あるラジオの【黒い雨】という怪談放送回を探しています
皆様はじめまして。
筆者のことは一度伏せていただきまして、今回の記事を載せていただくこととなった経緯をお話ししたいと思います。
私は以前、作業用に流し聞く目的で毎日ラジオ番組をずっと視聴している時期がございました。その際に印象的な怪談話を聞いたことがあるのですが、残念ながら無節操にラジオ番組を再生しているためどの番組で放送されたものであるのかが分かりません。
故に、こうしてネット上で記事を載せさせていただくことでなにか情報があればと思い、本記事を公開することになりました。
問題の怪談は確か、投稿者から寄せられた実話怪談系のお話だったと思います。それが本当に実話かどうかは置いといて、非常に恐ろしく、印象的だったため、内容についてはよく覚えています。
記事の下部にて、問題の怪談の内容を覚えている限りで書き込んでいこうと思います。
聞いたことがある、またはこの怪談が放送された回について知っているかもしれない、なにか情報があるというかたがもしおりましたら、なんでもいいのです。どうか情報を教えていただきたいのです。
なにとぞよろしくお願いいたします。
以下は怪談の内容についてを覚えている限り記します。
怪談の投稿者は男性ということでした。怪談を記したリスナーからのお手紙の冒頭挨拶などは飛ばして、本題からです。
確か、タイトルは【黒い雨】だったはずです。
結構長めのお話で、とても怖かったので印象的でした。
どなたか、ラジオで流れたこの怪談についてご存知のかたがおられましたらコメント欄に記入するか、筆者本人にご一報ください。
◇
私たち家族が引っ越したのは初夏に差し掛かる梅雨の時期のことでした。
かなり田舎のほうで、バスは日に五本ほど。自家用車が必須な立地ですが、自然が豊かで体の弱い娘のためにはかなりいい環境だと思ったことからの引っ越しです。
ご近所さんもとても良いかたが多かったのですが、ひとつだけ不満がありました。この地域にはあるひとつの変なルールがあるのです。
・黒い雨が降っている際には絶対に外出してはならない。
そんなルールでした。
ご近所さんに聞いてみますと、このルールは要するにこの「黒い雨には濡れてはいけない」という意味だというのです。外出さえしなければ濡れませんから、それが一番安全だという意味でこのルールが存在しているようでした。
引っ越し当初はさすがに黒い雨とはなんだろう? と思いました。
まさか、同名の小説のような原爆の際の放射性物質の混じった雨が頻繁に降るわけでもありません。聞いてみれば、さすがにそれとは別のものだと慌てた様子でご近所も否定しました。
しかし、この地域では黒い雨としか形容できない雨が時々短い間降りしきることがあるというのです。短くて10分程度から、長くて2時間ほど。
この雨に濡れてはいけないというのは、特に子供をさすようでしたので、特別冷たい雨がそう見えて、濡れると風邪をひきやすくなってしまうのかなと、そのときは納得しました。
その地域は頻繁に雨が降るわけではありませんでしたが、梅雨入りしていたので引っ越し当初は結構雨に降られることが多く、引っ越し時期を少し見誤ったかなと感じたのを覚えています。
雨が多い時期であるのも災いし、剥げかけていたり、雑草が下から割ったかのようにコンクリートの隙間から生えている道路には車の轍のあとか、都会に比べるとかなりへこみが多く、水たまりができやすくなっていました。
娘はまだ小さく、黄色い長靴を履いて嬉々として水溜りをちゃぷちゃぷとしにいくのが好きなので、毎日遠方の保育園からの帰り道は泥だらけになっていました。
引っ越しして一ヶ月ほどでしょうか。
黒い雨のルールを忘れかけていた頃にそれは起こりました。
夕方、娘が保育園から帰宅する際に本当に黒い雨が降ってきたんです。
この日のお迎えは私が担当でした。
幸い、二人並んで歩いても濡れない大きめの傘は持っていたので、娘に持たせる可愛らしい紫陽花柄の傘と一緒に持って迎えに行きました。
傘を使ってくれるときと、使ってくれないときがあるからです。
黒い雨に濡れてはいけない。そのルールが脳裏を掠め、よく分からないルールに緊張していたのを覚えています。
夕方に降る黒い雨は、まだ日があるにもかかわらず辺りを暗く感じさせました。なにかを含んでいる雨なのかと思っていましたが、傘をさして歩いていると普段の雨となにも変わらず、ねっとりして重たいわけでもなさそうでした。傘から滴り落ちる雫を見ても、ただの雨に黒い絵の具がほんの少し混じっている程度の印象でした。もしかしたら、少し汚れているだけなんじゃないかと思うほど。
娘の迎えはいつも通りでした。
ただ、保育園のある場所で降っていた雨は普通だったらしく、黒い雨を物珍しげに見ていたことを覚えています。
この日の帰り道も特に問題はありませんでした。濡れるとよくないからと聞いていたので、水溜りもほとんど踏まないように、しっかりと手を繋いで帰ったのです。娘には自力でも傘をさしてもらい、私もその上で傘をさし、二重の傘状態で帰宅したのです。
しかし、次の日のことです。休日で外に遊びにいった娘の悲鳴が聞こえてきたんです。この日、妻は仕事で私だけが在宅で過ごしていました。
慌てて外に様子を見にいくと、近くの道路にできた黒い水溜りの中で、娘が悲鳴をあげていました。前日の雨でできた水溜りでした。
もちろん、すぐに助けにいったんです。黒い水溜りから動けずにいて、泣いている娘の足元をよく見ると、水溜りから娘と同じくらいの小さな手が、娘の足を掴んで引っ張っているのです。ゾッとしました。
そして、必死になって私は水溜りから出てきている手を蹴り、踏んで、娘を抱き上げて引き剥がしたのです。
泣いていた娘は私に抱きつき、黒い水溜りからはすぐに離れて家に帰り、風呂に入れて一安心したのは1時間ほど経ってからです。
しかし、この日以来娘は少し変わってしまいました。
水溜まりを踏んで歩くのが好きで、好奇心旺盛で手を離してすぐにどこかへ行くので困っていた娘はすっかり大人しくなって、聞き分けの良い子になったんです。水溜まりの件でトラウマになって、精神的に参ってしまったのかと少し心配しました。それくらい、以前の娘は病弱なくせにお転婆な子だったんです。
ただ、心配していた体の弱さはここに引っ越してからどうにか克服できたようで、健康的になったことを妻と二人で喜んでいました。
しかし、先日も黒い雨の中でお迎えをする機会がありました。
そのときに体験したことが忘れられなくてとても困っています。
娘を迎えて、手を繋ぎながら大きな傘ひとつで濡れないように身を寄せ合って帰りました。いつものように。
しとしとと降りしきる黒い雨の中、突然カエルや野鳥の声以外の人の囁きのようなものが聞こえる気がして耳をすませたんです。
そうしたら、傘に雨が当たるたびにそれが聞こえることに気づいたんです。
雨が当たるタイミングが多すぎて、不明瞭な囁きでした。しかし、それは紛れもなく聞こえてきた声でした。
「かえして」
「パパ」
「わたしはここだよ」
「きづいてよ」
「かえりたい」
「ねえぱぱ」
「◯◯(娘の名前)はこっちだよ」
「いかないで」
雨の雑音の中で聞こえる声は、確かに娘にそっくりでした。
驚いて手を繋いでいる娘に目を向けると、娘は先ほどまで前を向いて歩いていたのに、私を見上げて笑っていました。
どうかしてたんでしょう、私は思わず娘に言ってしまったんです。「なにか聞こえない?」と。
そうしたら、娘は笑って「虫の声じゃない?」と答えました。
この日以来、以前と変わった娘を見る目が変わってしまいました。
私はとんでもないことをしてしまったんじゃないかという罪悪感で襲われ、この娘は本当に自分の娘なのか? と精神的に参ってしまうことが増えたのです。
こんなこと、妻にはとても話せるわけがありません。
あの日水溜まりで泣く娘を助けた私は間違っていたのでしょうか。教えてください。
この娘は、本当に我が子なのでしょうか?
◇
私にも、同じ特徴を持った娘がいます。
問い詰めてみても夫はなにも言いません。
黒い雨のルールなんて聞いたことがありませんが、その他の部分で当てはまることが多すぎました。
この放送について知っておられるかたがおりましたら、どうか教えてください。
娘は、本当に私たちの娘なのでしょうか?