜3人は寝れそうなベットが一番目立つ。
しかも、ふわふわな羽毛っぽい掛け布団に、同じふわふわな大きい枕が沢山あるし‥。
「‥神殿の客室って言ってたよね。でも、異世界だから有りなのかな?」
普通、神殿なら客室でもこんなベットは置かないと思うんだけどな‥。
ベット以外には、脚とか縁に何かの植物系の繊細な細工がされた丸いテーブルにイスがある。
ベットの側にある小さなテーブルも同じ細工がされてて、真っ白な陶器の花瓶には白い花がいけられてる。
「‥薔薇っぽいかな?匂いも薔薇と同じだし」
他には、本棚と座り心地が良さそうなソファーにクッションがある。
真っ白なソファーには、何の革か分からないが、とても柔らかい革が張られていて、触り心地は優しいもので‥クッションには、枕や掛け布団と同じで羽毛が使われてる。
良く見るとクッションは、真っ白じゃ無くて薄いクリーム色の厚手の生地を使われていて、白い糸で百合の花の刺繍をされている。
ふわふわしているクッションを思わず、もふってしまった。
もふもふ、幸せだねっ!
暫くクッションをもふった後で、ちょっと反省。
もう15才なのに、軽率な行動だったかな?
近付いた本棚には50冊近い本が入っている。
近くに寄って適当な本の背表紙を見てみると、書いてある文字は‥やっぱり日本語でも英語でも無いみた、い?
「あれ?日本語じゃないし、英語でもないのに‥」
私は、この文字を知っている。
丸みを帯びた文字は、英語みたいなアルファベットになって‥鋭利な文字が数字になっている。
文章の構成は、日本語と殆ど変わらないけど、書き方はローマ字。
《新世界の始まり》
《神々の属性》
《優しい魔術の使い方 第1章》
「何で、読めるの‥だって、私、知らない筈なのに」
そう、知ってる筈がないのに。
どうして読めるのかな?クローディアちゃん達が言ってた、古の姫君ってのが、関係してるの?
それに‥古の姫君が必要だって、言ってた。
私、古の姫君なんかじゃないっ!
私は、九要なのにっ!?
──にゃあ
考えが頭の中をグルグル回ってる。
それを止めてくれたのは、猫の鳴き声。
鳴き声の方を見ると、ソファーの上に猫がいた‥さっきまでは、いなかったのに。
黒の毛並みに紫色の瞳の、すらりとした猫。
「猫?‥‥どこから来たの?」
近付いても逃げないから、その子を抱き上げた。
近くで見ると、毛並みは艶のある黒‥いわゆる、漆黒色をしていて。
瞳の色は、紫色だったけど鮮やかな、桔梗の花みたい。
柔らかくて温かな身体を抱きしめると、落ち着く。
撫でていると首元に冷たい感触があった。
青色を帯びた銀色のチェーンと、紫色をした宝石の付いたプレート‥裏側には、べ‥ヴェ、ル?
相当に古い物なのか、読めなくなっている。
「えと、読みにくいんだけど‥ヴェルかな?」
「にぃ‥」
なんか不服そうな鳴き声って事は、ちょっと違ったのかな?
じゃあ、何て名前なのかって考えていると、腕をつつかれる感覚があった。
腕の中に目を向けると、猫が私の事を見ていて‥首を何回か横に振っている。
何か訴えたいみたいだけど。
「ん〜‥もしかして、ヴェルでも良いのかな?」
「にゃあ」
この子‥ヴェルは、凄く賢い猫かもしれない。
私の話してる内容が分かるし、落ち込んだり考え込んでると、分かるみたいだし‥。
私は、ソファーに座ってヴェルを撫でながら落ち着いていた。
さっきまで、考えていた事を忘れた訳じゃ無かったけど‥ヴェルのお陰で、後ろ向きな考えを止める事が出来た。
「うん、何とかなるかな」
やっと私らしい考え方が出来たかもしれないな。
ーーーーー
「 は、無事に着いたようだな」
「彼は と を司る。十分だろう」
「‥わかった。 、お前も彼女の側に‥」
「すまない。頼む」
如何でしたか?
また次話で、お会いしましょう。
もし、脱字や誤字があれば、教えて下さると嬉しく思います。